商品説明に「AI」という言葉を使うと消費者の購買意欲が低下する可能性
生成AIの台頭により、AI機能をうたう製品をよく目にするようになってきています。しかし、製品やサービスの説明の際に「人工知能」という用語を含むと、消費者の購買意欲が低下することがアメリカ・ワシントン州立大学が行った調査で明らかとなりました。
Adverse impacts of revealing the presence of “Artificial Intelligence (AI)” technology in product and service descriptions on purchase intentions: the mediating role of emotional trust and the moderating role of perceived risk: Journal of Hospitality Marketing & Management: Vol 0, No 0 - Get Access
Using the term ‘artificial intelligence’ in product descriptions reduces purchase intentions | WSU Insider | Washington State University
https://news.wsu.edu/press-release/2024/07/30/using-the-term-artificial-intelligence-in-product-descriptions-reduces-purchase-intentions/
Study Finds Consumers Are Actively Turned Off by Products That Use AI
https://futurism.com/the-byte/study-consumers-turned-off-products-ai
研究チームは1000人以上の被験者に対し、同一のスマートテレビの説明を提示してその後の消費者行動を調査しました。その際、一方のグループには「AI」という用語を含め、もう一方のグループでの説明では「AI」という用語は省かれました。実験の結果、商品説明に「AI」が含まれたグループは、もう一方のグループよりもテレビを購入する可能性が低くなりました。
また、研究チームは同様の実験をスマートテレビ以外でも実施。その結果、高額な電子機器や医療機器、金融サービスなど、購入に際して「リスクの高い」製品の場合、「AI」という用語を含んだ製品が購入される可能性が低くなりました。研究チームのメスト・チチェク氏は「合計8つの製品とサービスで効果をテストしましたが、結果はどれも同じでした。そのため、製品の説明に『AI』や『人工知能』といった用語を含めるのは好ましいことではないことが示されています」と述べています。
さらにチチェク氏は「金銭的損失や身体的安全への危険性が含まれる可能性のある製品の説明に『AI』という用語を用いると、消費者は警戒感を強め、購入する可能性が低くなると考えられます」と言及しました。
テクノロジー調査・コンサルティング会社のGartnerはこれまで「生成AIへの『過度な期待感』はピークを過ぎた」と主張しています。今回の実験によって、「AI」という用語が過剰に使用される現状に対して一石が投じられました。
チチェク氏は「今回の実験から、消費者がAIを搭載した製品をどのように認識するかが明らかとなりました。企業側は、商品説明の際に消費者に対してAIをどのように提示するかを慎重に検討し、購買意欲を高めるための適切な戦略を立てる必要があります。AIを強調することは、特にリスクの高い製品にとって必ずしも有益であるとは限りません。そのため、機能や利点の説明を重点的に実施し、『AI』という流行語を商品説明に含むことは避けてください」と提言しました。