2024年8月22日にGoogleがリリースした「Pixel 9」「Pixel 9 Pro」「Pixel 9 Pro XL」は、最大6.8インチのディスプレイやAI処理に磨きをかけたチップセットのGoogle Tensor G4、刷新されたカメラバーを搭載したGoogleのフラッグシップスマートフォンです。そんな「Pixel 9」シリーズを実際に使用した海外レビューが出そろったので、主なものをピックアップしてみました。

◆AIによる画像修正機能

Google Pixel 9 Pro and 9 Pro XL review: AI all over the place - The Verge

https://www.theverge.com/24225221/google-pixel-9-pro-xl-review-ai-gemini-screen-battery-camera



IT系ニュースサイトのThe Vergeによると、本体の側面が平らになり、画面の周りのベゼルが均一になったPixel 9シリーズは正面から見るとiPhoneのようだとのこと。一方、デザインが刷新されたとはいえPixel 6以降のGoogle製スマートフォンの象徴になっているカメラバーは健在のため、全体としては一目でPixelとわかる見た目です。

特筆すべきは発熱の改善で、チップが前モデルのTensor G3からTensor G4になったことや、Pixel 9 ProとPixel 9 XLに搭載されている冷却機構のベイパーチャンバーのおかげで、スマートフォンをWi-Fiホットスポットとして使用しても火が出そうなほど熱くなることはなくなりました。また、指紋センサーも光学式から超音波式になったことで高速化しています。

これらの点から、The VergeはPixel 9シリーズの本体については「Googleは『ミッション完了』の旗を掲げてもいいでしょう」と評価しました。

一方で目玉であるAI機能の完成度にはばらつきがあります。例えば、カメラに統合された「Add Me(一緒に写る)」で自分の姿を写真に合成したり、生成AIを使った「Magic Editor」機能の1つの「Reimagine」でプロンプトを使って画像を加工したりするのはある程度うまく機能しました。

「Add Me」で中央の男性の左隣にThe Vergeのライターのアリソン・ジョンソン氏が追加された写真(左)と、オリジナルの写真(右)。男性の肩の部分が不自然になっていますが、ぱっと見ではうまく合成されています。



しかし、スクリーンショットに映っているものをAIが自動で分析する「Pixel Screenshots」の精度はかなり期待外れだったとのこと。こうした点からThe Vergeは、Pixel 9のAI機能については「一貫性なし」との評価を下していました。

◆発熱とバッテリー関連

Pixel 9 Pro's New Fingerprint Reader, Modem Impress Us

https://www.droid-life.com/2024/08/21/pixel-9-pro-fingerprint-reader-modem-tests/



Android関連情報専門のニュースサイト・Droid Lifeによると、従来のPixelシリーズでは、TensorチップとSamsung製モデムの相性により、モバイル接続が不安定になったり、発熱したり、バッテリーを過剰に消耗したりする問題が発生することがあったとのこと。

一方、 Droid LifeがレビューしたPixel 9 ProとPixel 9 Pro XLの2機種では、1週間のレビュー期間中にモバイル接続が切れたことは1回もなく、温度も通常の動作温度の範囲内でした。これは、画面を付けっぱなしにしつつモバイル接続のみでポケモンGOを2時間プレイしても同様であったため、この点についてDroid Lifeは高く評価しています。

また、指紋センサーも迅速かつ正確で、読み取りエラーが発生した回数は片手で数えられるほどしかなかったとDroid Lifeは述べました。

Pixel 9 Pro XL impressions: great hardware, better battery life

https://9to5google.com/2024/08/21/google-pixel-9-pro-xl-battery-life-tensor-g4-impressions/



IT系ニュースサイトの9to5Googleは、1週間のレビューで特に印象的だった点を「バッテリー寿命」としています。

これまでのTensor搭載端末はいずれもバッテリー寿命が難点であったため、Pixel 9シリーズも例外ではないと踏んでいた9to5Googleでしたが、Pixel 9 Pro XLを13〜15時間連続使用し、そのうち5時間は画面を点灯させて使っていたにもかかわらず、Pixelの省エネ機能であるバッテリーセイバーは起動しなかったとのことです。

