Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/13925515511/

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『シド・アンド・ナンシー』(1986)ではカリスマベーシストのシド・ビシャス、『レオン』(1995)では汚職刑事、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017)では英国首相と、ゲイリー・オールドマンは様々なキャラクターを演じ抜いてきた実力派俳優だ。しかしオールドマン本人は、『ハリー・ポッター』シリーズで演じたシリウス・ブラック役に満足していないと過去に明かしている。このたび、この発言の真意をカンヌ国際映画祭で語り、その内容を米が伝えている。

オールドマンは『ハリー・ポッター』シリーズ第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)で、ハリーの名付け親であるシリウス・ブラック役として初登場し、計4作に登場。撮影をこなす傍ら、自身の子どもたちと過ごすことができた『ハリー・ポッター』シリーズがキャリアの助けになったと感謝もいるが、キャラクターに満足していないというのはどういった背景だったのか。

事の発端はオールドマンが2023年12月にPodcast番組『Happy Sad Confused』への出演時に、シリウス・ブラック役の演技を「平凡だったと思う」とことにある。当時オールドマンは「スネイプ役を演じたアラン・リックマンのように原作を読んでいたら、先回りして今後の展開がわかっていたら、正直なところ、違った演技ができたと思います」とも役作りに対する心残りを口にしていた。

オールドマンはこの度も「どんなアーティストも俳優も絵描きも、自分自身の仕事に対して常にあら探しをしているものです。もしそうしていなくて、自分のやっていることに満足しきっていたら、それは私にとっては死を意味するもの。もし私が自分の演技を見て、“わあ、私って何て素晴らしいんだろう”って思ったとしたら、悲しいことです」と自身に対する批評的な視点を強調している。悔やんでいるのは原作を読まずに役に臨んだことであるとも改めて言及した。

「小説の周辺には覆い隠された秘密があります。それらにはしっかり鍵がかかっているんです。冒頭の部分から知っていれば、もし5冊の本を先に読んでいれば、キャラクター・アークがわかっていれば、異なるアプローチもできたかもしれないと思うんです。異なる視点で見て、異なる色をつけることもできただろうと。『ハリー・ポッター』の撮影を始めたとき、私は『アズカバンの囚人』しか読んでいなかったので。」

第1作『賢者の石』から作品を追うごとにキャラクターの成長や関係性が変化し、世界観も色濃くなっていく『ハリー・ポッター』シリーズ。最初から原作を追っていれば、作品やキャラクターへの解像度も高まり、違うアプローチができたかもしれないという気持ちの顕れは、オールドマンが真摯で優れた俳優である所以だろう。

「『ハリー・ポッター』がひどい映画だとか、私の演技がひどいと言っているわけではありません。ただ異なる状況下であればよかったなと思っているだけで。あの作品を好きな人に対して失礼な物言いをするつもりは全くないんです。」

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