「腎臓がんの予後」はご存知ですか?治療法や5年生存率も解説!医師が監修!
生存率は、どのような要因に左右されるのでしょうか?本記事では腎臓がんの予後について以下の点を中心にご紹介します。
・腎臓がんのステージ
・腎臓がんの治療法
・腎臓がんの予後
腎臓がんの予後について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
≫「腎臓がんの初期症状」はご存知ですか?原因・検査法も解説!【医師監修】監修医師:
澤田 樹佳(富山県のさわだクリニック)
20022金沢大学卒 / 2014年金沢大学大学院卒 / 現在は、富山県のさわだクリニック院長 / 専門は泌尿器科、在宅、緩和医療、東洋医学
保有免許・資格
泌尿器科専門医、指導医
医師へのコミュニケーションスキルトレーナー
腎臓がんとは?
腎臓がんは、腎臓の細胞から発生するがんで、早期には自覚症状がほとんどないことが特徴です。進行すると血尿、腰痛、体重減少などの症状が現れることがあります。治療法には、手術、放射線療法、薬物療法などがあり、がんの進行度や患者さんの健康状態に応じて選択されます。
腎臓がんの予後に影響を与える要因
腎臓がんの予後は、多くの要因によって異なります。
以下では、腎臓がんの予後に影響を与える可能性のある要素を詳しく解説します。
種類
腎臓がんには複数の種類があり、淡明細胞癌が多いといわれています。ほかにも乳頭腎癌やクロマホーブ腎癌などがあり、それぞれが異なる特徴や治療法を持っています。淡明細胞癌は、がん細胞が明るく見えるのが特徴です。乳頭腎癌は次に多いタイプで、がん細胞が乳頭状の構造を形成します。クロマホーブ腎癌は珍しく、特定の遺伝的変異を持つことが特徴です。これらの種類は、がん細胞が腎臓のどの部分から発生するかによって分類されます。
ステージ
腎臓がんのステージは、がんの大きさ、腎臓外への広がり、リンパ節への転移、遠隔転移の有無によって分類されます。ステージIからIVまであり、ステージが進むにつれてがんはより進行し、治療が困難になる傾向があります。ステージIではがんは腎臓内に限定され、おおむね小さいです。ステージIIでもがんは腎臓内に留まりますが、より大きくなります。ステージIIIではがんは腎臓を超えて周囲の組織やリンパ節に広がり始めます。ステージIVではがんは遠隔転移を起こし、体のほかの部分に広がります。各ステージでの治療法は異なり、病期に応じた治療が必要になりますので医師の診断に基づいて判断してください。
腎臓がんの治療方法
腎臓がんと診断されたら、どのような治療方法が考えられるのでしょうか?
以下では、主な腎臓がんの治療方法を5つ紹介します。
外科治療
腎臓がんの外科治療には、がん細胞を取り除くための手術が含まれます。これには腎臓の部分的な切除(部分腎摘出術)や、腎臓全体を取り除く手術(全腎摘出術)があります。がんの大きさや位置、患者さんの健康状態によって、どちらの手術が適切かが決定されます。近年では、侵襲性が低い腹腔鏡手術やロボット支援手術も選択肢として増えています。これらの手術は、がんの拡散を防ぎつつ、患者さんの回復期間を短縮し、生活の質を向上させることを目的としています。
凍結療法
腎臓がんの凍結療法(クライオアブレーション)は、極低温の液体を使用してがん細胞を凍らせて死滅させる治療方法です。小さな腫瘍に対して行われ、侵襲性が低く、一部の患者さんにとって適した選択肢となります。この方法は、体への負担を抑えつつ、腫瘍を処理できるといわれています。
薬物療法
腎臓がんの薬物療法には、標的療法や免疫療法が含まれます。標的療法はがん細胞の成長に必要な特定の分子や経路を標的とし、免疫療法は体の免疫システムを活用してがんと戦います。これらの治療法は、進行した腎臓がんや手術が難しい場合に選択され、腫瘍の成長を遅らせることが期待できます。
免疫療法
腎臓がんの免疫療法は、体の免疫システムを活用してがん細胞を攻撃する治療法です。主に進行性または転移性の腎臓がんにおいて、免疫チェックポイント阻害剤が用いられます。これには、PD-1阻害剤やCTLA-4阻害剤などがあり、これらの薬剤は免疫システムのがん細胞に対する攻撃を強化することで作用します。免疫療法は、ほかの治療法と組み合わせて用いられることもあります。
放射線療法
