橋本環奈

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 9月30日、NHKの朝ドラ「おむすび」がスタートした。初回視聴率は世帯16・8%、個人9・4%で、好評のうちに終了した前作「虎に翼」の初回視聴率、世帯16・4%、個人9・3%を上回った(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)。

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 橋本環奈(25)演ずるヒロイン・米田結は平成元年生まれの設定で、初回は高校入学の日だった。つまり15歳である。民放プロデューサーは言う。

「第1話から子役ではなく本人が出演。子供らしさが残る顔立ちの橋本が10歳下の高校生を演じるのに無理はなく、制服も似合っていました。福岡県糸島市を舞台に現代を描いているので、いきなり携帯電話(ガラケー)も登場し、戦中戦後の物語が続いていた中で目新しさがありました」

橋本環奈

 初回視聴率(世帯16・8%、個人9・4%)は、2021年前期の「おかえりモネ」(世帯19・2%、個人10・6%)以来の高視聴率だ。

「『おかえりモネ』は清原果耶(22)演じるヒロインが気象予報士を目指す現代劇でした。清原も今回の橋本同様、オーディションなしの一本釣りでヒロインに決まるなど共通点は多いのですが、それだけに不安があります。『おかえりモネ』の視聴率は、その後、急落して、最終的にはシリーズ平均16・3%(世帯)に終わりました。これは朝ドラが朝8時スタートになった2010年以降の最低記録を更新してしまったのです」

 ちなみに、シリーズ平均の最低記録は22年後期の「舞いあがれ!」(世帯15・6%)で、これもヒロイン・福原遥(26)が女性パイロットを目指した現代劇だった。

「大河ドラマが平安時代や現代が舞台だと数字が取れないのと同様、朝ドラも現代だと伸び悩む傾向があるんです。『おむすび』も同じ轍を踏みそうな心配はある」

 実際、「おむすび」の視聴率は第2話が16・1%、第3話は15・6%にまで落ちた。心配は他にもある。

将来のビジョンがない

「ヒロインの橋本は決して悪くないのですが、すでに出来上がった女優で新鮮味に欠けるところもある。映画『銀魂』の神楽役でのハナクソほじり、『今日から俺は!!』(日本テレビ)でのぶっ飛んだスケバン役という決定打もあり、『おむすび』のオープニングで見られる博多のギャル役では刺激が足りません」

 そして、重要なことが抜けているという。

「一番大事なのが、橋本演じる結がこれからどう生きたいのか、ビジョンが見えてこないこと。『虎に翼』は日本初の女性弁護士、『ブギウギ』は戦中戦後のブギの女王、『らんまん』は植物学者……と当初から目標設定がありましたが、『おむすび』にはまだそれが見えてこない。そのため感情移入もしにくいのです」

 ヒロインの結は栄養士を目指すことが発表済みだが、未だその気配はない。ただし、第3話では結の心の奥底がわずかに見えた。書道部への入部をためらう彼女には、実家の手伝いの他にも悩みがあったのだ。入部を勧める母親に向かって、結はこうつぶやいた。

《いくら楽しくても、なくなっちゃうかもしれんし……》

「彼女に将来のビジョンを思いとどまらせるものがあったということです。『おむすび』の公式ホームページには《青春時代をおう歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸》とあります。来年1月17日は阪神・淡路大震災から30年ですから、NHK大阪放送局がこれを描かないわけがありません。となると、初回に彼女が海に飛び込んだ際の心の声から思い当たるものが出てきます」

あまちゃん」を意識?

 子供の帽子を取ってあげようと、制服姿のまま海に飛び込んだ彼女はこう思った。

《なんで飛び込んだっちゃろう……うちは朝ドラヒロインか?》

「初回から海に落ちてずぶ濡れ、それをあえて朝ドラのヒロインに例える。意識しているのは、今や伝説の朝ドラとなった13年前期の『あまちゃん』でしょう。宮藤官九郎が脚本を書いた『あまちゃん』も現代が舞台で、ヒロインのアキ(能年玲奈/現・のん=31)も特に目標のない子でした。図らずもアイドルを目指しますが、番組後半では東日本大震災が描かれ、彼女は地域の象徴でもある“海女カフェ”の復興を目指すことで視聴者の感動を呼んだのです。『おむすび』でも震災がヒロインに大きく影響してくるのでしょう」

「おむすび」の脚本は根本ノンジ氏だ。

「NHKでは『正直不動産』をヒットさせましたが、最大のヒット作は月9『監察医 朝顔』(フジ)でしょう。上野樹里(38)主演で、仲間や家族の心情の機微を描くのに長けた脚本家です。今回も橋本の心の声をはじめ、祖父(松平健)、祖母(宮崎美子)、父(北村有起哉)、母(麻生久美子)らもいい味を出しています。ただ、彼の脚本はジワジワくるほのぼのさが特徴なので、朝ドラの1話15分でその良さを出し切れるかどうかにかかってきます」

 震災が描かれるまでには、まだ時間がかかりそうだが、

「糸島編では脇を固める共演者に注目です。まず海に飛び込んだ結を助けようと野球部のユニフォームのまま同じく海に飛び込んだ佐野勇斗(26)、そして結の書いた文字をひと目見て『自分で抑え込んどるものはない?』と読み解いた書道部の先輩役の松本怜生(24)が彼女にどう絡んでくるか。さらに、第3話の再現映像でチラッとだけ顔を見せた、結の姉で“伝説のギャル・あゆ”を演じる仲里依紗(34)の登場が待たれます」

 仲の朝ドラ出演は20年前期の「エール」以来、2度目となる。

「『不適切にもほどがある!』(TBS)や『大奥』(NHK)、『TOKYO MER〜走る救急救命室〜』(TBS)などで彼女の存在感はハンパなく、出演ドラマはすべて当たっています。夫の中尾明慶(36)は10月1日放送の『芸能人格付けチェック 3時間スペシャル』(テレビ朝日)で一人勝ちの大活躍を見せたばかりですから、彼女にも橋本との姉妹コンビで画面が壊れるほどの大暴れを期待しています」

デイリー新潮編集部