by Sergiy Galyonkin

セキュリティソフトの開発・販売で知られるKaspersky(カスペルスキー)が、アメリカの事業所を閉鎖し、従業員を解雇する方針であることがわかりました。事業縮小は2024年7月20日以降、順次進められるとのことです。

Kaspersky Lab Closing U.S. Division; Laying Off Workers

https://www.zetter-zeroday.com/kaspersky-lab-closing-u-s-division-laying-off-workers-2/



Kaspersky is shutting down its business in the United States

https://www.bleepingcomputer.com/news/security/kaspersky-is-shutting-down-its-business-in-the-united-states/



Kaspersky Lab shutting down U.S. operations after Commerce ban

https://www.axios.com/2024/07/15/kaspersky-lab-shutting-down-us-operations

Kasperskyはロシア出身で1989年からコンピューターウイルスの研究を行っているユージン・カスペルスキー氏が1997年に創業したセキュリティ企業で、アンチウイルスソフトやインターネットセキュリティソフトの大手として知られています。

ロシア政府とKasperskyとのつながりを懸念する声は以前から挙がっており、2017年時点で国土安全保障省が政府機関でのKaspersky製品・サービスの使用禁止命令を出しています。

その後、2022年に発生したロシアによるウクライナ侵攻に際して、カスペルスキー氏は中立の姿勢を明らかにしましたが、ロシアとのつながりについての懸念は解消されず、2022年3月に連邦通信委員会はKasperskyを「セキュリティリスク」リストに追加。2024年6月には、製品の国内販売禁止が決定されました。

これにより、Kasperskyは発表から30日後の7月20日からアメリカの事業者との新規契約ができなくなるほか、100日後の9月29日からはアップデートの配布やセキュリティサービスの運用も禁止されました。



Kasperskyのアメリカからの事業撤退はこうしたさまざまな措置の影響によるもので、Kasperskyはニュースサイト・BleepingComputerなどの取材に対して「アメリカでビジネスを行う機会はもはや実行不可能なので、大変残念ですが、この決定を下すに至りました」とコメントしました。

ジーナ・レモンド商務長官は、Kasperskyユーザーが製品の使用を継続しても特に罰則はないと述べつつ、「あなた自身とご家族のデータを守るためにも、ただちにKaspersky製品の使用を中止して、代替製品に切り替えることを強く推奨します」と勧告しています。

なお、Kasperskyは2024年7月12日に27周年を迎えたとのことで、悪天候にもかかわらず、記念イベントの会場には3300人の参加者が駆けつけたと報告しています。

The Show Must Go On: our all-weather B-Day (sun, hurricane, and… hail the size of a cherry)! | Nota Bene: Eugene Kaspersky’s Official Blog

https://eugene.kaspersky.com/2024/07/12/the-show-must-go-on-our-all-weather-b-day-sun-hurricane-and-hail-the-size-of-cherries/