プーチン氏、北朝鮮の派兵否定せず 相互防衛「ロシア次第」

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[カザン(ロシア)/モスクワ 24日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は24日、北朝鮮がロシアに軍隊を派遣しているとの米国の主張を否定しなかった。同時に、北朝鮮とのパートナーシップ条約に含まれる相互防衛条項の運用はロシア次第になるとした上で、西側諸国がウクライナ戦争を激化させていると非難した。 

米国のオースティン国防長官は23日、北朝鮮がロシアに兵士を派遣した証拠があると表明。米国は北朝鮮が少なくとも3000人の兵士をロシアに派遣したとの見方を示している。

プーチン氏は、北朝鮮軍の動きを示す衛星画像に関する記者の質問に対し「画像は重要だ。画像があれば、何かを反映しているはずだ」と述べた。同時に、ウクライナ危機をエスカレートさせたのは西側諸国だと指摘。「ロシアはどの北大西洋条約機構(NATO)加盟国から誰が来ているか、どのような活動を行っているのか把握している」と述べた。  

その上で、北朝鮮と6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」の相互防衛に関する第4条に言及。「この条項の枠内で何を行うかはロシア次第だ」と述べた。 

ロシア下院は24日、同条約の批准法案を可決した。

戦争を終わらせるために何を検討する用意があるかとの質問に対しプーチン氏は「現地で形になりつつある現実を踏まえ、和平協定のあらゆる選択肢を検討する用意がある。私はそれ以外のことは考えていない」と回答した。

<トランプ氏と米大統領選>

米大統領選共和党候補のトランプ前大統領が過去に、ウクライナを攻撃すればロシアを攻撃するとプーチン氏を脅迫したとの報道を巡っては、そのような脅しは記憶にないと述べた。

18日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はトランプ氏がプーチン氏に対し、「もしウクライナを攻撃するなら、私はあなたを、信じられないほど激しく攻撃するだろう。モスクワのど真ん中であなたを攻撃するつもりだ」と語ったと報じた。

これに対しプーチン氏は「誰を脅すこともできるが、ロシアを脅すのは無意味だ。それはわれわれを活気づけるだけだからだ」とし、「トランプ氏とそのような会話をした記憶はない」と一蹴した。

米大統領選が熱気を帯びている点を考えると、こうした発言を真剣に受け止めない方が賢明だとしつつも、ウクライナ戦争を終わらせたいというトランプ氏の願いは真摯(しんし)なものだと感じているとも表明。「彼は心からそう言っているように思えるし、この種の発言は誰からであれ歓迎する」と述べた。