5回に暴投で勝ち越し、ガッツポーズでベンチに戻るいわき湯本・高崎(カメラ・秋元 萌佳)

写真拡大

◆高校野球◇福島県秋季大会 ▽3回戦 学法福島3−9いわき湯本(21日・ヨークいわきほか)

 3回戦が行われ、いわき湯本が学法福島を9―3で下し、2022年の統合後では春、秋を通じて初めて県大会8強に進出した。1番・高崎太智遊撃手(2年)が3安打1打点2四死球とリードオフマンの役割を果たすと、勢いに乗ったチームは14安打の猛攻で勝利。

 毎回のように得点圏に走者を置くピンチも、最終回は3者凡退で締めると、いわき湯本ナインは安どの表情で整列した。8強入りに、小野裕久監督は「力がないチームでスタートして、ここまで来られると思っていなかった。よく最後まで我慢した」と辛抱強く戦い抜いたナインをねぎらった。

 リードオフマン・高崎が打線をけん引した。初回は死球で出塁すると、後続の連打もあって2点を先制。3回は四球を選んだ。3―3の5回は先頭で左前打で出塁すると、2死三塁から暴投の間に本塁に生還した。

 リードしても、集中力を切らさなかった。6―3で迎えた9回。2点を加えなお2死一、三塁から俊足を生かした内野安打でダメ押しの9点目。6打席中5打席で出塁して3度も本塁を踏んだ。今大会は3試合で14打数10安打と打率7割1分4厘をマークする絶好調ぶりに「自分が出れば皆がかえしてくれる。自信を持って打席に立てている」と笑顔で語った。

 準々決勝では春夏に続き、聖光学院と3度目の対戦となる。春は1―10の8回コールド負け。夏は準々決勝で6―8と競り負けた。22年の統合後、現校名で初めての8強進出となったが、悔しさだけが残った。春夏ともに背番号6でレギュラーだった高崎は「同じ相手に3度は負けたくないです」。

 悔しさを糧に、マシンを約4メートル前に設置して速球を打ち込む“超近距離打撃練習”や30分間の徹底したバント練習。さらに速く正確な守備を目指して多少の乱れも許さない厳しい声かけをするなど、対聖光学院を意識して鍛えてきた。早くも巡ってきた「三度目の正直」のチャンス。高崎は「対戦経験があるからこそ、できる野球がある。絶対に勝つつもりです」と誓う。8強の壁を越え、いわき湯本が新たな歴史のページを描き続けていく。(秋元 萌佳)