東京のスープがうまい「絶品の塩ラーメン」ベスト6店…”あっさり”なのに《コク濃厚》、銀座・赤羽・川口・江古田・仙川・東久留米で「覆面調査隊」が発見
一時期の貝ダシブームから、鶏ダシ、さらにはそれらを組み合わせたWスープやトリプルスープなど、多様な広がりを見せる塩ラーメン。スープをスッと飲めば、思わず「旨い……」と口をつく。そんなじんわり染み入る至高の一杯をお届けします。
鶏×貝スープ
東久留米「入鹿TOKYO」
爽快な柚子の香りを鼻先に感じつつ、スープを舌に広げたら、名古屋コーチンや大山どりの深いコクがじんわりとやってくる。後味にはごく最近になって素材に加えたというムール貝の風味も重なって、複雑な余韻を楽しめる。全粒粉をブレンドした特注麺は、すすれば弾けるような香ばしさ。味覚と嗅覚を隅々まで刺激する渾身の1杯だ。
この柚子塩と肩を並べるのが上写真の醤油で、こちらはポルチーニの香りを移した鶏チーユ油と、薬味にトリュフも添えて、リッチで豊潤な味わいに仕上げている。
鶏×和風×魚介スープ
川口「おとなの塩soba」
「 最近ラーメンはちょっと重くて……」そんな“おとな”世代にうれしい一杯を作るのが、オーナーの大谷さん。鶏、和風、海鮮の3種類のダシを合わせたトリプルスープは、分厚い旨みがありながらも軽やかな仕上がり。
化学調味料不使用の上品でおだやかな味わいだ。さらに麺は国産小麦粉を店内の一画に設けた工房で打った自家製で、絹のようになめらかな舌触りと歯切れの良さがなんとも爽快。
麺自体の風味を直球で味わうなら「ざるそば」をチョイスすべし。まるで日本蕎麦を手繰るかのように、スルッと喉を通っていく。
鴨×鶏×生ハムスープ
東銀座「中華そば 銀座 八五」
今から1年と少し前、革新的なラーメンが銀座で誕生した。それは一般的に必須とされる“かえし”(タレ)を一切使用しないスープ。生みの親は長年フレンチの世界に身を置き、旧京都全日空ホテルの総料理長も務めた店主の松村さん。上質な鴨と名古屋コーチンをベースにドライトマト、イタヤ貝などからとるダシに重ねるのが、なんとイタリア産の生ハムなのだ。
調味料は塩だけで、それも味を調える程度だという。その味わいを例えるならば、とびきり上等なコンソメスープ。ため息の出るような深い、深い風味だ。
鴨×地鶏×煮干しスープ
仙川「中華そばし ば田」
ラーメン好きならばこの店名にピンとくるはず。こちらの「中華そば」は、東京を代表する醤油ラーメンだ。そして昨年7月からメニューに加わったのが新ジャンルの“塩”。そのきっかけは至ってシンプルに「旨い塩ラーメンを作りたくなった」(店主・柴田さん)。
津軽鴨や地鶏からとる、醤油と同じスープに煮干しのダシを合わせ、福建省のミネラル豊富な“福塩”で味を決める。全粒粉入りの細麺をすすれば、その香ばしさと共にくっきりとした魚介の輪郭が浮かび上がる。醤油に引けを取らぬ目の覚めるような出来栄えに拍手!
江古田「麺や金時」
無色透明なスープに秘められた力強い旨みと、どこまでも奥深いコクに圧倒される。スープに使う素材はネギなどほんの少しの野菜の他は鶏のみという潔さ。それもガラではなく、ムネとモモのミンチを弱火で沸騰させずに4時間かけて煮込んだ清チンタン湯。表面に浮かぶのが、門外不出の特別な手法で抽出する鶏油。
これがどっしり濃厚な風味を与え、しなやかな細打ち麺をすすれば、ふくよかな香りが一気に広がる。店主は四川料理の名店出身で、自家製ラー油と花椒をガツンと利かせた「汁なし担担麺」も塩に引けを取らぬ旨さだ。
鶏スープ
赤羽「焙煎汐蕎麦処 金字塔」
なんて香り高いラーメンだろう。鶏ガラやモミジをローストしてから炊いたスープ自体の香ばしさ。そこへ白トリュフオイルの深みが加わり、途中で別添えのコーヒー油を振れば一層厚みが増していく。さらにチャーシュー代わりにのせているリンゴのスモークウッドで燻製した自家製ベーコンのほのかに甘い香りも溶け出して、たった一杯の丼から次々と顔をのぞかせる、複雑で多重な香りの虜になる。
また「よだれ鶏」をはじめ、サイドメニューも優秀! 約30カ国、70種類も用意する世界のボトルビールと共に注文したい。
『おとなの週末』2020年2月号より(本内容は発売当時のものです)
…つづく「東京駅、じつは『朝ラーメンの天国』だった…! 朝からペロリの絶品ラーメン 《ベスト5店》 を覆面調査隊がレポート」では、早朝から開店している絶品のラーメン店を調査しました。