復活へ突き進む山本由伸が見せたオリックスの後輩への気遣い 本人は9月上旬にローテ復帰か
山本は順調にリハビリを続けている。8月中には実戦登板予定だ(C)Getty Images
8月6日の練習後、ドジャース山本由伸投手がグラウンド上で私のところに挨拶に来てくれました。オリックス・バファローズ時代以来の取材。ドジャーブルーのユニフォームがLAの空の下、眩しく映えていました。
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「肩の状態が心配で日本から来ました。表情を見ていると順調そうですね!」と問いかけると、山本投手はすぐさま「ありがとうございます!順調ですよ。もう痛みもありません」と答えてくれました。その表情からは自信が溢れていました。
私もその言葉に安心しながら、「大きなケガだけは本当に気を付けて下さいね。日本の皆さんも心配しています」と言葉を添えました。彼は、真剣な面持ちで「そうですよね、気を付けます…もう全力で行けますから」と決意を語り、その覚悟に胸を打たれたグラウンド上でした。
彼がこれまで経験してきた野球人生の中で、これほどまでに実戦から離れていたことがあったのか、私は尋ねました。「オリックス時代も含めて、これだけ投げていないのは初めてじゃないですか?」と問いかけると、山本投手は「確かにこれだけ(実戦から)離れるのは初めてですね」と静かに頷きました。しかし、その言葉の後に続いたのは、「でも、この期間にいいヒントは見つかりました。2つ3つ良いものを得られましたよ」という、期待を抱かせる力強い一言でした。彼がただのリハビリ期間を過ごしていただけではなく、自らをさらに高めるための貴重な時間としていたことが、この短い言葉からも伝わってきました。
話が続く中で、私はオリックスの東晃平投手のケガについても伺いました。「そういえば、オリックス東君も怪我してしまって…」と告げると、山本選手は少し驚いた様子で「え? ほんとですか? 肘ですか? 肩ですか? トミージョンですか?」と問いかけてきます。その真剣な眼差しには、可愛がってきた後輩投手への思いやりが垣間見えました。幸いにも来年の2月キャンプには東投手が復帰できる見込みだと伝えると、山本投手はほっとした表情を見せ、「よかったです…ではトミージョン手術ではなく、クリーニング系ですかね。よかった…」と安堵の言葉を口にしました。
最後に、私は「本当に由伸君も気を付けて下さいね。今日、囲み取材あるんですね!」と声を掛けると山本投手は微笑みながら「はい!あとは囲みで聞いて下さい!」と軽やかに応じてくれました。私は「9日も来ます!囲み取材、楽しみにしていますよ!」と答え、彼の復活を心から期待しながらその場を後にしました。
いよいよ実戦復帰が近づいてきた山本投手。表情はとても晴れやかでした。8月半ばの実戦登板、9月のメジャー復帰登板が確実に見えてきました。
今回の取材では、自分のことよりも、むしろ古巣であるオリックスの後輩であり、幾度となく助言をしてきた東投手のことも気遣う姿が印象的でした。オリックス在籍時には、カットボール、ツーシームなど横へ変化をするボールを中心に東投手にアドバイスを送り、新人での球団記録となる初登板からの8連勝を支えました。
完全復帰への道筋が見え、他を思いやる精神的な余裕も垣間見えた元オリックスのエース山本由伸。リハビリ期間中は元チームメイトの選手らとも連絡をとったと話してくれました。
オリックス時代、脇腹を痛めての離脱が何度かあった山本投手。ただ、復帰後の登板は素晴らしい内容のピッチングが続きました。復帰後に強い、山本由伸が帰ってくるのです。
日米ともに佳境を迎える2024年シーズン。山本由伸の完全復活がドジャース世界一へのカギを握ることは間違いありません。その姿を見たオリックス戦士がクライマックスシリーズ進出へ、刺激となることも間違いありません。さあ、勝負のセプテンバーチャレンジがやってきます。
[文・田中 大貴]
田中 大貴 (たなか・だいき)
1980年4月28日、兵庫県小野市生まれ。小野高では2年から4番で打線の主軸を担った。慶應義塾大学では4年春に3本塁打でタイトルを獲得。フジテレビ入社後は主に報道・情報番組とスポーツを担当。「とくダネ!」「すぽると!」ではバンクーバー 五輪、第2回WBC、北京五輪野球アジア予選、リオ五輪キャスターなど様々なスポーツイベントを現地からリポートした。