スポニチ

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 「SMBC日本シリーズ2024」は、29日にみずほペイペイドームに舞台を移して第3戦が行われる。リーグ3位から下克上で日本一を狙うDeNAは、本拠地の横浜スタジアムでソフトバンクにまさかの2連敗を喫したが、左太腿裏の肉離れで戦列を離れていた東克樹投手(28)が先発する予定。負ければ一気に王手をかけられてしまう正念場で、エース左腕が意地の快投を狙う。

 悲壮感はない。胸にあふれるのは投げられる喜び、そして勝利への強い思いだ。みずほペイペイドームでの練習後、東が復帰登板への思いを言葉にした。

 「状態はほぼ回復していて、投球に関しては万全の状態で臨める。流れを変えるような投球を心掛けたい」

 ソフトバンクに本拠地で2連敗し、敵地に舞台を移して迎える第3戦。負ければ早くも王手をかけられる正念場だ。このままでは終われない。役割は勝つだけでなく、シリーズ全体の流れも変えること。「そのためにここまで調整をしてきた。この舞台で投げられる状態をつくってもらったので、それに応えられるように投げたい」と決意をにじませた。

 レギュラーシーズンで13勝を挙げ、12日の阪神とのCSファーストステージ初戦に先発。だが走塁で左太腿裏を肉離れした。この時点でCSファイナルSでの復帰は断念。復帰時期をDH制の日本シリーズ第3戦以降とし、回復に全力を注いだ。早い段階からランニングを再開して「脳に走れるってことを植え付けることができた」という。仲間が巨人と激闘を繰り広げたファイナルSの期間中にはブルペン投球も再開。エースが必死に調整する中、チームは4勝3敗(巨人にリーグ優勝のアドバンテージ1勝)で日本シリーズ進出を決めてくれた。

 DH制が採用される敵地での第3戦。三浦監督は最短の復帰プランだったことを明かして「それ(打席に立つこと)がないので投球だけに専念してくれれば」と言った。もちろん、全てが100%の状態ではない。26日の第1戦の試合前に行ったフィールディング練習では不安な面ものぞかせた。それでも「もうやるしかない。気合で」と力を込める。

 連敗を喫した前日の試合後。緊急の選手ミーティングで桑原が「はっきり言って勝てる感じがしない。(巨人とのCS)ファイナル最終戦では、負けたら終わりという気持ちで勝った。同じ気持ちを続けるべき」と言った。首脳陣、ナイン、そしてファンの期待も背負って上がる運命のマウンド。手負いのエースが、チームを救う。(秋村 誠人)