【EXILE CUP 2024 レポート】終了間際のドラマチックな展開。城北FC Aが初の栄冠…EXILE CUP 2024九州大会1
去る7月7日、「EXILE CUP 2024」の九州大会1が沖縄県総合運動公園蹴球場で開催され、蝉しぐれが降る中、今年も白熱した試合が繰り広げられた。
小学4〜6年生が出場対象で、FIFAワールドカップ南アフリカ大会が開催された2010年から始まったこのフットサル大会は、全国への挑戦権を手にできる貴重な場であるとともに、沖縄単独開催となる九州大会1は真夏の沖縄王者を決める、挑戦しがいのある大会として位置づけられている。
開会式では、沖縄県サッカー協会の玉城吉貴会長が「リスペクトの心を忘れず、優勝を目指して頑張ってください」と挨拶。そして沖縄まで応援に駆けつけたEXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチさん、DEEPのYUICHIROさんが選手たちに向けて「勝っても負けても相手のチームのことを称えて、チームメイト、コーチ・スタッフの皆さん、そして支えてくれる家族の皆さんに感謝をし、皆さんの成長につなげてください」(橘ケンチ)、「今日という一日が皆さんにとって最高の思い出になるように楽しくプレーしてください」(YUICHIRO)と激励した。
開会式のあとは、EXILE のTETSUYAさんが監修し、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」で準備運動。EXILEの楽曲『VICTORY』に合わせ、顔をほころばせながら選手も大人も一緒になってしっかりと体をほぐし、試合へと臨んだ。
沖縄本島と石垣島から集った40チームを10グループに分けて行われた予選リーグでは、昨年の九州大会1で初出場初優勝を飾った若狭サッカークラブと、2019年の同大会覇者で昨年のJFA全日本U-12サッカー選手権に沖縄県代表として出場したFCヴォルティーダ沖縄ジュニアが初戦で激突。7分ハーフで繰り広げられた熱戦は、巧みな個人技で先手を奪ったFCヴォルティーダ沖縄ジュニアが6−1で勝利した。
後がない若狭サッカークラブはその後の2試合を連勝し、予選リーグ2位となったものの、各組首位と2位グループの成績上位6チームに与えられる決勝トーナメント進出への権利を手にできず、狭き門に阻まれた。昨年、愛媛県今治市での全国大会に出場した若狭サッカークラブの恩河琉輝くんは「去年はGKとして出場し、レベルの差を感じながらも成長を実感した1年でした。今回はフィールドプレーヤーとして自分が真ん中に立って仲間を生かしたり、仲間が作ってくれたチャンスを自分が決めたりすることもできましたが、(初戦で)ヴォルティーダに負けてもっともっと成長しないといけないなと思いました。また頑張りたいです」と、悔しさをにじませながらも、経験をプラスにするため前を向いていた。
計60試合にわたる予選リーグが終わると、決勝トーナメントに進出した16チームによる組み合わせ抽選会を実施。橘ケンチさんとYUICHIROさんのサインが入った白いボールが目の前に並べられると、選んだボールに記された番号をキャプテンが読み上げ、続々と対戦カードが決まっていった。
決勝トーナメントの開始を今か今かと待っていた頃、夏空が一変して黒い雲に覆われ、さらに雷音が轟く。大会本部からすぐに安全な場所へと避難指示が出され、落雷の兆候が完全に払拭されるまでプレーを中断し、約1時間後に大会は再開した。この影響で大会方式の変更を余儀なくされ、準決勝までは5分ハーフの予定だったが、スケジュールの変更に伴い各試合7分間の1本勝負へと変更。またPK戦も1人目で決着するルールへと変わった。これにより短時間決着が求められ、先手必勝を狙って前がかりにプレーするエキサイティングなシーンが続出。再び陽が差し込むピッチの上で演じられたスリリングな展開に、見ている観客も手に汗を握った。
