過去には“最強”クロフォードが王座返上も…井上尚弥との試合指令にアフマダリエフ陣営は前向き「真の試合はこれだけ」
アフマダリエフ(右)との指名試合の開催を指令された井上(左)。果たして、いかなる決断を下すか。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
急転直下で指令は下された。現地時間6月13日、ボクシング団体のWBAは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)と、同団体の指名挑戦者であるムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に対し、「9月25日までに試合を行うことを命じた」と公表した。
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V2を目指し、着々と準備を続けてきた井上陣営にとっては急展開と言える。去る5月6日に東京ドームで行われたWBC同級1位のルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦を6回KOで制していたモンスターは、試合直後に現IBF&WBO1位のサム・グッドマン(豪州)を次戦の相手として指名。9月の対戦に向けて交渉を進めた。
しかし、7月の自国興行参戦を決めたグッドマン陣営との交渉は難航。対戦が12月開催に延期となったため、9月の試合は元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との対戦が有力視されていた。
ドヘニー戦がほぼ決まりかけていた中で、突然、飛び込んできた“指令”だ。「すでに両陣営には通達した」と断じるWBCは、9月25日をリミットに制定。ここまでに王座戦が実現されなかった場合には、井上からベルトをはく奪される可能性を示唆している。
団体からの突然の指名によって王座返上を余儀なくされる例は決して少なくない。昨年11月には、世界ウェルター級4団体統一王者テレンス・クロフォード(米国)が、IBFの暫定王者との団体内統一戦の義務を果たさなかったとして、タイトル剥奪を命じられた。
無敵の井上の決断は今後のタイトル戦線にも影響するだけに、早くも注目は高まっている。そうした雰囲気をつぶさに感じ取ったアフマダリエフの陣営も対戦実現に意欲的だ。
プロモーターを務める英興行大手『Matchroom Boxing』のエディ・ハーン氏は自身のXで「怪物にとって今の階級で最もタフな試合であることは間違いない」「122ポンド(スーパーバンタム級)に残っている真の試合はこれしかない」と連投。両雄の写真も公開して交渉に前のめりな態度を露わにしている。
交渉が大詰めだったと思われるドヘニーへのアプローチも含め、井上陣営がいかなる結論を出すのか。百戦錬磨の陣営は真価を問われることになりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]