「逆流性食道炎」を発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!

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アルコールの離脱症状とは?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

≫「アルコール依存症」になると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!

監修医師:
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

1999年、金沢医科大学卒業。金沢医科大学研修医を経て2001年国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)小児神経科、2004年6月獨協医科大学越谷病院(現・獨協医科大学埼玉医療センター)小児科、2016年児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科を経て、2020年5月から現職(東京西徳洲会病院小児医療センター)。専門は小児神経学、児童精神科学。

「アルコールの離脱症状」

アルコール離脱症状とは、アルコールの長期的な重度の摂取を急に止めたときに発生する一連の症状のことです。中には緊急に対処しなければならない症状もあります。

手の震え

アルコール離脱症状で一番よくある症状が「手の震え」です。自分の意志とは関係なく勝手に手が震えるようになります。アルコール離脱症状の場合、朝に最も顕著になるのが一般的です。
目を閉じて深呼吸をしリラックスを促すことで一時的に緩和しますが、ひどい場合には日常生活も送れないので、病院での治療を必要とします。

不安感

次によく見られる症状が「不安感」です。アルコールを離脱することで、緊張、焦燥感、恐怖感が強くなったりします。
そもそもアルコールに依存する傾向になったのは、何かしら強い不安感を補おうとする結果のことが多いです。したがって、アルコールを離脱することで理性を取りもどすと同時に、本来あった不安感とともに、アルコール依存がなくなったことに伴う不安感が加わり、非常に強い不安感に襲われることになります。

吐き気や嘔吐

アルコール離脱とともに、胃の不快感とともに吐き気を感じることがあります。吐くときに誤って気管支に入ることもあるので注意が必要です。
横向き寝で誤嚥をふせいだり、楽にいられる座位の姿勢にしながら、脱水を防ぐため、少量の水や経口補水液を少しずつ飲むことも必要になります。

幻覚

アルコールを内服すると、GABA(ガンマ・アミノ酪酸)という神経伝達物質の活動を促進し、脳の活動が抑制された状態になります。
長期にわたってアルコールを摂取し続けると、脳はその抑制作用に適応します。その結果、自然な神経伝達物質のバランスが変化し、脳はアルコールがないと正常に機能しない状態になります。
これが「幻覚」や後述する「けいれん発作」の正体です。
アルコールが抑えていた興奮性の神経伝達物質が過剰に活動を始めるため、感覚入力が異常に解釈され、幻覚が出てくるようになります。
まずは、これらの幻覚が脳によって引き起こされる一時的なものであると周囲の人を含めて理解を示すことが必要です。場合によっては、医療機関での監視下のもと拘束が必要なケースもあります。

けいれん

アルコール離脱症状はしばしばけいれん発作も起こすことがあります。こちらも、長期間のアルコールによってGABA受容体が活性化して脳の興奮を抑えていたのですが、アルコールを離脱することで、GABAの活動の減少とNMDA受容体の活動の増加により、脳が過剰に興奮する状態が生じるためです。
幻覚と同様、周囲にぶつかると危ないものがない状態に環境を整えるとともに、早急な医療機関への受診が必要となります。
このように、時に緊急な事態も起こしかねない症状が出てくるのが「アルコール離脱症状」なのです。

アルコールの離脱症状は何日間続く?ピークはいつ頃?

では、アルコール離脱症状は大体どれくらいがピークで何日間続くと言われているのでしょうか。
アルコール離脱症に関する報告によると、離脱症状は通常、最後の飲酒から6~24時間後に発生し、24~36時間でピークに達することが多いとされています。さらに、2~7日くらいで徐々になくなってきます。
しかし、これはアルコールの量やどれだけの時間アルコール依存症になっていたかなどにも大きく関わります。重度のアルコール依存症の場合、なかには1か月、いえ何年もかかることも十分考えられます。
だからこそ、できるだけはやくアルコール依存から脱却することが大切になってきます。

すぐに病院へ行くべき「アルコールの離脱症状」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

高い発熱とともに混乱、幻覚、重度の震えがある場合は、救急外来へ

アルコール離脱症状の1つに「振戦せん妄(Delirium Tremens)」といって、 高い発熱とともに混乱、幻覚、重度の震えが出現することがあります。この状態はアルコールの急な中断後に発生し、非常に重篤な症状です。
振戦せん妄は: 通常は最後の飲酒から24時間以内に発生する可能性があります。症状が重い場合、けいれんなどの症状へと発展することもありますし、幻覚を見ている間は人に危害が加わる恐れもあります。
幻覚で錯乱状態になっている場合は、慌てず救急車を呼び、周囲に危害が及ぶ場合は警察への連絡も検討しましょう。

「アルコールの離脱症状」に関する特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「アルコールの離脱症状」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アルコール依存症