熱戦が繰り広げられた大会もついに決勝進出チームが決定。2019年以来、2度目の優勝を狙うFCヴォルティーダ沖縄ジュニア(以下、ヴォルティーダ)と、大会初優勝を目指した城北FCのAチーム(以下、城北FC)という顔合わせとなった。なお決勝戦は通常どおり、7分ハーフで開催された。
ドリブルで推進力を発揮するヴォルティーダに対し、遠目からでも果敢にシュートを放つ城北FC。前半をスコアレスで折り返し、独特な緊張感に包まれる。そして、後半3分を過ぎた頃、相手の守備を個人技でうまくはがしたヴォルティーダがついに均衡を破った。後がない城北FCは、監督代行の田港薫コーチが頻繁に選手を入れ替えながらフレッシュな脚に期待を寄せると、前傾姿勢だった相手の守備も徐々に後ろへと下がり始めていった。ただ、敵陣への進入回数を増やすもなかなか点が奪えず、このまま決着の雰囲気が漂う中で迎えた試合終了間際のラストプレー。右からのパスを受け、「特に(シュート)コースがあったわけじゃないけれど、もらったら絶対に打とうと決めていた」という城北FCの与那嶺成央くんが値千金の同点ゴールを決め、試合にピリオドを打たせなかった。
白熱の決勝は3分間の延長戦でも決着がつかず、PK戦にもつれ込む。3本勝負では決着つかず、2−2で5人目のキッカーを迎えた。先行のヴォルティーダがGKにシュートを阻まれると、続く城北FCのキッカーは新里勇人くん。「決勝トーナメント1回戦でヴォルティーダがPKで勝った試合を直接見ていて、『相手のGK、このコース苦手かも』と思ったところがあったのでそこを狙いました」と、助走をつけた新里くんはゴール右隅に焦点を絞ると、豪快にネットを揺さぶってついに終止符。PK戦を3−2で制した城北FCがEXILE CUP初優勝を飾った。
今大会、城北FCの高岡義泰監督に代わってチームを指揮した田港コーチは「全国出場が懸かった素晴らしい大会に数多くの良いチームがそろい、なおかつ雷雨の影響で急遽ルールが変わる難しい条件の中、選手たちが1試合ごとにたくましくなっていく姿がありました。決勝戦も、追い詰められながらも諦めずに最後まで走りきれたからこその結果だと思います」と、選手を称えた。
「前からどんどんボールを奪いにいくスタイルをもっと磨いて、出るからには優勝を目指します」(田港陽向くん)と、9月14日からアシックス里山スタジアムで開催される全国大会での活躍を誓った城北FCは、試合前に欠かさない掛け声「絶対に勝利を!城北1勝!」を誓い、目の前の試合に全力を出し切り全国の猛者と相対する。
文=仲本 兼進 写真=川畑 公平
小学4〜6年生が出場対象で、FIFAワールドカップ南アフリカ大会が開催された2010年から始まったこのフットサル大会は、全国への挑戦権を手にできる貴重な場であるとともに、沖縄単独開催となる九州大会1は真夏の沖縄王者を決める、挑戦しがいのある大会として位置づけられている。
開会式のあとは、EXILE のTETSUYAさんが監修し、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」で準備運動。EXILEの楽曲『VICTORY』に合わせ、顔をほころばせながら選手も大人も一緒になってしっかりと体をほぐし、試合へと臨んだ。
沖縄本島と石垣島から集った40チームを10グループに分けて行われた予選リーグでは、昨年の九州大会1で初出場初優勝を飾った若狭サッカークラブと、2019年の同大会覇者で昨年のJFA全日本U-12サッカー選手権に沖縄県代表として出場したFCヴォルティーダ沖縄ジュニアが初戦で激突。7分ハーフで繰り広げられた熱戦は、巧みな個人技で先手を奪ったFCヴォルティーダ沖縄ジュニアが6−1で勝利した。
