「東大に行け!」は勉強しない子にこそ有効なワケ
(漫画:©︎三田紀房/コルク)
記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。
その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。
そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載。連載を再構成し、加筆修正を加えた『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』は、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。連載の第134回は、勉強嫌いな子どもに、あえて東大を目指させるメリットをお話しします。
勉強嫌いな子どもへの解決策
「子どもが全然勉強しません!どうすればいいですか?」
親御さんからよくこんな質問をいただきます。
親御さんが「あなた宿題やったの?」「今度のテスト大丈夫なの?」と聞かない限り、勉強しない。ほとんどの家庭でよく見られる光景でしょう。
これには、とてもシンプルな解決策があります。東大を目指してもらえばいいのです。
「えぇ、自分の子どもには東大なんて目指せる実力はないよ……」と思うかもしれませんが、別にその子の学力帯は関係ありません。とにかく、親御さんが子どもに「東大を目指そう!」と言い続ければいいのです。
なぜこの方法が有効なのでしょうか。まずは漫画『ドラゴン桜』のワンシーンをご覧ください。
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(漫画:©︎三田紀房/コルク)
(漫画:©︎三田紀房/コルク)
(漫画:©︎三田紀房/コルク)
桜木先生は、「東大に入るという明確な目的がある」「何を見ても何を聞いても刺激と発見があるはずなんだ」と言っていますね。この言葉のとおり、目的意識があると、やる気がでてくるものです。
漫画でも「東大に行く」という目的を明確にすることで、生徒のやる気が鼓舞されていました。
目的がないと、勉強する意味もわからず、ただやりたくないことをやらされるだけになってしまいます。
そもそもなぜ子どもは勉強をしないのか、ということを考えてみましょう。子どもが勉強に対してやる気を持てないのは、「やる意味がわからない」というのがいちばんよくある理由です。
算数を勉強していても「なんでこんな計算なんかしなきゃなんないの?」と考え、古文を学んでいると「なんで昔の言葉を覚えなきゃいけないの?」と考えてしまう。そうすると集中できなくなってしまいますよね。
ここで難しいのは、勉強する意味は、勉強してからしかわからないということです。
日ごろ勉強をあまりしていない子どもに「勉強って楽しいんだよ」と言っても、伝わり切らないのです。
東大は「ちょうどいい」目的だ
これは勉強以外にも、同じことが言えると思います。どんな物事も、最初は別に楽しくないんですよね。続けないと、「楽しい」と感じるラインまではいかない。野球やサッカーなどの運動でも、走り込みが楽しいという人や、体力作りのための筋トレが面白いという人はあまりいないでしょう。
古文に関しても、古文単語を覚えて、古典文法を理解するところに楽しさを見いだすのは難しいですが、文章を読めるようになって「うわ、源氏物語って面白いんだな!」と思えるようになったら「楽しい」「やってよかった」と感じられるようになります。学んだ後にしか楽しさがわからないから、「勉強しよう」という気になれないのです。
そうであれば、勉強する目的を明確にしてあげる必要があります。「東大」というのはその点において、「ちょうどいい」目的です。
高い目標ではあるものの、多くの人にとっては「数学オリンピックがんばろう!」よりも、知名度があり、「頭がよくなろう!」よりも具体的で、目標にしやすいはずです。
小学生や中学生にとっては「まだまだ先」の話だからこそ、「今からガチでやればもしかしたらいけるんじゃないか」という気になれます。高校生であれば大学受験が近づいてきているからこそ、リアリティーを持って「受験が近づいてきているし、頑張らないと」という気持ちにもなります。
野球をやっている生徒が甲子園を意識するように、勉強面でも子どもに「東大に行こう!」と言えばいいのです。きっとその言葉は勉強に前のめりになるきっかけになるはずです。
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(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)