angela、2Days開催された単独ライヴ“THE「〆」”、そして20周年イヤーを経て生み出したオリジナル新曲「僕等の歌」を語る!

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2003年5月21日にキングレコードからデビューしたangela。そこから20年という月日を重ね、2024年5月24日・25日のライヴ“angela 20th Anniversary☆THE『〆』”で20周年イヤーをついに完走した。そのアンコールで歌われたのはぢぇらっ子(ファン)との応援歌である「僕等の歌」。この記念すべき歌が生まれた経緯と共にTHE「〆」の感想、それに連なる20周年イヤーの後半戦ライヴを振り返りつつ聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

“キンスパ”で感じた、キングレコードらしさとは?

――20周年イヤーの後半にあたる2024年もangelaは精力的なライヴを重ねて来られました。まず3月の“Anime Ottawa”は彼らにとってケベック州で行われる初のアニメイベントだったそうで、そのゲストとして呼ばれた形になりますが、カナダでangelaはどんな存在として知られているのでしょうか?

atsuko コンベンション会場で質疑応答みたいな時間があったのですが、そこでは「乙女のルートはひとつじゃない!」から入ったという若い方が大勢いた一方、ライヴ後の握手会では「『ファフナー』を聴けて良かった」とか、「『DEAD OR ALIVE』や『gravitation』を聴きたかった」とおっしゃる年代の方が多かったですね。皆さん色々な作品を通じて知ってくださっている印象でした。

KATSU アンコールがかかったときのために「残酷な天使のテーゼ」と「JUST COMMUNICATION」を準備して行ったんです。そうしたら「JUST〜」の反応がもう、ものすごくて。というのも、オタワで初めて放送されたガンダムが『新機動戦記ガンダムW』だったらしく、そこからアニメファンになった人が多かったみたいなんです。

atsuko ボディーガードや運転手の方も「エヴァはもちろん大好きなんですけれど、僕は足にWのタトゥーが入ってるから」と言っていましたね(笑)。

――そして4月は上海と広州で中国ツアーでした。こちらのお客様はどんな曲が好みでしたか?リアクションが良かった曲は?

KATSU やっぱり「JUST COMMUNICATION」(笑)。オタワで味をしめてやってみたら、やっぱり中国でもすごいんですよ。

atsuko 最初っから最後まで全部歌ってくれるから、急に自分で歌うと、あれどこだっけって歌詞忘れちゃったりして(笑)。『ガンダムW』は本当にすごいなと思いました。

――MCはどうしていたんですか?

atsuko アニメファンは日本語でみんなわかってくれるので大丈夫です。

――ということはangelaの面白い部分もちゃんと中国のファンには伝わっている。

atsuko はい。だから歌い終わるとすぐに「カワイイヨー」と言ってくれるんです(笑)。せっかく中国語で「可爱」って言葉を覚えて言わせようとしていたのに(笑)。

KATSU アニメが好きだから日本のことも好きみたいな感じなので、言っていることも通じているっぽいです。

――歌詞の理解もされているわけですね。

atsuko ほとんど一緒に歌ってくれます。「Separation」なんかは大合唱でした。一緒に歌う文化が日本と異なるみたいで、日本だとバラードではみんな黙って聴き入るんですけど、中国では冒頭から大合唱ですからね。ここでも200人の方に向けて握手会みたいなお渡し会があったんですけど、「“キンスパ”でもカワイイって言うから」と言ってくれました(笑)。

――そんな“KING SUPER LIVE 2024”ですが、angelaはDay1のトリを務められ、Day2の最後には全出演者で「Shangri-La」を歌うなど大きくフィーチャーされました。まずはこのイベントはどんな経験だったと言えますか?

atsuko “キンスパ”といえば、水樹奈々ちゃんがトリだと思っていたんですが、セットリストをいただいたら、初日のトリがangelaになってたんですよ。おいおいちょっと待って、これはいいのかと(笑)。でも、それは私たちが決めることじゃないし、組んでくださった方が「angelaならやれるだろう」と思って決めてくださったのだと思うと、その重責を担ってやり遂げたいなと思いましたね。