後がない若狭サッカークラブはその後の2試合を連勝し、予選リーグ2位となったものの、各組首位と2位グループの成績上位6チームに与えられる決勝トーナメント進出への権利を手にできず、狭き門に阻まれた。昨年、愛媛県今治市での全国大会に出場した若狭サッカークラブの恩河琉輝くんは「去年はGKとして出場し、レベルの差を感じながらも成長を実感した1年でした。今回はフィールドプレーヤーとして自分が真ん中に立って仲間を生かしたり、仲間が作ってくれたチャンスを自分が決めたりすることもできましたが、(初戦で)ヴォルティーダに負けてもっともっと成長しないといけないなと思いました。また頑張りたいです」と、悔しさをにじませながらも、経験をプラスにするため前を向いていた。
計60試合にわたる予選リーグが終わると、決勝トーナメントに進出した16チームによる組み合わせ抽選会を実施。橘ケンチさんとYUICHIROさんのサインが入った白いボールが目の前に並べられると、選んだボールに記された番号をキャプテンが読み上げ、続々と対戦カードが決まっていった。
決勝トーナメントの開始を今か今かと待っていた頃、夏空が一変して黒い雲に覆われ、さらに雷音が轟く。大会本部からすぐに安全な場所へと避難指示が出され、落雷の兆候が完全に払拭されるまでプレーを中断し、約1時間後に大会は再開した。この影響で大会方式の変更を余儀なくされ、準決勝までは5分ハーフの予定だったが、スケジュールの変更に伴い各試合7分間の1本勝負へと変更。またPK戦も1人目で決着するルールへと変わった。これにより短時間決着が求められ、先手必勝を狙って前がかりにプレーするエキサイティングなシーンが続出。再び陽が差し込むピッチの上で演じられたスリリングな展開に、見ている観客も手に汗を握った。
熱戦が繰り広げられた大会もついに決勝進出チームが決定。2019年以来、2度目の優勝を狙うFCヴォルティーダ沖縄ジュニア(以下、ヴォルティーダ)と、大会初優勝を目指した城北FCのAチーム(以下、城北FC)という顔合わせとなった。なお決勝戦は通常どおり、7分ハーフで開催された。
ドリブルで推進力を発揮するヴォルティーダに対し、遠目からでも果敢にシュートを放つ城北FC。前半をスコアレスで折り返し、独特な緊張感に包まれる。そして、後半3分を過ぎた頃、相手の守備を個人技でうまくはがしたヴォルティーダがついに均衡を破った。後がない城北FCは、監督代行の田港薫コーチが頻繁に選手を入れ替えながらフレッシュな脚に期待を寄せると、前傾姿勢だった相手の守備も徐々に後ろへと下がり始めていった。ただ、敵陣への進入回数を増やすもなかなか点が奪えず、このまま決着の雰囲気が漂う中で迎えた試合終了間際のラストプレー。右からのパスを受け、「特に(シュート)コースがあったわけじゃないけれど、もらったら絶対に打とうと決めていた」という城北FCの与那嶺成央くんが値千金の同点ゴールを決め、試合にピリオドを打たせなかった。
白熱の決勝は3分間の延長戦でも決着がつかず、PK戦にもつれ込む。3本勝負では決着つかず、2−2で5人目のキッカーを迎えた。先行のヴォルティーダがGKにシュートを阻まれると、続く城北FCのキッカーは新里勇人くん。「決勝トーナメント1回戦でヴォルティーダがPKで勝った試合を直接見ていて、『相手のGK、このコース苦手かも』と思ったところがあったのでそこを狙いました」と、助走をつけた新里くんはゴール右隅に焦点を絞ると、豪快にネットを揺さぶってついに終止符。PK戦を3−2で制した城北FCがEXILE CUP初優勝を飾った。
今大会、城北FCの高岡義泰監督に代わってチームを指揮した田港コーチは「全国出場が懸かった素晴らしい大会に数多くの良いチームがそろい、なおかつ雷雨の影響で急遽ルールが変わる難しい条件の中、選手たちが1試合ごとにたくましくなっていく姿がありました。決勝戦も、追い詰められながらも諦めずに最後まで走りきれたからこその結果だと思います」と、選手を称えた。
「前からどんどんボールを奪いにいくスタイルをもっと磨いて、出るからには優勝を目指します」(田港陽向くん)と、9月14日からアシックス里山スタジアムで開催される全国大会での活躍を誓った城北FCは、試合前に欠かさない掛け声「絶対に勝利を!城北1勝!」を誓い、目の前の試合に全力を出し切り全国の猛者と相対する。
文=仲本 兼進 写真=川畑 公平