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 ◇TREASURE BOXING PROMOTION7(2024年10月13日 横浜武道館)

 128ポンド(約58.0キロ)契約のノンタイト10回戦で、元世界3階級制覇王者でWBO世界スーパーバンタム級5位のジョンリール・カシメロ(35=フィリピン)が、WBO世界バンタム級8位のサウル・サンチェス(27=米国)に1回2分40秒、TKO勝ちした。

 試合は当初、スーパーバンタム級の118ポンド(約55.3キロ)で行われるはずだった。だが、カシメロは前日計量でリミットから1キロオーバーとなり、2時間の猶予を与えられた2度目の計量でも600グラムオーバー。55.2キロでパスしたサンチェスから「プロフェッショナル失格」とののしられた。それでも、両陣営の話し合いで、当日の午前10時45分の計量で128ポンドをクリアすれば試合実施ということになった。カシメロはこれをパスしてリングに登場した。

 メインイベントが消滅する危機から脱したカシメロは、1回から猛打をさく裂させた。右ボディー、左フックで攻め、右ストレートを当てると相手がぐらついて右手をついた。開始18秒でのダウン。その後はサンチェスが反撃に出たが、1分40秒すぎには左フックを顔面にヒットさせて2度目のダウンを奪った。なんとか立った相手に連打を浴びせ、残り20秒でレフェリーが試合を止めた。

 “お騒がせ男”は試合後も悪びれた様子はなかった。「昨日はオーバーウエートだったが、減量なんて関係ない。自分はとにかく倒すということ」と言い切った。当日計量については「5時間食べるのを我慢したが、その後はいっぱい食べた」とのんきに振り返るなど、反省の色は感じられなかった。

 以前から井上尚弥(31=大橋)との対戦を要望し続けている。この日も「次回はイノウエと戦いたい。いつでも、どこでも戦う」とスーパーバンタム級4団体統一王者に向けてほえた。

 圧倒的なパンチ力を見せつけたが、周囲の味方は冷ややかだった。U―NEXTのライブ配信で解説を務めた元IBFスーパーバンタム級王者・岩佐亮佑氏は「胸くそ悪い」と体重超過のカシメロに不快感を表し「あんなバカとやっていると滅びると思う」とまでぶちまけた。

 セミファイルのフライ級10回戦では、元世界2階級制覇王者でIBF世界同級11位の京口紘人(30=ワタナベ)がWBA世界同級4位のビンス・パラス(25=フィリピン)に2―0(96―94×2、95―95)で判定勝ちした。IBF世界ミニマム級王者だった18年5月20日の対戦では3―0で判定勝ちしたが、今年5月11日の対戦では0―3で判定負け。一時は引退も口にした中で、ダイレクトリマッチのラバーマッチでは常に前に出続けて勝利。3階級制覇に向けて再び歩み始めた。