WurtS、ART-SCHOOL、Age Factoryら12組が集結、初の大阪単独開催となる『UKFC on the Road』で繰り広げた真剣勝負

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『UKFC on the Road 2024』2024.8.21(WED)大阪・なんばHatch

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

下北沢の老舗インディーズレーベル・UK.PROJECTとプロダクション『UKPM』が全力でプロデュースする、真夏のライブイベント『UKFC on the Road』が今年で14周年を迎える。今年は東京公演ではなく、初の大阪単独開催として、8月21日(水)大阪・なんばHatchに12組が集った。その面子を見ても、UK.PROJECTがジャンルにこだわらず、バラエティに富んだグッドミュージックを届け続けていることがわかる。2ステージに分かれて、同門同士でも先輩後輩関係なく熱い真剣勝負を魅せつけてくれた模様をレポート。セットリストのプレイリストも公開されているので要チェック!

LAYRUS LOOP (FLOOR STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

FLOOR STAGEというかイベント自体のトップバッターを、初の大阪単独開催という記念すべき年に、関西拠点のLAYRUS LOOPが務めるのは地元関西の人間としても嬉しい限り。オオトシユリヤ(Vo.B)、ムラカミマホ(Gt)、モトザワソラ(D)はステージに登場しただけで、もう喜びに満ち溢れているし、何よりもヤングバンドならではのキラキラしたフレッシュさが眩しすぎる。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

1曲目「スーパーヒーロー」から勢いよくスタートして、観ているだけで嬉しい気分になってしまう。大舞台だからこそ普段やり慣れている曲で挑むのが普通なのに、続く2曲目「幸せ者なの」と新曲をぶつけてくるあたりで勝負を仕掛けてきているのがわかる。1曲目と比べて落ち着いている曲だからこそ、オオトシの歌声がより際立つ。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

MCでは、ムラカミが野外ステージと勘違いして帽子と長袖を持ってきた話や、まるで曲が始まるみたいな長めのドラムフレーズを話の最後に添えたりと、その初々しさも可愛らしい。ラストナンバーは7月にリリースされたBIGMAMA・金井政人のプロデュース楽曲「心躍る方へ」。それこそ心躍るキャッチ―なナンバーだが、「好きなものが大好きだって」と歌った後に、オオトシの「好きに歌って大丈夫!」という煽りは自由に溢れていて素敵だった。トップバッターらしいトップバッター!

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

the shes gone(FRONT STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

FRONT STAGEのトップを飾ったのはthe shes gone。タオルを掲げてステージに現れたマサキ(Gt)を筆頭に、兼丸(Vo.Gt)、熊谷亮也(Dr)が姿を見せる。熊谷がドラムスティックをスッと挙げると同時に、「最低だなんて」でステージは幕開け。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

兼丸のボーカル力が際立つメロディアスな展開とグッとタイトなバンドの演奏を見せ、少しずつ熱を放っていくようなイメージを投げかけてくる。兼丸が歌いギターを弾きつつ歌い時折シャツの襟元を掴むエモーショナルな仕草に、想いと感情が色濃く現れる。伝えたいことがある、それがここに来たあなたに伝わって欲しい。切なる願望を含んだパフォーマンスに思える。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

「個人的には夏が苦手だけど、そういう人間がならす音も悪くないなと思ってくれたらいいなと思います」と兼丸の言葉と共に披露されたのは「線香花火」。うだるような暑さの日だったが、この曲で会場中に満ちていた“過ぎゆく夏の刹那”。まるで映像が目の前に現れてきそうなバンドの表現力には眼を見張るものがある。そしてしっとりとした空気をしっかりと引き継いだラブソング「ラベンダー」、アップテンポなナンバーに手拍子が起こった「タイムトラベラーと恋人」まで、1曲1曲を大切に届ける姿が印象的に映ったthe shes goneだった。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

からあげ弁当(FLOOR STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

FLOOR STAGEの二番手も関西拠点のからあげ弁当。LAYRUSは去年に続き2回目の『UKFC』だが、からあげは初登場。前の出番であるFRONT STAGEのthe shes goneライブを、FLOOR STAGEからじっと見つめて本番を待つ焼きそば(Vo.Gt)の真剣な眼差しが印象的だった。<夢から逃げてる僕を どうかぶん殴ってくれないか>と1曲目「チキン野郎」で歌い出した瞬間、今までライブを観たことあるが、明らかな進化を感じた。6月に新ギタリストを迎えて4ピースになったことが何よりも大きい。全てがぶっとくなっているし、4人になったことで焼きそばの自由度が増えて、歌声も響き渡っている。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