このことから9to5Googleは「Tensor搭載モデルどころか、過去のPixelの中で最高のバッテリー寿命かもしれません」とコメントしました。

また、ソフトウェアも高速化しているほか、発熱も一定の温度に達するとそれ以上高くなることはありませんでした。一部では、スロットリングを指摘する声もありますが、9to5Googleが使用した限りでは通常の使い方やゲームのプレイ中にスロットリングが気になることはなかったそうです。

Google Pixel 9 review: A fun AI phone for everyone | Android Central

https://www.androidcentral.com/phones/google-pixel-9-review



バッテリー寿命については好評だった一方、充電速度については不満の声が上がっています。特にPixel 9の充電速度は遅めで、Android CentralによるとPixel 9 Pro XLは30分で0%から70%まで充電できたのに対して、Pixel 9は50%しか充電できなかったとのこと。

幸い50%もあれば1日は持つそうですが、Android Centralは「有線充電とワイヤレス充電の速度は、急速充電機能を持つほかの多くのフラッグシップAndroidスマートフォンに遅れをとっています」とコメントしました。

◆文字起こし要約機能

Pixel Recorder's summaries are actually useful on the Google Pixel 9 - Android Authority

https://www.androidauthority.com/pixel-recorder-google-pixel-9-3473920/



Googleのスマートフォンは、Pixel 8シリーズから生成AIの「Gemini Nano」を搭載していますが、Pixel 9シリーズのGemini Nanoはマルチモーダル機能を備えているという点で前モデルから進歩しています。

Pixel Recorderアプリに搭載されたトランスクリプト機能も強化されており、Android Authorityが実施したテストでは、Pixel 8 Proでは20分の録音も処理出来なかった一方、Pixel 9では41分の録音のトランスクリプトを問題なく生成できたとのこと。

ただし、1時間の録音は処理できなかったことから、Android関連のニュースサイト・Android Authorityは「講義を要約しようとする学生や、長時間の会議を要約しようとするジャーナリストにとっては、まだ十分ではないかもしれません。将来のバージョンのGemini Nanoでは、さらに多くのテキストを処理できるようになり、Pixel Recorderアプリが『トランスクリプトが長すぎます』と文句を言わなくなることを期待します」とコメントしました。

◆「デバイスを探す」機能

Find My Device works on the Pixel 9 series hours after it's switched off

https://www.androidheadlines.com/2024/08/find-my-device-works-on-the-pixel-9-series-hours-after-its-switched-off.html



Googleは2024年4月に「デバイスを探す」機能を強化したことを発表しており、これによりデバイスの電源が切れても端末の位置を探すことができるようになりました。

ニュースサイトのAndroid Headlinesは、実際にテストを行って、Pixel 9で「デバイスを探す」機能が使えることと、電源が切れてから数時間後が経過しても位置が特定できることを確認しています。

以下は、使用を開始してから最初にバッテリー残量が低下した際に表示される、「デバイスを探す」機能に関しての説明です。通知には「このスマートフォンのバッテリーが切れたり、電源を切ったりした場合、『端末を探す』ネットワークは数時間このスマートフォンの位置を特定することができます」と書かれています。



◆ついにサポートされた画面出力機能

The Google Pixel 9 supports display output out of the box, but it isn't very useful

https://www.androidpolice.com/google-pixel-9-display-output/



Pixel 9、Pixel 9 Pro、Pixel 9 Pro XL、Pixel 9 Pro Foldはすべて「DisplayPort Alternate Mode」と呼ばれる画面出力機能をサポートしており、USB Type-Cを介してDisplayPort信号を出力できます。

これにより、Pixel 9シリーズの画面を外部ディスプレイにミラーリングできますが、UIが横長画面に最適化されていないため、動画の再生中以外は不自然に画面がつぶれてしまうとのこと。

SamsungのGalaxyシリーズは「Samsung DeX」という機能でこの問題を解消していますが、PixelシリーズにはSamsung DeXに相当するものがまだないため、画面出力を試したAndroid Policeは「Pixel 9をポータブルPCにしたいと思っていた人はがっかりするでしょう」と述べました。