腎臓がんの放射線療法は、がん細胞を破壊する高エネルギー放射線を利用した治療方法です。主に転移がある場合や痛みの緩和が目的で使用され、腎臓がん本体の治療にはあまり用いられません。治療は、患者さんの状態に応じて計画され、放射線の正確な位置と量が決定されます。
腎臓がんの予後
腎臓がんの予後は、がんのステージやタイプ、治療法、患者さんの健康状態によって異なります。早期発見された場合、治療によって良好な予後が期待できますが、進行がんや転移がある場合は予後が悪くなることがあります。腎臓がんの早期発見には、定期的な健康診断での血液検査や尿検査、超音波検査、CTスキャンが有効とされています。これらの検査で異常が見つかった場合、詳細な検査が行われます。予防法としては、禁煙、健康的な食生活の維持、適度な運動、過剰なアルコール摂取の回避が推奨されます。これらの生活習慣は、腎臓がんだけでなく多くのがんのリスクを低減するといわれています。
腎臓がんの5年生存率
腎臓がんの5年生存率は、がんのステージに大きく依存します。早期発見された場合(ステージIやII)、5年生存率はおおむね高いですが、進行したがん(ステージIIIやIV)では生存率が低くなります。治療方法や個々の健康状態も生存率に影響を与える重要な要因です。
腎臓がんについてよくある質問
ここまで腎臓がんを紹介しました。ここでは「腎臓がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
腎臓がんはどのような人がなりやすいですか?
澤田 樹佳 医師
腎臓がんにかかりやすい人は、喫煙者、肥満体型、高血圧を有する人、家族歴がある人、特定の遺伝性疾患を持つ人などです。特定の遺伝性疾患には、Von Hippel-Lindau病、遺伝性乳頭状腎細胞がん、Birt-Hogg-Dubé症候群などがあります。これらは腎臓がんと関連が深く、発症リスクを高める遺伝的要因になるといわれています。また、男性の方が女性よりも罹患率が高い傾向にあります。これらのリスク要因を理解し、可能であれば生活習慣の改善を行うことで、腎臓がんのリスクを低減させることが期待できます。
腎臓がんは再発する可能性がありますか?
澤田 樹佳 医師
腎臓がんが再発する可能性は、治療後も存在します。初期治療の成功にもかかわらず、一部の患者さんでは数年後にがんが再発することがあります。再発のリスクは、がんのステージやタイプ、治療法によって異なります。早期発見と治療が再発のリスクを低減させる重要な要素です。腎臓がんの再発リスクを低減するためには、健康的な生活習慣の維持が重要です。これには、バランスの良い食事、定期的な運動、喫煙の中止、適正体重の維持などが含まれます。また、医師との定期的なコミュニケーションを保ち、体に変化があった場合には早めに相談することも大切です。これらの対策は、再発だけでなくほかの健康問題のリスクを減らすのにも役立ちます。加えて、定期的なフォローアップ検査を通じて、再発を早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。
まとめ
ここまで、腎臓がんの予後についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
・腎臓がんのステージは、がんの大きさ、腎臓外への広がり、リンパ節への転移、遠隔転移の有無によって分類される
・腎臓がんの治療方法は、外科治療、凍結療法、薬物療法、免疫療法、放射線療法がある
・腎臓がんの予後は、がんのステージやタイプ、治療法、患者さんの健康状態によって異なる
腎臓がんと関連する病気
腎臓がんと関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科・腎臓内科
高血圧慢性腎臓病具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
腎臓がんと関連する症状
腎臓がんと関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
血尿側部の痛み
腫瘍による腫れ
体重減少
疲労感
発熱これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。
参考文献
腎細胞癌の予後
腎癌の予後に関する臨床統計
透析患者における腎細胞癌の予後調査報告