塗り薬の「軟膏」「クリーム」「ローション」の違いはご存じですか?【薬剤師解説】
保湿力が高く、皮膚を保護する効果がある「軟膏」、皮膚の深い部分に薬剤を浸透させたい場合に適している「クリーム」、水などに薬の成分が入った「ローション」。それぞれの特徴を薬剤師の福島さんに教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【塗り薬の適切な量、キーワードは「手のひら2つ分」 塗り薬の正しい使用法について薬剤師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修薬剤師:
福島 沙織(薬剤師)
京都薬科大学薬学部を卒業後、6年間医療機器メーカーで品質管理に従事。その後製薬メーカーへ転職し、2020年より学術として医薬品に関する情報提供業務を担当。薬剤師や医師、看護師など様々な医療関係者と連携し、迅速かつ正確な情報提供で医療の向上に努める。
編集部
塗り薬というと「軟膏」や「クリーム」があると思うのですが、何が違うのでしょう?
福島さん
「軟膏」は保湿力が高く、皮膚を保護する効果がありますが、その分クリームに比べるとベタつきが強いという特徴があります。刺激はほとんどないので、肌の弱い人でも使用することができます。
編集部
「クリーム」の特徴についても教えてください。
福島さん
「クリーム」は皮膚から吸収されやすいため、皮膚の深い部分に薬剤を浸透させたい場合に適しています。サラサラとなめらかでベタつきにくいのですが、水で簡単に洗い流せるので、汗などでも流されやすいという特徴があります。軟膏に比べて刺激が強いため、傷のある部位には適していません。その他、水やアルコールに薬の成分が入っている「ローション」の塗り薬もあります。ローションは即効性に優れているので、かゆみ止めなどによく使われています。
編集部
塗り薬でよく見かける「ステロイド」とは何ですか?
福島さん
人間の体内でつくられているステロイドホルモンを医薬品へ応用したものです。体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑えたりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われています。ステロイドには怖い副作用があるというイメージをもつ方もいますが、使い方を守って正しく使えばとても便利な薬です。