『おむすび』写真提供=NHK

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 NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。

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 結が恋する四ツ木翔也(佐野勇斗)は、福岡西高校に野球留学中の高校球児で、その姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれるキャラクター。野球シーンではリアリティあふれる剛速球を披露する一方で、ハギャレンメンバーに乗せられてヨン様のモノマネをするなど、素朴さと真面目さ、さらにはギャップで視聴者を惹きつけてきた。

 第7週では、そんな翔也の魅力が爆発。同週の演出を担った野田雄介は「このドラマの中で、翔也は古風というか、昭和的というか。この表現が正しいかどうかわかりませんが、夢や目標をしっかりと持って、それに向かってコツコツ進んでいくタイプ。そういう人物と、今を生きる結が、お互いの良さに気づいたり、挫折したりして、それぞれを補っていければいいな、というところから生まれたキャラクターでもあります」と“四ツ木翔也”誕生の経緯を明かす。

「彼らが高3だった2006年は、ちょうど第1回のWBCが開催された年なんです。日本中で野球熱がグッと上がったときなので、そのあたりをうまく使えればいいなとも思っていました。加えて、翔也は今の大谷翔平さんに繋がるものがあるような気もしていて。昭和のヒーローが、平成・令和という現代の中でどう生きていくのか。いかに前向きでいられるのか。すべてが大谷選手のように成功するとは限らないので、そういった中でもたくましく生きていく、というところを表すキャラクターモデル。ドラマの中では非常に稀有な存在で、演じる佐野勇斗くんにはそのあたりの役割も背負ってもらっています」

 甲子園出場を逃した翔也が口にしたのは、「(目標を達成できなくても、サクセスロードマップを)書き換えればいいべ。人生は思い通りにいかねぇ。1回や2回、何度だって失敗する。でも気にすることねぇ、最終的に夢にたどり着ければ、それでいいべ」という前向きなメッセージ。

 野田は「僕はそのセリフが大好きで、根本(ノンジ)さんが脚本を書かれたときに、真っ先にそう伝えました」と語る。

「ああいうことって、心の中で思っても、実際に言える人は少ないですよね。そこまでポジティブに考えられる、というところには憧れもあるので、重要なのは“あの言葉をどうやって響かせるか”。相手である結にはもちろん、視聴者の方にも『何度でも書き換えればいいんだよ』という思いをいかに届けられるか、ということはものすごく意識しましたし、言わずもがな佐野くんもそう感じていらっしゃいました」

 撮影は雨が降ったり止んだりを繰り返す悪天候の中で行われたといい、「長いシーンだったので2人の気持ちが続くかなと心配しましたが、それはまったくの杞憂に終わり、明るくハッピーに撮り切ることができました。僕は“大事なセリフだから一発で”とは思っていませんが、おそらくあのシーンは一発OKだったと思います」と振り返った。

 翔也のチャームポイントの一つと言えるのが、親しみやすさを感じる栃木弁。野田は「方言そのものがキャラクターになるように佐野くんがマスターしてくれて、それがうまく出ているなと。思いっきり不器用な翔也を、本当に素直に演じてくれていると思います」と佐野の芝居を称賛。

 劇中ではピッチャーとして活躍する四ツ木だが、「物語の役割としても、やはりピッチャーではないでしょうか。そうなると、結はキャッチャーなのかもしれないですね」と分析し、「そういった2人がくっついたことで、ドラマが大きく動いていきます」とさらなる展開を予告した。

 第8週では翔也が社会人野球に入団し、結は栄養士の専門学校に入学。互いに新生活をスタートさせる、2人の今後に注目したい。

(文=nakamura omame)