なんと1日に12時間も動画を視聴…「AVライター界の大谷翔平」の異名をとる男が明かす、AVライターの「ハードすぎる1日」

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AVライター・東風克智(45歳)。

自宅に所蔵していた大量のエロDVDが被災したことで東京に引っ越して来た件など、彼がいかにAVに救われてきた人生だったかは前編記事『日本でただ1人「AVライターだけで生計を立てている男」…ナイツ、エレキコミックら人気芸人からも絶大な支持を得る「異才」の奇妙な半生』で紹介した。

そんな彼は、一部界隈から「AVライター界の大谷翔平」とまで呼ばれている。今回の記事ではその理由と、AVライターの生活のリアルに迫りたい。

AVライター界の大谷翔平?

お笑いコンビ・ナイツは、自身のラジオ番組(TBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYOナイツのちゃきちゃき大放送』2024年7月6日放送回)にて、東風氏を「AVライター界の大谷翔平」と呼んでいる。これが、リスナーの間で話題となった。

いったいなぜ、AVライターが大谷翔平なのだろうか? まず、気になるこの呼称のきっかけから聞いた。

「AV好きとしても有名な、吉本興業のリボルバー・ヘッドという芸人が、昔から僕のレビューなどを読んで憧れてくれていて、凄さを表現するためにそう呼んでいたみたいです。ツッチー(ナイツ土屋)にもそれを伝えて、そこから広まったみたいです」

質量ともに他の追随を許さないAVレビューを書いていることを表現した、いわば“敬称”だった。実際、同業者を圧倒する仕事ぶりに舌を巻くAV関係者も多い。

「それを聞いた(ナイツ)塙さんは『あいつ、AVのことしかできないんだから(二刀流の大谷と違い)一刀流だろ』と言っていたらしいですけどね(笑)」

AVライターのハードすぎる1日

しかし、AVライターとしての“彼の凄さ”は、我々にはなかなかわかりにくい。そこで、普段の仕事ぶりを東風氏自身に具体的に聞いてみる。

「インタビューなどがない日は、ノートにメモを取りながらAVを見て、レビューを書きます。見ることに特化した日は1日で3〜4本見ます。最近は3時間ものも多いので、4本見たらそれだけで12時間になりますね」

AVライター=AVを見て感想を書いているだけ、とイメージすると簡単な仕事のようにも思えるが、さすがに12時間見続けるとなると、常人にはなかなかマネできることではない。

さらにエンタメコンテンツのレビューを書くライターの中でも、AV業界特有の苦労もある。

「映画とかであれば、2〜3時間のものを見たら語る内容はたくさんあると思うのですが、AVってだいたいやることが決まっていて、大して語ることがないんです(笑)。でも、プロとして作品が売れるためのレビューを書かないといけないわけですから、魅力をひねり出し、考えて文章にしていきます」

興味がない作品順にみるワケ

多い日には12時間にもわたってアダルトコンテンツを視聴し、メモを取り続ける日々。こうなると、AVで性的興奮を覚える事がなくなるように思えるが、東風氏からは想像を超える返答があった。

「興奮しますよ(笑)。先輩のAVライターには『いまだにAVを興奮しながら見ているAVライターって東風くんだけだよ』と言われました(笑)」

しかし、その興奮に流されないのがプロ。独自の方法で、原稿の質を担保している。

「一日に3本見るとしたら、最後に最も興奮しそうな作品を見るようにしています。でも、最初に見た『興味がない』と思っていた作品が意外とよかった時が大変です。欲求に流されてもいけませんし、興味がなかったということは、前情報やパッケージがあまり良くないということなので、僕の文章で売れるようにしなくてはいけませんからね」

知られざる努力の積み重ねによって、作品のレビューを月に約30本、これを10年以上キープしているのは、前編記事の冒頭で紹介した通り。それだけ、彼のレビューは秀でているのだろう。

「今の月収は、同年代のサラリーマンと同じくらいだと思います。本当は、もう少し仕事は増やせるんですよ。ただ、これ以上増やしてしまうとAVを見ることに特化する時間が減ってしまう。だから、少し抑えているのです」

腹に据えかねる作品に出くわすことも…

好きだという情熱は絶やさぬまま、欲求をコントロールし、表現物は冷静な視点と筆致で成立させる、まさにプロの仕事。しかし、好きだからこそ腹に据えかねる作品に出くわすこともあるという。

「僕が好きなジャンルも、好きだからこそいわゆる“擬似”だと許せない。レビューの依頼が来た時に、擬似だったら、本当はヒドイ点を書きたくなります。でもそれは女優さんが悪いわけではなく、制作サイドが悪いので、レビューでも遠回しにチクっとした一文を入れます(笑)」

逆に、仕事となれば食指が動かないジャンルも見なくてはいけない“つらさ”もある。その点についての葛藤を語る東風氏から感じられるのは、ブロガーとは一線を画す、商業ライターとしての矜持だった。

「興味がないジャンルの中にもいいと思う作品はありますが、そのジャンルに興味がない僕がいいと思う作品はマニアに受けるのかな? と悩むことはあります。

例えば、辛いものが苦手なグルメライターが、辛さ抑えめの麻婆豆腐を褒めたレビューを書いても、麻婆豆腐マニアの人からしたら邪道だと思いますよね。そうした葛藤は常にありますよ」

AVライターのヤバすぎる職業病とは?

AVライターの仕事を始めて15年以上になる東風氏。実は、ある困った職業病があると教えてくれた。

「エレキコミックのやついさんと一緒に登山に行った時に、急な斜面を見上げて、『VR天井特化アングルと一緒ですね〜』って言ったところ、全く伝わりませんでした。やついさんには『お前の例えはAVばっかりでわかりにくいんだよ!』って言われたりしています(笑)」

東風氏に、自身が他のライターに比べ秀でている部分を聞くと、「熱量と見ている数から算出される“統計”に基づいた筆致」だと話す。エロに興味がある人はもちろん、そうでない人も、彼の書く文章を一度読んでみてはいかがだろう。

<取材・文/Mr.tsubaking>

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