人生を生き抜く上で必要な「レジリエンス力」とは?

写真拡大

 物価高や増税などで、将来への不安や生きづらさを感じることはありませんか。今回紹介する「19歳までに手に入れる 7つの武器」(樺沢紫苑著/幻冬舎)では、人生に必要な能力として、「整える力」「レジリエンス(力)」「コントロール力」「つながる力」「読解力」「好奇心」「アウトプット力」が挙げられており、筆者の樺沢さんは、これら7つの能力を身に付けることで、人生を生き抜く力が向上すると説いています。

 この中から、困難にぶつかってもすぐに立ち直り、柔軟に対処する能力である「レジリエンス力」を高めるヒントについて解説します。

一流大学卒の新入社員が入社1カ月目で挫折

「一流大学を卒業して、一流企業に就職すると幸せになる!」と、親や教師などから言われ、本当なのかと疑問に思ったことはありませんか。樺沢さんは次のように言います。

「残念ながら、それだけで幸せにはなれません。こんな話があります。Aさんは、誰もが知る一流大学を卒業しました。そして、競争倍率数百倍の超人気企業に就職しました。本人も周りも、前途有望、順風満帆な人生を確信していました。しかし、Aさんは入社1カ月目で、ちょっとしたことを上司から指摘されます」(樺沢さん)

「厳しく叱られたわけではありません。ただ、それまで親にも教師にも叱られたことがなかったAさんは、精神的にショックを受けてしまいます。次の日から出社できなくなり、そのまま1カ月後には、退職願を出し、会社を辞めることになりました」(同)

 これは、作り話ではなく実話だと、樺沢さんは続けます。

「新入社員が、メンタルダウンして、すぐ辞めてしまうんです。先日、大手証券会社で、入社したばかりの新入社員を対象にメンタル研修を行ったのですが、研修担当者がこう言います。毎年100名採用しますが、2、3人は1年目でメンタルダウンして休職、退職してしまいます。何とかそれを減らしたいんですよ」(樺沢さん)

「せっかく一流大学を出て一流企業に就職したというのに、1年目でメンタル疾患になって、会社を辞めてしまう。次の会社でうまくいけばいいのですが、一旦メンタルを病むと、なかなか簡単には治りません。なぜそんなことになってしまうのか?それは、レジリエンス力が低いからです。レジリエンス力が低ければ、社会人として生きていくことは困難です」(同)

人の性質を理解すること

 レジリエンス力を高めるためには、人の性質を理解するとともに、自分の物事の考え方を把握することが大切です。例えば、性別で見ると、男性は劣等感が強く、過去の「失敗」や学歴を引きずってしまう傾向にあります。特に男性の場合、恋愛で失敗(失恋)すると、男としての能力が低いと見なされることがあり、劣等感が強い男性ほど、立ち直るのが難しくなります。

 また、男性は、物事の「プロセス」よりも「結果」を重視するといわれており、仕事で失敗すると引きずってしまい、長期間落ち込んでしまいがちです。1つの結果がダメだったら、すべてが台無しと考えてしまうため、これでは物事に柔軟に対応することはできません。

 一方、女性は、「プロセス」を重視する傾向にあり、過程における感情を揺さぶられる経験の方に意味を見いだします。仕事やプライベートで思うような結果を得られなくても、それらの過程で素晴らしい経験をすれば、必ずしも失敗だとは考えません。

 なお、男性は女性よりも論理的に物事を考える傾向にあり、困難にぶつかったときに冷静に自分を見つめ直すことができれば、過去の失敗から学ぶことができます。人生において、失敗は誰にでもあることや、人生はいくらでもチャンスがあることを理解するのです。

 もちろん、男性でも気持ちの切り替えが早い人やプロセスを重視する人もいますし、女性でも失敗を引きずってしまう人や結果を重視する人もいるため、先述のパターンに当てはまらない場合もあります。

 いずれにしても、「悪い出来事に遭遇しても、気持ちをすぐに切り替える」「結果だけでなく、プロセスも大切にする」「論理的に物事を考える」の3つができるようになれば、レジリエンス力が高まるといえます。

 自分の日々の思考パターンを見直し、悪い部分を改善してみてはいかがでしょうか。