KATSU プロデューサーの三嶋(章夫)さんに会ったときに「いいんですか?」と聞いたところ、「もちろんや。angelaに任せたんや。もし何かあったら俺が全部責任とるから」と言ってくれて。振り返ると最初のキンスパが2015年で、その頃は三嶋さんの第3クリエイティブ本部とangelaがいたスターチャイルドレーベルが別々のレーベルで、良い意味でどこか競い合っていた部分があったような気がするんですよね。そこで最後めぐさん(林原めぐみ)が歌っているのをみんなで見たときに、やっと1つになれた感じがありました。そこから“キンスパ”も東京ドームや海外公演を経て、今回はトップバッターと最終日のトリを奈々ちゃんが務めてくれるという安心感があり、これは今回はフェスというよりもバトンを繋いでキングレコード全体で見せるライヴイベントなんだなと、強く感じました。プレッシャーはあるけれど、良い意味での緊張がないというか、それがすごく良い効果を生んで、ミラクルがミラクルを起こしていくのを感じました。アーティスト同士もすごく空気感が良いというか、初めましての方ももちろんいるんですけど、一瞬で1つになれるしそこで良いものができるなと思いましたね。

――そのキングレコードらしさって、何か言葉にできますか?

atsuko 今回の“キンスパ”は「アニソンの歴史と未来がここにある」というサブタイトルだったんですけど、2日間を通じてそれを感じました。初日はゆかりんとほっちゃん(田村ゆかり・堀江由衣)のコラボ(やまとなでしこ)とか、古のオタクの皆さんが泣き崩れるかのようなセットリストで、これはキングじゃないとできない。2日目は七人のカリスマ声優さんが楽しくて、そういった意味で未来を表現していましたね。まさに歴史があるからこそできたフェスで、古の方からフレッシュな方まで全員を納得させたような感じがします。

KATSU まずアーティストたちがみんな個性的で被っていないところ。あと、水瀬いのりちゃん、岡咲美保ちゃんに対する奈々ちゃんのような絶対的先輩がいるところ。そこに「這い上がってこい」というメッセージがあって、デュエットすると「同じ舞台に立てたね」というストーリーが見えて、こちらもほっこりする。それはangelaにとっては高橋洋子さんという存在で、洋子さんは洋子さんであのままなので、どちらも先輩後輩関係に垣根がないのがキングレコードらしさじゃないかな。今回それがすごく浮き彫りに出たと思います。

――手がけた作品も数多いですし、そういった関係性は一朝一夕には生まれないんですよね。

atsuko スターチャイルドにいた頃から数多くの作品のユニットも見てきまたし、そういうところまで出てきたら大変な数になるよね。Aice5とかFriendsとか。

KATSU 今回めぐさんが出なかったのは、めぐさんなりのエールで、そういうふうに後輩たちに「這い上がってこい」というメッセージなんじゃないかと思っています。ここぞというときは、きっと出てくれるはずです。

21年目からのangelaは“説得力”を武器に

――そして5月になり、angela20周年イヤーの最後を飾った2Daysの単独ライヴ“THE「〆」”ですが、今回の特徴としてファンからのリクエストを手紙で読み上げ、紹介した後、その曲を歌う「PRECIOUS MELODY」のコーナーがありました。

KATSU このコーナーはファンクラブイベントで行なっていたものだったんです。それを今回、一般のお客さん向けのライヴに持ち込んでみました。この取り組みには両面があって、良い面はアニメの主題歌だった曲がその人にとっての新しい思い出とリンクして、その人の主題歌になること。一方で、構成としては手紙を読んで、曲を演奏しての繰り返しとなるので、通常のライヴとは異なる実験的なところもありました。実際にやってみると、何回聞いてもホロッとなるエピソードがあったり、ある人を祝福する歌になったりと、元々は違う目的だったものが人の役に立つという、曲を作るアーティストとして、本来あるべき姿、「Song for One」を地で叶えたという意味で思い出深いライヴになりましたね。

atsuko やっぱり思い入れが強い方が多かったですね。「あるアニメのこのシーンで流れたからこの曲をリクエストしました」という熱いご希望も多く頂いたのですが、今回は主に人生に関わりの深いメッセージを選ばせていただきました。そういった曲については、メッセージは読めないけどセットリストの参考にして組み込ませていただきました。

――それらの楽曲を具体的に教えていただけますか?

