「電話番号の下4桁」の情報だけで落ちていたAirPodsの持ち主を見つけた方法とは?
AppleのワイヤレスイヤホンであるAirPodsには、落としても「探す」アプリを使用して場所を見つけられる機能があり、落とし主が紛失に気付いていれば拾ってくれた相手に連絡先を知らせることもできます。しかし、落とし主がAirPodsの紛失自体に気付いていない場合、拾ってもシリアルナンバーや携帯電話番号の下4桁といった限られた情報しかわかりません。アメリカのオレゴン州に住むアレックス・ヤンシー氏が、「電話番号の下4桁」の情報だけで落ちていたAirPodsの持ち主を見つけ出した方法について解説しています。
https://alexyancey.com/lost-airpods/
ヤンシー氏の友人はある日、地面に落ちているAirPodsを発見しました。スマートフォンをAirPodsに近づけて表示された通知をタップすると、AirPodsのシリアルナンバーや電話番号の下4桁が表示されましたが、それだけでは持ち主に連絡を取ることができなかったため、友人はヤンシー氏に相談したとのこと。
以下の画像が、ヤンシー氏の友人のスマートフォンに表示された情報です。今回、電話番号の下4桁は仮に「1234」とされています。
方法としては、電話番号の下4桁が「1234」となるすべての組み合わせに、「AirPodsを落としませんでしたか?」とSMSメッセージを送って持ち主を探す手があります。しかし、これは連絡する相手があまりにも膨大であり、非現実的な方法といえます。そこでヤンシー氏は、まずAirPodsを拾った場所がアメリカ北西部でも有数の大都市であるオレゴン州ポートランドであることを考慮して、「落とし主はポートランドの中でも自分や友人の住所付近に住んでいる」と仮定しました。
アメリカの電話番号は、「3桁のエリアコード(市外局番)」と「7桁の固有番号」の組み合わせからなる10桁の数字に統一されており、日本とは違って固定電話と携帯電話の区別がありません。つまり、日本では「090」や「080」で始まる番号を見れば「これは携帯電話番号だ」とわかりますが、アメリカでは電話番号を見ただけではそれが固定電話なのか携帯電話なのかわからず、代わりに「どの地域に住んでいる人なのか」がわかるというわけです。
ヤンシー氏の「AirPodsの落とし主は自分たちの住所の近くに住んでいる」という仮定により、まず最初の3桁のエリアコードが特定できます。そうなると、10桁のうち「3桁のエリアコード」と「末尾の下4桁」がわかるため、残る電話番号の組み合わせは間の3桁が「000」〜「999」となる1000通りとなります。これでかなりSMSメッセージの一斉送信が現実味を帯びてきましたが、ヤンシー氏はもう少し絞りたいと考えました。
実は、ポートランドでは電話番号の真ん中の3桁のうち、「000」〜「199」は通信事業者が使用できない予約済みコードとなっています。また、間の3桁はどの数字が携帯電話を含む無線通信事業者に割り当てられるのかが決まっており、無線通信事業者に割り当てられているのは全体の26%だとのこと。これにより、あり得る電話番号の組み合わせは232通りまで減りました。
さらに、AndroidユーザーがAirPodsを使っている可能性はかなり低いため、落とし主はiPhoneを持っていると仮定できます。そこでヤンシー氏は、その電話番号がAppleのメッセージングサービスであるiMessageに対応しているかどうかを調べられるAPIを使用して、iPhone以外が使っている電話番号を除外しました。最終的に、AirPodsの持ち主の可能性がある電話番号は84通りまで絞り込めたとのことです。
電話番号のリストが絞られたので、ヤンシー氏はMacBookのスクリプトを使ってiMessageを一括送信しました。すると、10件未満の返信があり、そのうちの1人は自分がAirPodsを落としたと名乗り出ました。ヤンシー氏はその人の連絡先を友人に伝え、友人は無事にAirPodsを落とし主に返却できたとのことです。
この方法はソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題を呼んでおり、「学校の運動場にケースを入れたAirPodsを落としたが、大雨を挟んだ1週間後でもまだ充電が残っており、『探す』機能を使って見つけることができた」といった体験談や、「ケースに入れたAirPodsを洗濯機と乾燥機にかけても壊れなかった」といったコメントなどが寄せられていました。
Did you lose your AirPods? | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=41334207