元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」

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 元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。
セクシー女優の「地味につらい」裏側

 どんな仕事にも、悩みはつきもの。社会に出れば小さなことから大きなことまで、頭を抱えるような問題と衝突することは避けられないだろう。

 セクシー女優は働くうえで様々なリスクがあることから、とにかく“困った”が多い職業だと私は思っている。親バレ、将来に対する不安、収入の不安定さなど挙げたらキリがなく、おまけに「地味につらい」レベルの些細な悩みもついて回る。

 世の中では女優の抱えるダークな問題ばかりが注目されがちだけど、業界にいないとわからないような、地味なストレスが想像以上にしんどいなんてことも……。今回は筆者が現役時代に自分が思った「地味につらいこと」を、独断と偏見で紹介していこう。

◆売れっ子は月2回の採血が必要に

 数年前なら性病検査は月に一度で許されていたが、現在は採取から2週間以内の検査票がないと現場に入れないルール。定期的にオファーが入る人は2週に一度クリニックへ行くのがマストになり、最低月2回の採血が必要不可欠だ。

 検査も仕事の一環であり、自分の体を守るために欠かせないことなのは重々承知のうえだが、採血が嫌いな女優にとって頻繁に血を抜かれるのはつらい。筆者も注射が本当にダメで、血を見るのも苦手だったために定期検査が毎回苦痛だった。

 上手な看護師さんに当たればそう苦しくないのだが、失敗されるとこれまた苦しさが2倍に。「あっ、今回はハズレだ」と提携クリニックで毎度ギャンブルのような気分を味わい、グッと唇を噛み締めたあの日も今は懐かしく思える。

 余談だが月2回の検査に加え、別件で採血を受ける機会があると月に何度も血を抜く羽目になる。セクシー女優をしていると一般の人よりも針を刺される回数が上がり、定期検査(月2回)+アレルギー検査+健康診断を行い、「今月は4回5回も血を抜いた」という女優も結構多い。

◆仕事ができないマネージャーだとストレス増加

「仕事ができないマネージャー問題」も女優の地味なストレスである。この場合の仕事ができないとは、オファーを取ってこられないだけではなく、案件のダブルブッキングや無茶なスケジュールの詰め込み方をするなど、働き手がやりづらいと感じるような行動を指す。

 仕事ができないうえに性格が悪ければ速攻でNGを出せるものの、そうでないとなかなか指摘しづらい。おまけに事務所のスタッフが少ないと、さらに文句を言いにくいので、ギリギリまで我慢する女優が多いとか。耐えきれないならさっさと他に移る手もあるが、移籍はなんだかんだで面倒だし、今の拠点を変えたくないとなれば、妥協をするしかないからだ。

 新人時代や、事務所に入りたての頃はマネージャーに対して文句を言うのもためらってしまう。ああして、こうして、これが嫌、をハッキリと伝えられないのは地味につらい以外の感想が浮かばない。結局地味なストレスは大きなストレスとなり、爆発するのがオチなのだが。

◆拘束時間は12時間以上のことも

 適当にポンポン撮り、数時間で現場が終わると思われがちだが、単体作品は拘束時間12時間以上となかなかの長さ。あくまで12時間は目安に過ぎず、トラブルの発生や監督がこだわりを発揮し始めると、もっと延びる可能性が高い。

 時間が押したら押しただけカメラを回すのか? と聞かれると、それは大きな間違いだ。シチュエーションの変更や機材の故障、何らかの理由で進行が滞ってしまうと、“待ち”が増えてしまう。カメラが回っておらず、自身の準備もすっかり終えているあの時間ほどつらいものはない。