大橋祐紀

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 日本サッカー協会は3日、2026年北中米W杯アジア最終予選・サウジアラビア戦(10日・ジッダ)、オーストラリア戦(15日・埼玉)に臨む日本代表メンバー27人を発表した。9月の活動から3人を入れ替え、今夏加入したイングランド2部ブラックバーンで8戦4得点と売り出し中のFW大橋祐紀(28)が初招集された。プロ4年目まで大けがに泣かされ続けた遅咲きのストライカーが、傑出した決定力を武器に代表定着を狙う。2連勝中のチームは前回大会、敵地での最終予選で敗れたサウジアラビア、強豪・オーストラリアとの大一番2連戦に臨む。

 抜群の得点力でブレイク中のFW大橋が、28歳で初の日本代表入り。今夏移籍した英2部ブラックバーンで開幕2戦連発など8戦4得点。森保ジャパンでは、最終予選での代表初招集は21年の三笘薫(24歳)を抜いて最年長となった。森保一監督(56)は「普段やっていることを代表の舞台で発揮し、年齢は関係ないのでチャレンジしてほしい」と期待を寄せた。

 苦境からはい上がった。中大4年時に関東大学2部リーグで得点王(18戦21得点)。鳴り物入りで湘南に入団した1年目は右膝じん帯損傷で8か月、2年目は右肩関節脱臼で5か月と長期離脱の連続だった。けがが癒えた後は背後へのスピード、シュート技術、献身的な守備と本来持つ実力を発揮。昨季は13得点、今季は広島で11得点と決めまくり、初の海外移籍を実現した。

 英2部では右足2点、左足1点、頭で1点と得点パターンは多彩。元ウルグアイ代表FWルイス・スアレスに憧れ「前面に気持ちを出してゴールを狙うFWになる」が信条だ。開幕戦は昨季湘南で3得点、今季は広島、ブラックバーンでも得点した「開幕男」。その決定力は昨季4戦連続得点した際、観戦した湘南OBの元日本代表FW呂比須ワグナー氏(55)に「彼の方が上手」と絶賛された。

 世代別代表の選出歴もなく、東京五輪世代など森保監督が直接指導した選手ではない大橋が、最終予選で初招集。古橋亨梧、町野修斗ら欧州1部で結果を出した選手ではなく、目が届きにくい英2部での活躍が評価された。指揮官は「明らかに結果を出しているならば、誰にでもチャンスがある」と強調した。

 代表のFW陣は9月の活動から浅野拓磨、細谷真大が外れて「2減」。上田や小川が君臨する中、1トップやシャドーをこなせる大橋には違う持ち味がある。遅咲きの万能型ストライカーが、自身の“代表開幕戦”でも貪欲にゴールを狙う。(星野 浩司)

 ◆大橋 祐紀(おおはし・ゆうき)1996年7月27日、千葉・松戸市出身。28歳。J2千葉の育成組織、八千代高を経て中大に進学。4年時の2018年に関東大学2部リーグで得点王(21得点)。同12月に湘南の特別指定選手としてJリーグデビュー。19年に湘南入団。24年から広島に完全移籍。同7月にイングランド2部ブラックバーンに完全移籍。利き足は右。181センチ、76キロ。