1点でも取れば、準々決勝進出にぐっと近づくセルティックは、序盤、積極的に仕掛けて、あわやPK(マルディーニの腕にボールが当たった)という場面を演出するなど、可能性を感じさせる。

 しかし、セルティックのゴールを求める姿勢は、自陣に広いスペースを創り出すこととなり、開始10分を過ぎるころには、ミランがペースを握り始める。

 ここで攻撃の中心となったのは、高度な技術でセルティック守備陣を翻弄し続けたカカだが、その一方で彼はこの日、フィニッシュ面で大ブレーキとなり、前半だけでも3本のチャンスを逸してしまう。

 これがチーム全体に伝染したのか、ミランは90分間で25本ものシュートを放つも、枠を捉えるのはほんのわずかであり、それらも、セルティックGKボルツの美技に封じられた。

 チャンスを生かせずに延長戦突入ということで、嫌な予感も脳裏をよぎったミランだったが、開始からわずか3分、ハーフライン付近でボールを得たカカが、そのままドリブルで持ち込んで、ついにボルツの牙城を崩す。これが、このカード2戦においての、唯一のゴールとなった。
 
 中村は、左手骨折のハンデをものともせず、序盤は効果的なボールを前線に送るなど、まずまずの動きを見せていたが、すぐに厳しいマークを受けるようになり、また防戦一方の展開においては、自陣で守備に追われる時間のほうが長かった。後半終了間際、後方からアンブロジーニのチャージを受けて転倒するも、ホイッスルは吹かれず。第1戦同様、不本意な出来のまま、延長戦前半でピッチを退いた。

 ミランは、今季の国内リーグでの不調ぶりを象徴するような戦いぶりで、辛うじて次ラウンドに駒を進めたが、欧州王座への道はあまりに険しい。

 一方、強豪ミランをおおいに苦しめたセルティック。この試合の後半、グラベセンを投入した際には、流れを引き寄せた感があったものの、序盤のような積極性を見せることができず、やや悔いを残しての帰国となってしまった。