男子400メートル決勝直後にスタンドに向け、綺麗に揃ったお辞儀を見せた早大・眞々田洸大(左)と森田陽樹【写真:中戸川知世】

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THE ANSWER編集部カメラマン・フォトコラム

 陸上の第93回日本学生陸上競技対校選手権大会(日本インカレ)が9月19日から4日間、川崎市等々力陸上競技場で行われた。総合で男子3位、女子8位となった早大。男子400メートル決勝直後、2人の選手が並んで一礼した早稲田らしい印象的なシーンがあった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

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 息の合った綺麗なお辞儀だった。

 男子400メートル決勝、レース直後のこと。ゴールラインに向き直った2つの臙脂色のユニホームが目に入った。3位で駆け抜けた眞々田洸大(4年)が母校の応援席へ両手を上げると、4位でゴールした後輩・森田陽樹(2年)も並んで挨拶した。2人は同じタイミングで一礼。1秒ほど静止した後、また同じタイミングで体を起こした。

 あまりにピッタリ揃った振る舞い。気になって注目すると、他の早大の選手たちもレース後に丁寧に礼をしていた。

 今年で110代目を迎える早大競走部。歴史ある部活の今年度のテーマは「早稲田人たる覚悟」だ。競走部員としての自覚と理想に向かって突き進む覚悟をもって学生陸上界を牽引する存在になる、という意味が込められている。

 決して、ルールで決まっているわけではない。胸に「W」をつける者として恥ずかしくない行動を――という信念から出たお辞儀なのだろう。

 眞々田はインカレ前日、部のブログとして公開されている部員日記を「早稲田人たる覚悟」というタイトルで更新していた。マイルリレーの後も率先してチームメイトの手を取り、スタンドへ挨拶。全力でトラック1周、400メートルを駆けた直後、深々と頭を下げた姿に、副将も務める4年生の臙脂のユニホームへの誇りが滲んだ。

(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)