「OH MY GOD」みたいなヘビーでハードの曲は、尚一層重厚感がましているので説得力が増す。MCでは、焼きそばが『UKFC』について一生懸命説明しようとするが、スタート年は大きく間違えて言うし、UKを”ゆうへい”と自分の本名と言い間違えたりと愛嬌たっぷりすぎる。終盤のMCでは、本番当日の朝に祖父が亡くなったことを明かす。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

観客みんなと歌うはずだった曲を、「もうひとり追加! 天国にもまだ行ってない、まだその辺にいるおじいちゃんと一緒に歌いたいと想います!」と「乾杯をしよう」へ。Tシャツを脱ぐと胸には大きく“魂”と書きなぐられている。まさに魂の献杯……。おじいちゃん、お孫さん本当に良いライブをぶちかましましたよ……。大きな成長を遂げたライブ。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

Helsinki Lambda Club(FRONT STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

稲葉航大(Ba)がダッシュで現れたHelsinki Lambda Club。「ロックンロール・プランクスター」でスタートした彼らのソリッドでサイケなステージと、直前に泥臭いロックンロールで会場を沸かせたからあげ弁当とのコントラストに脳が眩む。オリエンタルテイスト溢れる「Chandler Bing」ではステージ下手の熊谷太起(Gt)と中央の橋本薫(Vo.Gt)の間に体をくねらせベースを弾きつつ稲葉が割って入り、想定外の動きに驚いた橋本が笑いを堪えられず「ちょ、もう1回いい?」とやり直す一幕も。なおも体と腰をくねらせ演奏する稲葉、笑いが漏れる橋本、我関せずの熊谷。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

続いた「Good News Is Bad News」では、橋本はギターを置いてマイクをスタンドに差しボーカルに専念する。グッとバンドの音がシンプルになり、ギターとベースとドラム、音が混ざり合うことなくストンと届いてくるのは不思議な体験だ。そして個人的に度肝を抜かれたのは「収穫(りゃくだつ)のシーズン」のパフォーマンス。歌と曲のただならぬ浮遊感に加え、曲の後半で熊谷のギターがうねって渦巻いていく音はキモ面白くて耳がゾクッ。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

ラストで橋本がシャウトしギターの音と絡み合う空間はまるで深夜3時の感覚で、ひとりひとりの奏でる音が混沌と絡み合って一つの曲を作るように静かな狂気すら感じた。終わった瞬間、耳の周りに音の残像を色濃く残し、もっと聴きたいと後を引く。そんなライブだった。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

peanut butters(FLOOR STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

FLOOR STAGEの三番手はpeanut butters。今年から新ボーカル・ばななあいすで動き出すも、この夏には全曲作詞作曲を務めるニシハラがライブ活動をしばらく休むことを発表して、ばななあいすとサポートメンバーにライブを託すという特殊状況。が、ライブを観たら全くそんなことは関係なくて、完全にばななあいす率いるバンドとして魅了する。ばななあいす加入後の初シングル「ヴヴヴ」から始まり、続く「ツナマヨネーズ」とpeanut butters独特の浮遊感あるストレンジなポップミュージックが炸裂。ばななあいすのキュートな歌声もバッチリすぎる。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

7月リリース新曲「あいへいと」も堂々と歌い上げ、告知などのMCでも既に何年もバンドをやっているかのような流暢な運び具合に驚いてしまう。アップテンポな「すげー(心のボーナストラック)」に体を揺らしながらメモを取りつつ、こんなに何で気持ち良いのだろうとふと考える。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

ラスト1曲前の「パワーポップソーダ」で、peanut buttersはパワーポップ、つまりはポップなメロディーと弾けるサウンドを鳴らすバンドであり、このジャンルが日本では意外と稀有なのでワクワクするのだと、ひとり納得してしまう。なのに、ラストナンバーでは「普通のロック」と歌っちゃう自然体な感じに胸キュンしてしまう。本当に始まったばかりである、peanut buttersは。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

the dadadadys(FRONT STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

リハの時点で既にフロアをブチ上げていたthe dadadadys。そのリハ中に突如Helsinki Lambda Clubの橋本薫が登場し、1曲歌い上げるサプライズコラボを見せる。小池貞利(Vo .Gt)の「このまま本番行こうよ!」という声に合わせるかのように、スッとイベントSEが差し込まれ、ライブへと傾れ込む。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

