なぜ全国で建設進む“Bリーグ専用アリーナ“ おくれた熊本ヴォルターズ「土地が決まらない」理由を社長直撃
いま、全国で新たなアリーナを建設する計画が相次いでいます。
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プロバスケットボールのBリーグがリーグの新基準を策定し、2026年からリーグの改革をスタートさせるからです。
その中での最上位カテゴリーは『B.PREMIER(プレミア)』。Bプレミアへの参入に、試合の成績や順位は一切関係ありません。
審査基準は平均入場者数4000人以上であることや、売上高12億円以上であること。その中で最も高いハードルが専用アリーナの確保で、5000席以上やVIPルームの設置などの条件があります。
なぜ?熊本のチーム 2030年に参入後ろ倒しへ
2019年、プロバスケットボールチーム『熊本ヴォルターズ』はBリーグの新基準を見据え、熊本でアリーナの建設を目指すと発表しました。
熊本バスケット 湯之上聡 社長「建設予定地は、言える範囲で行くと八代市から手を挙げていただいていて、菊陽町、熊本県と話を進めている感じですかね」
時を同じくして、全国でBリーグのチームによるアリーナの建設計画がスタートしました。
その動きは九州内でも進み、佐賀ではB1佐賀バルーナーズの専用アリーナが去年完成。1試合で8500人を超える入場者数を記録しました。
またジャパネットホールディングスが建設中の長崎スタジアムシティには、約6000人収容のバスケットボール専用アリーナが備わっています。
ヴォルターズを運営する熊本バスケットボールも、株主などと共にアリーナ建設地の検討を続けてきました。
しかし去年11月。当初は2026年のBプレミア参入を目指していた計画を、思うように土地の確保などが進まなかったことから2030年参入に後ろ倒すと発表し、全国や九州のチームから後れを取る形となりました。
――先にめどを立てるのは、土地?資金?
湯之上社長「何にしろ土地が先って言われますね。土地がないと計画もできないし、お金も投入できない」
ヴォルターズは現在、候補地の選定をどう考えているのでしょうか?
土地が決まらない理由
湯之上社長「第一優先と言ったらいけないですけれど、集客面や交通の利便性を考えると”熊本市内がいいよね”という声はある。そこを優先に考えると土地が決まらない」
集客・交通に有利な「熊本市」
熊本市内ではこの5年間で「県立総合体育館」や熊本駅などがある「万日山(まんにちやま)周辺」など、具体的な候補地も挙がりましたが…
湯之上社長「県立総合体育館の建て替えも、もう一度あってもいいのかなと思っていますし、万日山周辺も魅力的な場所。中心部か駅前か、現存している所が有力かと思っていますけれど、まだ決まってないですね」
そこで県立総合体育館を管理する県のトップに現状を聞きました。
木村敬 熊本県知事「6月の補正予算で、検討会議の費用を計上した。スポーツ施設の今後の整備の方向性を、これから検討させていただきたい。その中で体育館をアリーナに改修していくことは1つの有力な選択肢」
しかし、課題もあります。
木村知事「現在の県立総合体育館を建て替える場合には、一定期間 体育館が使えなくなってしまう。建て替える場合では『その期間どうするか』 ということも、当然議論の対象になる。1年(今年度中)というのは なかなか短いと思いますけれど、任期中には方向性を決めたい」
では、湯之上社長から名前が挙がったそのほか自治体はどう考えているのでしょうか?
候補地 今年度中に決定なるか??
熊本県菊陽町は「スポーツ施設に興味がある」と言いますが…。
菊陽町 小牧裕明 副町長「ヴォルターズとはこれまでもアリーナの建設について意見交換をした事はあるが、具体的な話を聞いているところではない。町としては、特に町民の関心が高い野球場について、速やかに県に対して提案などができるように整理しているところ」
熊本県八代市は新八代駅周辺の大規模開発計画を進めていて、ヴォルターズの動向にかかわらず、商業施設などと一緒に5000人を超える規模のアリーナを建設する考えです。
八代市 浅川公利課長「新八代駅の東側の北東方面。予定地はそこを考えている。アリーナを中心とした賑わいが創出できるような施設を作りたい。大きさはBプレミアの基準を満たすような(5000人規模の)施設になるのではないか」
湯之上社長は、2030年のBプレミア参入を目指した場合、候補地を決定する時期はそう遠くない言います。
湯之上社長「建設地を今年度中に決めないといけないのかな?」
――新シーズン中に?(来年6月までに)
湯之上社長「何らかの動きを出せればいいなと思っています」
――楽しみにしています
湯之上社長「プレッシャーですね」
2段構えで検討が現実的か
今回取材した田名網駿一(たなあみ しゅんいち)アナウンサーが、アリーナ建設候補地を独自予想を立てました。
リポーター「アリーナができるとコンサートやイベントも開催できるから、期待が高まりますよね」
■菊陽町→可能性は【低い】
アリーナよりも野球場を作りたいということで、可能性は低そうです。菊陽町の𠮷本孝寿(よしもと たかとし)町長も、新野球場建設の整備を政策に掲げています。
■熊本市内→可能性は【(県がOKなら)高い】
後生川凜アナウンサー「現在は熊本市の県立総合体育館が試合会場になることが多いですよね」
ヴォルターズのホームである県立総合体育館は立地は申し分ないですが、課題もあります。多くの県民が利用するため「代わりの受け皿は準備できるのか」という点が難しい課題だと、木村知事は話していました。
■八代市→可能性は【他より高い】
リポーター「八代市の5000人規模のアリーナは現実味がありますね」
ヴォルターズの動向に関わらず新八代駅周辺に5000人を超える規模のアリーナを作りたいと具体的に決めているため、ほかの候補より一歩リードしています。
ただ土地の取得などはこれからということです。
そこで、今回の取材の結論です。
熊本の中心部を理想とするヴォルターズとしては、県立総合体育館での調整を目指し、それができなかった場合は、八代市にするのではないか。
これが今、最も現実味がある路線と見ています。
ただ、別の自治体が候補地として手を挙げれば状況も変わります。いずれにしても2030年に間に合わせるためには今年度中には場所を決めなければならず、ヴォルターズにとって、決断の時が迫っています。