atsuko 初日のセットリストの中だと「butterfly」、「Decide」、「merry-go-round」、「over the limits」、「gravitation」、「ANGEL」へのリクエストが多かったですね。2日目だと「SEVEN STORIES」や、新曲の「Fly Alive」。あとは、カップリング曲だからライヴで歌われることがないのでは、と懸念されていた「Baby!! I’m lost!!」(笑)。読むお手紙をすべて感動系にするのではなく、バランス感は考えて選びました。これはデビューしたときから思っていたことで、今回の企画をやってみて改めて思ったのですが、お客さんが優しいんですよ。というのも、「PRECIOUS MELODY」って、そのメッセージをくれた人1人のために歌っているわけじゃないですか。でも他のお客さんもぢぇらっ子も、その読まれた人の気持ちになって、寄り添って祝福したり喜んだりしているようすが伝わってくるんです。もう、なんて幸せな空間なんだろうと。だから、歌詞を間違えられないぞと、内心ヒヤヒヤしていました(笑)。

KATSU これはangelaのライヴにおける3つ目の発明だと思うんです。1つ目が笑いと感動とサプライズがある「大サーカス」。2つ目が「全部が主題歌ライヴ」。そして3つ目がこの「PRECIOUS MELODY」。これは今後もまた行いたいですね。

――その3つ目のうち、2つ目までは他所が演出を真似ることも不可能ではないと思うのですが、「PRECIOUS MELODY」だけは、この温かいファンの皆さんとの相互関係で作るものですから、真似ができないと思うんです。

atsuko そうですね。ラジオに似てるのかなとちょっと思いました。それもリクエストで得票数が多いものを、という方法はあっても、その曲に対する思い入れがいかに強いかをフィーチャーして歌うという演出はなかなかない。面白い企画だと思っております。

――そんなファンの皆さんのために作って歌った新曲の「僕等の歌」ですが、改めてこの曲の着想を教えていただけますか?

KATSU これは初めて言いますが、2月に岡山の節分祭で一緒になったボクシングのユーリ阿久井選手との出会いがこの曲の着想になっています。彼はジムの会長と二人三脚で戦い続け、岡山から(WBA世界フライ級)チャンピオンになりました。そこでふと気づいたんです。これって、世界は違えどもangelaも同じ境遇にいるんだなと。メインの選手がいて、それを支えるスタッフの人や後援会の人がいて、さらに応援してくれるファンの人がいる。angelaには事務所やキングレコード、ライヴ制作のスタッフがいて、ぢぇらっ子がいる。そういった意味で似ているなと思って、応援歌としてこの曲が生まれました。“打ちのめされても 立ち上がって”といったキーワードが含まれているのはそういった背景からです。

atsuko KATSUさんは格闘技好きなので、色んな選手の入場曲を聴かせてもらいました。やっぱりそういう曲ってメッセージ性が強くて真っ直ぐで、わかりやすい言葉で鼓舞するようなものが多いんです。我々は普段はアニメソングの曲を作ることが多いので、作品に寄り添うとなるとどうしても、日常とはかけ離れた世界観になってくるのですが、この曲は誰しもが日常で感じたことのある悔しさや悲しさ、一緒にいて嬉しかったことや頑張っていこうという思いを、分かりやすい歌詞にしていきました。

――コーラスパートがみんなで歌えて、まさに「僕等の歌」という趣になっています。

atsuko “THE「〆」”の2Daysのアンコールに歌うことは最初から決めていました。でも、お客さんからすると初めて聴く曲なので、1番を聞いたら次の間奏ではもう歌えるようになるくらいわかりやすいメロディラインにしようと、試行錯誤をしました。KATSUさんから「難しすぎる」というダメ出しがあり、結構何度も作り直しましたね。

――結果、このメロディはどのようにして生まれたのでしょうか?

atsuko 最初はメロディをピアノで弾いて作っていたのですが、最終的には歌を録るときになって、マイク前で実際に私が声を出して「こういうラインはどうかな?」と歌って示したところOKになりました。その意味ではパソコンとかキーボードに向かって作るのではなく、自分が声として発したメロディラインのほうが向いているんだなと思いました。

KATSU 僕もめちゃめちゃ歌いました。

atsuko コーラス隊を入れようかみたいな話も出たのですが、もう締切間際だったので、私は女声パートを歌うからKATSUさん男声部分を歌ってよって。「僕等の歌」なんだから僕らでやればいいじゃんって(笑)。音色的には80年代的な匂いがありますよね。ベースもシンセだし。