「蜩」、「朝焼け」、「拝啓」まで一気に3曲。儀間陽柄(Gt) 、佐藤健一郎(Ba) 、山岡錬(Gt)、yucco(Dr) の全員で間を作らず空間を全て音で埋め尽くすような演奏と、熱いパフォーマンスでがなり続ける小池。超高速でブルドーザーが走っていくような、見る者を蹴散らすステージを展開する。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

そして「令和の恥さらし、the dadadadysです!」と挨拶を挟むと小池がアコースティックギターに持ち替え「俺はオタクなんでアニソンのカバーやります」と『らんま1/2』のテーマ曲「じゃじゃ馬にさせないで」へと突入する。それまでとは急に一線を画す、愛ダダ漏れの強いオタク臭。意外な愛らしさを覗かせたかと思えば「にんにんにんじゃ」「ROSSOMAN」と、また重い音圧と暴れっぷりのいい演奏でステージ上はグッチャグチャ。これぞロックバンドのあるべき姿!そこからはユルくラップも盛り込まれた「らぶりありてぃ」、曲の後半で再びギアをトップに入れ直し「9月になること」へ。MCそっちのけで耳を刺激し続けられた30分強。大きな嵐が過ぎ去って行ったかのような時間だった。

ペルシカリア(FLOOR STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

前の出番であるFRONT STAGEのthe dadadadysライブを、FLOOR STAGEから見つめるペルシカリアのメンバーの元に、からあげ弁当の焼きそばが激励に向かっていた。東京大阪と拠点は離れているのにUKプロジェクト所属ということで繋がっている同世代のバンドマンシップにグッときてしまう。UK.PROJECTにはファミリー感がとてもある。1曲目「煙」での<めんどくさいほど世の中は>という歌詞がサウンドと合わさってエモーショナルに刺さる。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

矢口結生(Vo.Gt)はMCでも、しっかりと観客に訴えかけていく。なんばHatchキャパ2300人はFLOOR STAGEに立つ先輩方がワンマンで埋めれるハコであり、そこでのイベントに出れる自分たちにとっては「大チャンスってことだ!」と言い放つ。出演者の中で最年少のバンドが向こう見ずなのは清々しいし、若者は上昇志向があってなんぼだと嬉しくなる。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

2曲目「歓声の先」での<ビートルズが悪だった時代なんて>と歌い出した瞬間の衝動はとてつもなかった。そんな衝動で言うならば、5曲目の新曲「風道」は気付くと終わって呆気に取られてしまう。ライブ後、矢口に聴いたら30秒だという……。ラストナンバー「タイムオーバー」まで駆け抜けるかの様な疾走感に巻き込まれたし、ライブ後も鳴り響く残響音が堪らなかった。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

Age Factory(FRONT STAGE)

ステージに現れたのはAge Factory。彼らの出番直前には後方エリアに出演者や関係者がズラリ、期待度の高さが窺える。鼓動の音にも似たドラムの音が曲を貫く「Blood in blue」に始まり、4曲目の「Merry go round」まで息をつかせぬ怒涛の展開。楽曲の良さとバンドの演奏力の高さは言わずもがな、類稀な凛とした佇まいと根底に光るカリスマ性を目の当たりにさせてくれたのは、ライティングの効果も大きかった。逆光を巧みに操りメンバーをシルエットとして浮かび上がらせ、効果的に作り出された闇から清水英介(Vo.Gt)、西口直人(Ba)、増子央人(Dr)のソリッドな音が飛んでくるのがありありとわかる。こちらが音に敏感になる、そんな効果があったように思う。

夏をテーマに制作された「向日葵」「Shadow」を披露した後に清水が語ったのは、UK PROJECTに入れたことへの喜びだった。「このレーベルに俺たちの音源が残っていることが超うれしいです。俺がどんなやつだったかどうでもいいけど、歌が残ればいいと思います」。その言葉の後に演奏された「SONGS」こそそんな清水の意志が反映された楽曲で、パフォーマンスにも歌を残すという強い気持ちが前面に現れる。そしてラストソングは「nothing anymore」。最後にまたひとつギアを上げた、渾身の歌であり叫び。曲終わり、静寂の中で演奏された清水のギターソロも最高にシビれた。ぜひ彼らのライブを見て欲しい。音源とは比べものにならないほどむき出しだから。

the telephones(FLOOR STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

ステージ真ん中に石毛輝(Vo.Gt.Syn.Pg)、上手の松本誠治(Dr.Smp)と下手の岡本伸明ことノブ(Syn.Smp)が向き合うように陣取る。後方には彼らを象徴するDiscoを示すようにミラーボールが見える。昨年5月に3人体制となってからは初めて観るライブ。ノブが飛び出てきて暴れまくって踊りまくるのは何も変わらないが、約17年前のバンド初期からの代表曲「Urban Disco」から始まるも、良い意味で何かが違う。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

