大量のロシア関連のXアカウントが投稿や返信を通じてウクライナへの支援を弱めようとするなどの荒らし行為を行っていることが明らかに
SNSのX(旧Twitter)で、ロシアを拠点とするいくつかのアカウントが政治的対立や国際情勢に関する誤情報を広めていることがわかりました。2024年のアメリカ大統領選挙が迫る中、外国による選挙介入が行われることへの懸念も高まりつつある現状をウォール・ストリート・ジャーナルがまとめています。
How Russian Trolls Are Trying to Go Viral on X - WSJ
アメリカの司法省は2024年7月、ロシア連邦保安局が運営するとされる約1000のXアカウントのユーザー名を公開し、ボットのような活動をするアカウントがプロパガンダ活動を行っていると発表しました。事情に詳しい人物によると、これらの活動はアメリカやヨーロッパ、イスラエルに関する偽情報や誤解を招くような情報を広めようとするもので、政治的分裂を煽り、反ウクライナ感情を煽ることにも重点を置いていたとのことです。
これらのアカウントは公開時点で既に削除されており、Xを所有するイーロン・マスク氏は「司法省の支援はありがたいが、Xはすでにロシアのアカウントを停止しています」と投稿しました。
DoJ support was appreciated, but we were already suspending the Russian accounts— Elon Musk (@elonmusk) July 11, 2024
アメリカのクレムソン大学の研究者が司法省のリストを基に過去のデータを参照したところ、ロシアのネットワークに関連付けられた200以上のアカウントから1300近くの投稿を収集できたとのこと。研究者らが調査したところ、ロシアの活動家たちは「多くのフォロワーを獲得するために時間とエネルギーを必要とする高投資アカウント」から、「すぐに量産できる低品質なアカウント」を作成する方向へ長年にわたって変化する様子が確認できたといいます。顕著な例として、「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はハンガリーを戦争に参加させたがっている」などと主張するために、様々な著名なアカウントに50回以上返信しているものが確認されたそうです。
上記とは別に、ウォール・ストリート・ジャーナルが1000件以上の投稿を調査したところ、多くのフォロワーを持つアカウントに返信する形でメッセージを発信しようとするアカウントが多数確認されたとのこと。これらのアカウントは有名な人物との交流を模索していて、人々の注目を集めるような反応をしてくれることを期待しているようだとウォール・ストリート・ジャーナルは推測しました。
こうしたアカウントはしばしばアメリカ人を装い、マスク氏やドナルド・トランプ・ジュニア氏といった有名人や、議員、ジャーナリストなどに接触し、ウクライナへの国際的な支援を弱めようとする内容の投稿を行っていたといいます。
アメリカの情報当局は「大統領選が近づくにつれ、ロシアは有権者をターゲットにした活動を強化する」と警告しました。一方で、ロシアはアメリカの選挙への介入を否定しているとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えています。