「マンション購入」で失敗したくない! 不動産のプロが教える、購入前に絶対確認するべき「8つのポイント」
マンションの購入には、資金計画から物件選び、引き渡しまでさまざまな注意点があります。この注意点を押さえておくことで、安全な資金計画の立案や、満足度の高い物件選びが可能です。そこで、マンションの購入における注意点や、物件選びで見るべき「8つのポイント」について、不動産・建築領域等を活用した資産価値共創事業を展開する大和財託代表取締役CEOの筆者が解説します。
(1)エリア選び
マンション購入を考え始めたら、最初に悩むのが「エリア選び」ではないでしょうか。どんな場所に住むのかはその後の暮らし方にも関わるので、慎重に考えたいものです。
もちろん予算との兼ね合いはありますが、沿線や駅距離、スーパー、病院など生活に必要な施設がどのくらい充実しているのかは重要なポイントとなります。また、地域によって子育て環境や教育環境が異なることが多く、自治体によって子育て支援制度にも違いがあるので、お子さんがいるご家庭は事前にチェックしておきましょう。
(2)正しい資金計画を立てる
マンションを購入する際は、自分の年収や預貯金(資産)をもとに、適切な物件価格を算出することが大切です。借り入れができるからといって高額な物件を購入すると、生活に支障が出てしまいます。
物件費用の算出に際し、まずは、金融機関の融資審査について押さえておきましょう。審査金利によって、年収に対してどれくらいの返済割合になるかが審査の基準となります。一般的には、「審査金利での返済額÷年収=40%」までが上限となります。返済割合が低ければ低いほど審査は通りやすくなりますが、金融機関が定める基準を超える場合、住宅ローンの借入ができなかったり、借入額が減ったりする可能性があります。
なお、住宅ローンには「変動金利」「一定期間固定金利」「全期間固定金利」の 3 つの種類があります。不動産会社から言われるままに契約するのではなく、しっかり比較検討した上で、自分に合ったローンを選ぶようにしましょう。
(3)諸費用・初期費用を把握する
適切な資金計画を立てるために、必要となる諸費用・初期費用を把握しておきましょう。これは、マンションを購入する際の主な費用項目と内容、金額の目安をまとめた表です。予定している購入価格をもとに、必要な金額を把握するためにご参考ください。
(4)市場価格を正しく把握する
マンションの適正な価格を判断するためには、「市場価格」と照らし合わせることが重要です。市場価格とは、実際に売買されている不動産の価格を指し、「市場性」「費用性」「収益性」をもとに決まります。これらの要素を理解し、市場価格を正確に把握することで、割高で購入するリスクを回避することが可能です。
・市場性……一般的な物件の場合には、その物件と似たような物件の過去の取引事例が参考にされています。
・費用性……特に新築物件の場合には、土地の仕入れ価格や建設価格や広告宣伝費、その他物件を建てるにあたって発生した費用が参考にされています。
・収益性……主に投資用として物件購入をする場合には、利回りを意識して、その物件の周辺物件の価格が参考にされています。
(5)資産価値を考慮する
資産価値を気にする人は年々増えています。今は「ずっとここに住む!」と思っていても、ライフスタイルの変化に合わせて、将来引っ越す可能性もあります。そのとき、この物件はいくらで売れるのか、資産価値がとても重要になってくるのです。
資産価値には、立地や管理体制、周辺環境などが影響することを覚えておきましょう。例えば、「共用部の手入れが行き届いていない」「騒音や治安などの住環境が悪い」「外壁にヒビ割れや塗装の剥げがある」といったマンションは、資産価値が減少してしまいます。
管理状況を確認するために、内覧時に全体をくまなく見せてもらうことをお勧めします。マンションのホームページに管理状況を掲載しているケースもあるので、マンションを選ぶ際は、住環境や管理状況をよく確認しておきましょう。
また、「マンション管理適正評価制度」を導入している物件かどうかも購入時のポイントです。この制度は、管理体制や建築・設備などの各項目に点数が付けられることで課題点がはっきりするため、低評価の項目を一つ一つ改善していくことで、よりよい管理体制をつくり上げることができます。適切なマンション管理は、快適な暮らしに直結するだけでなく、マンションのリセールバリュー向上にもつながるでしょう。
(6)災害リスクを把握する
マンションを購入する際は、物件自体の災害リスクだけでなく、エリアの災害リスクもチェックすることが重要です。災害リスクとは、そのエリアで災害が発生する確率や、災害による被害の予想範囲を指します。日本は地震や台風が多い国なので、特定のエリアで災害が発生する確率をきちんと調べておくことが大切なのです。
これらは、各自治体のホームページなどで確認できる「ハザードマップ」を利用しましょう。ハザードマップには、洪水や土砂災害、地震などのリスクが地域ごとに示されているので、これを用いることで、マンションの所在地にどれほどのリスクがあるのかを把握することができます。
(7)不動産業者は慎重に選定する
不動産業者を選ぶ際には、慎重に検討しましょう。信頼できる不動産業者を選ぶことが大切です。特に、「物件に関する詳細な情報を正しく提供しているか」「エリアや周辺物件についても詳しいか」は重要な判断基準です。
また、レスポンスは早いか、丁寧にヒアリングをしてくれるか、リスクに関する説明をしてくれるかなども確認しましょう。
(8)内覧の重要性を認識する
新築マンションはもちろん、特に中古マンションの内覧時は、普段気にしないような細かい部分も、実際の生活を想像しながらじっくりとチェックしましょう。下記のリストを参考にしてみてください。
・間取りや設備の状態
・共用部の状態
・オートロック、防犯カメラの有無などのセキュリティー面
・日当たりや家事動線
・キッチンの設備や収納スペース
・シャワーの水圧
・コンセントやテレビ線、電話線の位置
・スマートフォンの電波の強さ
・周囲の生活音の確認
・玄関やドアのサイズ感
・ドアや扉の建て付けの状態
・宅配ボックスの有無
これらのポイントを確認することで、物件選びで後悔するリスクを減少できます。また、 マンションのゴミ置き場などには、住人のマナーが出るといわれています。時間や曜日を変えて複数回内覧を行えば、マンションの状態をより正確に把握できるでしょう。
まとめ
マンションの購入は、さまざまな観点から物件の価値を判断し、適切に手続きを進めなければなりません。資金計画や購入の流れ、物件選びの注意点、契約・引渡し時の注意点を把握し、一つずつ確実に進めることが大切です。ご紹介したチェックポイントを、ぜひお役立てください。