井上尚弥のボディーショットは「唯一無二」 被弾して悶絶した元世界王者が告白した“異次元の破壊力”

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ドヘニーを連打で打ちのめした井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 世界が「怪物」と評する男の強打がいかに凄まじいのかを物語る決着だった。

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)は、9月3日に行われた4団体防衛戦で元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)を7回TKOで撃破した。

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 相手の出方とパンチ力を見定めた序盤こそ静かな入りを見せた井上。だが、ギアを入れた瞬間に相手を凌駕した。6回終盤に怒涛のラッシュでドヘニーを守勢に回すと、7回はゴングとともに猛烈な連打を展開。最後は強烈なボディーを腰付近に受けた37歳がたまらずに棄権を申告し、レフェリーが試合を止めた。

 陣営曰く「腰の神経を痛めていた」というドヘニーはリング上で「クソッ」とFワードを叫んだ。その痛々しい光景は、井上の強烈なボディーショットの衝撃を物語るには十分すぎるものだった。

 井上の圧勝劇は、かつて強打を受けた経験を持つライバルも刺激した。英ボクシング専門メディア『Seconds Out』の公式YouTubeチャンネルに出演した元WBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国)だ。

 バトラーも井上の強打に屈した一人だ。22年12月にバンタム級の4団体統一戦で対戦した34歳は、“亀戦法”と揶揄される守戦を選択。なんとか耐え続けたが、防戦一方となった最後は渾身のボディーショットからのラッシュで畳みかけられ、11回KOで敗北した。

 井上の強打を受け、仰向けに寝転び、悶絶していたバトラー。ゆえに棄権を決断したドヘニーの感情が理解できるのかもしれない。「イノウエは自分のボクシングをしっかりしていたと思う。脚や細かな角度を使って徐々に相手を削っていた。僕の時もそうだった」と語ったベテランは、こう続けている。

「イノウエのボディーは唯一無二だ。過去5、6試合で、何度ボディーで決めたか分からないけど、階級を上げるごとにボディーへのパンチを増やしている印象だ。ドネアとネリにも腹部に破壊的なパンチを入れていたよね。このTJ(ドヘニーの愛称)との対戦でもボディーは良かった」

 被弾者による経験談は、井上の異次元さを何よりも雄弁に物語る。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]