アルコール依存症とは、アルコールへの強い依存が生じ、日常生活が著しく影響を受ける状態のこと。アルコール依存症は遺伝的な要因もありますが、心理的ストレスや社会環境の影響が強い傾向にあります。
アルコール依存症の人はアルコールなしでは正常な生活が難しく、断酒すると離脱症状が強く出やすいことが特徴です。
アルコール依存症の治療には、カウンセリングや行動療法が含まれます。また、医療施設でのデトックス(解毒)プログラムや断酒を促す特殊な薬物を使用することもありますね。
そのため、アルコール依存症で日常生活に支障を来たすレベルの場合や、アルコールの量を自分でコントロールできないようなら、迷わず医療機関に受診するようにしましょう。
ただし、アルコール依存症の治療を受ける際は、依存症の治療経験が豊富な医療機関に受診するようにしましょう。前もって、アルコール依存症を受け入れているか電話で酔い合わせてみるとよいですね。

幻覚

幻覚は、アルコール離脱症状にはよくある症状の1つであり、存在しないものが見えたり聞こえたりする症状のこと。特に重度の場合、「振戦せん妄」と呼ばれる状態に至ることがあります。特に、長期間の高量飲酒後に急にアルコール摂取を止めた際に起こりやすいですね。
幻覚は、アルコールにより脳が抑制された状態が、やめることで一気に解放されて興奮することが原因で起こります。そのため、症状を管理するために脳の興奮を抑える「ベンゾジアゼピン系」とよばれる薬が使用されることが一般的です。また、アルコールはビタミンB1を過剰に消費して「ヴェルニッケ脳症」とよばれる特殊な脳症を発生させることがわかっています。そのため、ビタミンB1の補給もしばしば有効です。
幻覚やその他の脳神経系の離脱症状が現れた場合は、直ちに病院へ行くべきです。幻覚が現れた場合は、救急医療科や精神科での診察を受けた方がよいでしょう。場合によっては救急車を呼ぶことも検討してください。

アルコール依存症の治療法

薬物療法

アルコール依存症の薬物治療は例えば以下の通りです。

抗酒薬(ジスルフィラム・シアナミド):抗酒薬を服用中に飲酒すると「悪心・嘔吐」「頭痛」「動悸」「顔面紅潮」「呼吸困難」などのアセトアルデヒドによる不快な反応が出てきます。そのため、お酒を飲まないように自制することを促します。

アカンプロサート:飲酒への欲求を軽減させることにより断酒率を高める効果があります。

ナルメフェン:脳内のオピオイド受容体という部分に作用することで、飲酒時の量を低減させる効果があります。

リハビリテーション

リハビリテーションはアルコール依存症の治療において非常に大切。アルコール依存症では断酒する目的でしばしば入院を必要としますが、退院後もリハビリは必要になってきます。リハビリにも

自助グループへの参加(断酒会など)

社会復帰プログラム

職業訓練

心理的カウンセリングや行動訓練

などさまざまなプログラムがあります。

「アルコールの離脱症状」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「アルコールの離脱症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

アルコールの離脱症状を軽減させる方法を教えてください。

秋谷 進(医師)

アルコールの離脱症状を軽減するためには、どうしても医療的介入が必要な場合が多いです。ベンゾジアゼピン系などの薬は離脱症状の軽減に大きく役立ちます。
しかし、十分な睡眠を取ることや、適度な水分補給をすることでも、アルコールの離脱症状を多少和らげることもできます。何より家族や周りのサポートも症状の軽減に役立つでしょう。

アルコールの離脱症状で寝汗をかく原因について教えてください。

秋谷 進(医師)

アルコールの離脱時に寝汗をかく主な原因は、長期のアルコールが睡眠中の自律神経のバランスを乱しており、アルコール離脱時に元の自律神経のリズムに戻ろうとするからです。特に夜間の後半に発汗などの自律神経が興奮した状況を引き起こします。
あくまで一時的であり、時間がたちアルコールが抜けてくれば正常になっていくでしょう。

まとめ

アルコール離脱症状は、長期間アルコール依存になっていればいるほど強い症状で引き起こされます。しかし、アルコールを一生飲み続けているとそれ以上に体が蝕まれることでしょう。なるべく早い時期からアルコールを速やかに減らし、健康的な生活に近づける努力が大切ですね。

「アルコールの離脱症状」で考えられる病気

「アルコールの離脱症状」から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

高血圧

心室性頻脈

心房細動

心不全

神経系の病気

せん妄振戦

幻覚不安症

うつ症状

ウェルニッケ脳症

消化器系の病気

肝硬変

肝機能障害・慢性肝炎

脂肪肝胆管炎慢性膵炎

胃腸障害

慢性胃炎逆流性食道炎

アルコール離脱で見られやすい症状や、背景にあると悪化しやすい病気など非常に多くの病気が考えられます。

「アルコールの離脱症状」に似ている症状・関連する症状

「アルコールの離脱症状」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

手が震える

急に涙がでる

発汗する

漠然と不安になる

興奮する

錯乱する

血圧が高くなる

脈がとぶ

動悸がはげしい

息切れがする

吐き気がする

下痢になる

長期間にわたってアルコール依存になっている場合には強い症状で引き起こされることがあります。一人で抱え込まず、早めに医療機関に相談するようにしましょう。

【参考文献】
・新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインに基づいたアルコール依存症の診断治療の手引き【第1版】