続く「HABANERO」も同じ時期からの代表曲だが、松本はドラムパッドを立ちながら叩き、ノブはブロックと呼ばれる打楽器を片手に持ちスティックで叩きまくる。Discoと掲げる様に初期からダンスミュージックを強く感じさせる彼らだが、あくまでロックバンドとしての一要素だった。しかし今はダンスパーティー(祭)を繰り広げるダンスパーティー(仲間)と変貌を遂げている。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

5曲目「Homunculus」も初期からの楽曲だが、ディープで重めのトラックから始まり、そこに乗っかりながら、UKには色んなバンドが存在するので、今日も全部観ると躁鬱の繰り返しになると笑う。そして、「音楽は全て最高! 音楽は全てDisco!」と宣言! 実は陰キャである彼らが、ダンスミュージックで全てを解放しようと促してくれるのは信用信頼できる。ラストナンバー「Monkey Discooooooo(2024)」は15年前の楽曲であり、昔ながらのロックバンド要素と現在のダンスパーティー(仲間)要素が見事に化学反応を起こしていて、観ていて頼もしかった。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

ART-SCHOOL(FRONT STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

ひとりひとりが毅然としたプレースタイルながら、卓越した演奏力で見るものをただただ圧倒したART-SCHOOL。木下理樹(Vo.Gt)、戸高賢史(Gt)のふたりに加え、やぎひろみ(Gt/ NITORODAY、Cruyff)、中尾憲太郎(Ba/ex.ナンバーガール)、そして藤田勇(Dr/ MO'SOME TONEBENDER)というメンバーを揃え、2002年に発表された「車輪の下」を爆音で放つ。とにかくギター&ベースの4人が奏でる音の圧が桁違いだ。「real love / slow dawn」ではその4人が演奏する手元の動きの速さに目を奪われ、そこから強靭なサウンドが生まれていると知る。熱を帯びグルーヴを作り出すギター&ベースが走り出そうとするのを、がっちりと藤田のドラムが捕まえる。これが今のART-SCHOOLの音楽なのだ。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

途中、戸高が「UKがなかったらART-SCHOOLは今存在していないと思います。感謝してもしきれないくらい感謝しています」とメッセージを放つ。その言葉に拳を振り上げていたのはおそらく彼らと共に歳を重ねた40代だと推測するが、それより若い世代がパフォーマンスに心を持って行かれている様子がたまらない。そして「Age Factoryがこの曲に影響を受けて曲を作ってくれたらしいです」と披露された、初期の楽曲「あと10秒で」。青さや爽快感を感じさせ、エモい気持ちに浸っていたらラストソング「Bug」へと移り変わる。この日披露されたのはほぼ2002~2009年の曲だが、「Bug」のリリースは2023年。“あの頃”から一気に“今”へ。ギターをかき鳴らし時に力強く、時に繊細な声で訥々と歌を放ち続けた木下とART-SCHOOLのこれからがまた楽しみになるライブだった。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

POLYSICS(FLOOR STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

FLOOR STAGEトリは、この日の出演者で一番UK所属キャリアが長いPOLYSICS。登場SE流れた状態で「ワンツースリーフォー!」とカウントを入れて、「Young OH! OH!」へ。そんなスピーディーな展開からして、格好良い……という言葉が思わず漏れる。ハヤシ(Vo.Gt)のギターが唸りまくり、「ウッハウッウハッ!」という掛け声も気持ち良すぎる! そのまま「シーラカンス イズ アンドロイド」へなだれ込み、頭のサイレン音が頭にこびりつく「I My Me Mine」ではカズーの音色もリズミカルで楽しい気分にしかならない。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

MCでは『UKFC on the Road』に初年度2011年から出場していることや、東京だけでなくフェスが無い全国各地を周ったことからコロナ禍での”IN THE AIR”(配信)や今年の初大阪単独開催など、丁寧に『UKFC』の説明をしていく。フレッシュな面子が増えたことにも触れて、POLYも結成27年ながら気持ちはフレッシュと決意表明して「SUN ELECTRIC」へ!

