米民放CBS「Sunday Morning」のインタビューを受けるメーガン妃。この際も終了後に激怒したという噂が(番組公式YouTubeチャンネルより)

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「皆がメーガンを恐れている」

 ヘンリー王子とメーガン妃が英国王室を離脱し、米カリフォルニア州郊外に豪邸を構えてから早4年。配信番組や慈善事業に絡んだ“公務”などで露出はあまり減らず、近ごろは王室時代さながらの「海外訪問」も始めた。もちろん、こうした活動は夫妻の力だけで実現しているのではなく、秘書的な役割を果たすスタッフたちの存在あってこそだ。

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 何かと話題が尽きない一方、夫妻のもとで働くスタッフの離職率が異様に高いという件も以前から注目されていた。最新の辞職者は8月にたった3カ月で去った幹部スタッフのジョシュ・ケトラー氏。これで総数は少なくとも18人、ここ3年間では10人といわれている。

米民放CBS「Sunday Morning」のインタビューを受けるメーガン妃。この際も終了後に激怒したという噂が(番組公式YouTubeチャンネルより)

 そこでこの件に切り込んだのは米誌「The Hollywood Reporter」。9月12日、メーガン妃を「ハイヒールを履いた独裁者」と称する証言とともに“ハラスメント疑惑”を報じたのである。「皆がメーガンを恐れている」「人を見下して助言を聞き入れない」「怒り狂って命令を怒鳴り散らす」といった匿名証言はかなりのインパクトだが、どこかで聞いた覚えのある王室ファンは多かっただろう。

 メーガン妃の疑惑とスタッフの離職率の高さは今に始まったことではない。英紙「The Times」は2021年3月、王室時代のメーガン妃がスタッフ2人を辞職に追い込み、さらに別のスタッフを執拗に攻撃していたことを明らかにした。

エリザベス女王が費用を負担した調査

「The Times」の記事は、元王室補佐官のジェイソン・クナウフ氏が2018年当時、この件を苦情として上役に報告したメールを“証拠”としていた。タブロイド紙が“犠牲者”は他にもいると報じる一方、クナウフ氏の報告を受けたサイモン・ケース氏が報道当時に内閣官房長だったことから政権にも飛び火してしまう。

 王室はこの記事の翌日、早々に内部調査の実施を公表した。メーガン妃の疑惑に加え、クナウフ氏の苦情がもみ消された経緯は“職場”としてマズいという判断だったとされる。エリザベス女王が費用を負担したこの調査は、翌年6月に完了が明らかにされたものの、結果は非公開となった。

「The Times」の報道は、ヘンリー王子とメーガン妃のインタビュー番組が米国で放送される数日前だった。事実誤認の発言が混じっていたものの、メーガン妃が涙ながらに語った「王室内の人種差別的発言」などに世界が驚愕した番組だ。放送前から物議を醸し、王室の調査開始宣言はこの番組に対する“けん制”ではないかとする見方もあった。

 調査結果は非公開でも「エリザベス女王が動いた」こと自体がある種の“落としどころ”だったという見方もある。対して、「ハイヒールを履いた独裁者」の件は米メディアの報道であり、当然ながらチャールズ国王が動く必要は皆無。訴訟に発展しない限り、告発する側とされる側の主戦場はメディアとなるのが必然である。

米誌を介した「大反撃」

「The Hollywood Reporter」で記事が公開された数日後、同紙のメア・ローシャン共同編集長は記事の詳細を語った。いわく、情報源は12人で、「皆がメーガン妃を恐れている」と語ったのは現在の幹部。また、別メディアも同じ件を取材しているという。

 メーガン妃側の“反撃”は24日、米誌「Us Weekly」を介して行われたようだ。同誌は以前から夫妻に好意的な記事が多いメディアではあるものの、今回は複数の関連記事を立て続けに公開する熱の入れようだ。記事中で証言する元スタッフには、3カ月で去ったケトラー氏などこれまで辞職がニュースになったスタッフも含まれている。

 記事にはもちろん「(夫妻は)今まで出会った中で最高の上司」「一緒に仕事をした時間は信じられないほど有意義だった」「彼らはスタッフが成長し、チャンスを得ることを望んでいる」といった大絶賛が並ぶ。加えて「発生源は明らか。不満を持つ誰かがでっち上げたのだろう」「対立を作る陰謀」と、陰謀説を匂わせるコメントもあり、メーガン妃側の意図をうかがうには十分すぎる内容だ。

 同誌は加えて、俳優時代のメーガン妃にとって唯一の代表作であるドラマ「スーツ」もネタにしている。出演者たちは撮影時から続く友情を守っているとの内容だが、今なぜこのタイミングで報じるのかという質問は無粋かもしれない。

「典型的なナルシストだと確信」

「Us Weekly」の次は、ローシャン氏が「別メディア」として挙げていた米ウェブメディア「DAILY BEAST」だ。王室時代のスタッフは「直接あるいは電話で人々が叱責され、最悪な気分にさせられている様子を見た」と、ヘンリー王子との結婚前に仕えていたスタッフは「典型的なナルシストだと常に思っていたが、彼女のスタッフが雑誌で彼女を絶賛しているのを見てやはりそうだと確信した」と証言した。

 ビジネス面を中心に夫妻の逆境を伝える記事も相変わらず多い中、落としどころのない“証言バトル”は続くのか。そんな騒ぎの脇で、ヘンリー王子は身軽な“ソロ活動”が注目されている。ニューヨークや英国に続き南アフリカにも単独で向かうその姿が、タイミング的にまるで「家に帰りたくない夫」に見えてしまうのは致し方ないだろう。

デイリー新潮編集部