「イノウエが奇妙だ」井上尚弥のアフマダリエフ戦“拒否”を海外記者が疑問視「ドヘニーとの試合は理解しがたい」

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タイトルを総なめにし、敵なしの強さを誇る井上。その一挙手一投足は常に話題の中心となる。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 圧倒的な強さゆえ、なのか。ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)に対する風当たりが強まっている。

 世界に「モンスター」の異名を轟かせる男の強さはいまだ衰え知らずだ。プロ27戦無敗(24KO)と敵なしの井上は、昨年12月に2階級での4団体統一という偉業を達成。まさに不世出の存在としての地位を固めつつある。

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 そんな偉才の動静が注目を集めた。今月13日に井上はWBAから9月25日までに同級1位のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との指名試合を行うよう指令を受けたのだ。

 これに対して、井上陣営はかねてから交渉を進めてきたWBO世界同級2位のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との準備を優先。共同プロモーターを務める米興行大手『TOP Rank』のボブ・アラム会長も「アフマダリエフ? それは誰なんだ」と指摘し、突然の指令に異を唱えた。

 ただ、ドヘニー戦が決定的となる現状に反発も広がった。アフマダリエフをサポートする英興行大手『Matchroom Boxing』のエディ・ハーンCEOは「申し訳ないが、TJ・ドヘニーvsナオヤ・イノウエは酷いミスマッチだ。正直に言わせてもらう」と断言。さらに「こんなふざけたマッチメイクを受け入れてはいけない」とファンに呼びかけ、アフマダリエフ戦の実現を訴えた。

 当事者同士ではないところでも井上陣営に懐疑的な目を向けられている。ボクシング大国でもあるフィリピンの専門サイト『Phil Boxing』のテオドロ・メディア・レイノソ記者は、「ここ数日、“モンスター”イノウエの行動が奇妙だ」とドヘニー戦の開催を疑問視。さらに「アフマダリエフとの義務的な防衛戦が優先されることに何の問題があるんだろうか」と投げかけ、厳しい持論を展開した。

「ドへニーは義務的な防衛の順番(WBO同級2位)にすら入っていない。加えて彼はすでに4敗もしており、37歳で全盛期を過ぎている。たしかに日本のファンの間ではお馴染みの存在ではあるが、ドヘニーとの試合に注目が集まるのは理解しがたい。王座を剥奪されるリスクを冒してまでイノウエがアフマダリエフ戦に躊躇しているのは、次の防衛戦に関してWBAに指図をされたくないか、ウズベキスタン人を警戒しているかのどちらかだろう」

 アフマダリエフ陣営が猛烈な反発を続ける中で、井上はいかなる道を歩むのか。その決断は、世界的な注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]