KATSU シティポップ感は最近自分の中でのちょっとしたブームになっていますね。意外とすぐできちゃうんですよね。今後も採り入れたい要素のひとつだと思っています。

atsuko 私達自身が聞いて育っているからね。

KATSU 今でこそシティポップが注目されていますが、僕等がデビューしたときは、流行遅れなものだったので隠そうとしていましたからね。「明日へのbrilliant road」のときも、エンジニアさんに「’80年代っぽい」って何度も言われましたから。それが最近になってやっと。

atsuko 音楽も巡るからね。世界で流行しているのだから、これでブレイクをねらいたいですね!(笑)。

――今後、アニメの主題歌以外にも、この曲のようにご自身たちの経験を歌にしていく考えは?

atsuko 全然ありだと思います。ただ、私は普段から思い浮かんだフレーズを書き留めたりするようなアーティスティックなことができない人間なので、きっと「思い浮かばないよ〜」って言いながら作るんだと思いますけど(笑)。ただ、今流行ってるものを追いかけてもしょうがなくて。流行りを認識したうえでどういったものを作れば突出して聴こえるか。みんながテンポを速くするなら私たちは逆に遅いものとか、音色の厚いものが出てるからちょっと薄めのものにするとか、「angelaはこう来たか」と、思ってもらえるようなラインは常に探りながら制作したいなと思っています。

――この20周年イヤーを経て21年目のangelaを迎えるわけですが、どのように進んでいきますか?

atsuko 一番近いところでは「蒼穹のファフナー」が20周年を迎えます。angelaの20周年が終わったと思ったら、今度は「ファフナー」の20周年が追いかけてきた(笑)。言い換えればデビューした翌年からの私たちのライフワークとも言える作品なので、それをもちろん大切にしつつも、人としては抜くところは抜いてやっていきたいと思います。最近思うんですよ、曲や歌詞を書くうえで繊細さや感受性はもちろん大事なのですが、それだけに特化すると人として生きづらいなと。ある種の鈍感力をもうちょっと磨いて、スイッチの切り替えをきちんとできるようになって、人としてもアーティストとしても生きていきやすい状態に置いて、長く歌っていきたいと思います。

KATSU アニメ作品に対しての向き合い方はデビューの20年前から今も変わっていません。このまま作品と寄り添って作っていきたいなと思います。それに加え、この20年間でキングレコードさんやぢぇらっ子から与えてもらったものを活用していかなければと思っています。20年超えて初めて見えたangelaの最大の武器は、説得力だったんです。自分たちでは気づいてなかったんですよ、これ。

atsuko この前のライヴでマネージャーがゲストの方から「angelaさんは人間力がすごく高いから、説得力がある」と言われたそうなんです。「僕等の歌」の前のMCで、自分たちとしては思ったことをただしゃべっただけなんですけど。

KATSU 例えば、同じ“生きる”というメッセージにしても、若い子の曲のそれと比べてより説得力がある“生きる”をangelaがリスナーに向けて歌ってあげなきゃいけないし、その説得力は多分誰にも負けない自身はあります。みんなから与えてもらったその説得力を、僕等は作品として返していかなければもったいないというか、これはもはや宿命というか。そういう意味では、自分たちが思っている以上に、これから先は1つ1つのワードや言葉、そして音に説得力を出していきたいなと、この前のライヴが終わってから思いました。

atsuko でもMCでしゃべっているとつい、ふざけたくなるじゃん?あれダメね。

KATSU そこはしょうがないんだよね。止めろと言われて止められるものじゃないから(笑)。

●リリース情報
新曲
「僕等の歌」

配信中

配信リンクはこちら
https://lnk.to/angela_Bokuranouta

●ライヴ情報
「OPEN/END」
2025年1月18日(土)
2025年1月19日(日)
Mixalive TOKYO

詳細はファンクラブHPへ
https://angela-official.com/news/21872

●イベント情報
Anison Days Festival 2024
2024年7月20日(土)16:30開場/17:30開演
会場:LINE CUBE SHIBUYA

イベント&チケット詳細
https://www.bs11.jp/feature/anisondays-fes2024/

関連リンク

angela オフィシャルサイト
https://angela-official.com/

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angelaオフィシャルX(STAFF)
https://twitter.com/angela_staff