花田勝彦監督(左)と瀬古利彦さん

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 学生3大駅伝開幕戦の出雲駅伝(10月14日、島根・出雲市)で6位(関東勢5位)、第2戦の全日本大学駅伝(11月3日)で5位だった早大の花田勝彦監督(53)が13日、初の著書「学んで伝える」(徳間書店)を出版した。

 花田監督は1990年に滋賀県有数の進学校の彦根東から早大に入学。同期の櫛部静二・現城西大監督、武井隆次さんともに「早大三羽がらす」として活躍した。箱根駅伝では1年3区6位、2年3区3位、3年4区区間賞(区間新記録)、4年2区3位。3年時は優勝を経験した。94年に卒業し、エスビー食品に入社。96年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪のトラック長距離代表。2004年に引退し、上武大監督に就任し、2009年には箱根駅伝初出場に導いた。16年に創部された実業団のGMOの初代監督に就任し、22年3月まで務めた。同年の6月から母校の早大監督を務めている。

 就任初年度、箱根駅伝は予選会から参戦し、23年1月の本戦で6位。今年1月の第100回箱根駅伝では7位。今季の学生駅伝は出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに関東勢で5番(出雲駅伝では米国アイビーリーグ選抜が5位)と、まずまずの成績を残した。

 「第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)の目標は総合3位以内です。ただ、3強(国学院大、駒大、青学大)と創価大には出雲駅伝、全日本大学駅伝のいずれでも、負けていますので、まずは自分たちの力を100%近くまで出すことが目標となります」と花田監督は、2018年(3位)以来の3位以内へ、冷静に思いを明かした。

 今回の初の著書では「ランナーとして、指導者として大切にしてきたメソッド」をテーマに記した。

 「私自身、大学に入学した際は箱根駅伝で活躍できるレベルの選手ではありませんでした。(早大コーチだった)瀬古利彦さんから『3年間かけて箱根駅伝で活躍できる選手になろう。その先の3年間で今度は日本代表レベルになろう』と言われ、コツコツ積み上げていったから、今があるということでしょうか。経歴だけ見るとエリートで歩んできたように思われるかもしれませんが、特に大学時代は挫折も多く、卒業後は競技をやめようと思ったこともありました。また、瀬古さんともよく口論して、手のかかる選手でした。今の選手たちを見ると、私よりも能力もセンスもある選手ばかりと感じています。ですので、先を見据えた計画を立てて、大学だけで終わらず、卒業後も日本代表など高いレベルで活躍できる選手になってほしいと考えています」と話す。印税収入の半分は、早大競走部に寄付するという。

 恩師の瀬古さんは、愛(まな)弟子の花田監督に対し「こんなにも憎たらしくて、こんなにも放っておけない愛弟子はほかにいない」と熱いエールを送る。

 第101回箱根駅伝では、出雲駅伝と全日本大学駅伝の両大会で優勝の国学院大、2位の駒大、3位の青学大の3強が優勝候補に挙がる。1920年の第1回箱根駅伝に参加した4校(東京高等師範学校・現筑波大、明大、早大、慶大)のうちの1校で「箱根オリジナル4」と呼ばれる伝統校の早大が、レベルの高い優勝争いに加われば、レースはさらに盛り上がることになる。