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

「Funny Attitude」「Shout Aloud!」と畳みかけて、「Boys & Girls」では曲中にハヤシが右手を振り上げてガッツポーズを! 上の世代は誠に元気で、下の世代も元気に出てくる中、まだまだ超元気にブッ飛ばしていく様を顕示してくれた様に想えた。ハヤシ、フミ(Ba)、ヤノ(Dr)の3人が鉄壁のグルーヴで『UKFC』を牽引してくれる姿は、同世代からしても誇らしい。ニューウェーブサウンドながら情緒的なメロディアスさも兼ね備えるラストナンバー「Electric Surfin' Go Go」には、本当にときめきしかなかった。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:松本いづみ)

WurtS(FRONT STAGE)

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

結成27年を迎えるUK.PROJECTの重鎮・POLYCICSのハヤシ先輩の「次はWurtS! 楽しんでいってね」という一言もニクい演出となった、この日の大トリを任されたWurtS。サポートメンバーとDJ&ダンサーであるウサギ、そしてWurtSが現れ、彼が拳を突き上げ「エボリューション」でライブが始まる。ダンスでフロアを盛り上げるウサギ、白シャツに黒いパンツ、黒いタイを思い思いに着こなしたWurtS&バンドメンバーが織りなすステージは、大人の文化祭の様相でワクワクする。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

曲はフロアをクラブに変えた「Talking Box (Dirty Pop Remix)」、WurtSもギターを弾きバンドサウンドを披露した「リトルダンサー」へと続く。ひと息つきながら、トリを務められることへの感謝を述べつつ「ここから踊れる曲が続きます!」と宣言。「BOY MEETS GIRL」「SWAM」「NERVEs」と、曲の中に盛り込んだラップや“3・2・1”というカウントダウン、EDMなど“踊れる”要素を押し出したパフォーマンスを展開する。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

MCでは自身のUK.PROJECT入りについて、自分は何も知らないまま両親がデモを送っていたと告白。スタッフから連絡が来た時は怪しさしかなかったと言うが「素晴らしいアーティストがいっぱいいる誇らしい事務所です」と笑顔を見せる。この夏は数々のフェスで新曲を演奏してきたWurtS。「ここでも熱々の状態で披露してもいいですか?」と新曲「NOISE」を披露。夜の高速ぶっ飛ばし系の疾走感も心地よいバンドサウンドが際立つ1曲に、観客が手拍子で華を添える。エレクトロのいいところ、バンドのいいところ、その取り入れ方のバランスの良さこそ彼の飛び抜けたセンスだ。それをまざまざと見せつけられた「ふたり計画」「僕の個人主義」まで全9曲。UK.PROJECTの一角を担うこれからのアーティスト像を見せてくれた。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

そして本編終了後、即座に始まったアンコールを求める手拍子。ステージに戻ったWurtSは「アンコールありがとうございます。何度やってもうれしいです。だからみんなと歌いたいんですけどどうですか?」という言葉に続けて演奏されたのは、彼の名を世に知らしめた「分かってないよ」。キャッチーなメロディーに乗せて、会場にいた全員が大合唱。何度も繰り返される「分かってないよ」の大合唱とコール&レスポンス、ギターをかき鳴らし手を挙げ飛び跳ねるWurtSの姿は、今日のラストにふさわしすぎる盛り上がり。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

「UKFC最高でした! ありがとう! 最高でした」。そんなWurtSが出演者を全員ステージに呼び込み、記念撮影へと雪崩れ込む。とはいえ彼は、UK.PROJECTにおいてまだまだ若手。すると若手になり替わり、POLYCICSのハヤシ先輩が「はい並んでね~、3列ね~、誠治(松本/the telephones)モタモタしない!」とテキパキ仕切り出し、UK.PROJECTスタッフたちが「さすがだな~!」と拍手をおくる。出演者&観客全員で\UKFC!/と何度も叫ぶ中で撮影が進み、大阪単独初開催の『UKFC on the Road 2024』の幕は下ろされた。

写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ)

取材・文=鈴木淳史(FLOOR STAGE)、桃井麻依子(FRONT STAGE)
写真=UK.PROJECT 提供(撮影:タカギユウスケ、松本いづみ)