アップル、シリーズ初の有機EL「iPad Pro」。「史上最高に薄いアップル製品」
シリーズで初めて有機ELディスプレイを採用した「iPad Pro」
アップルは5月7日、シリーズで初めて有機ELディスプレイを採用した「iPad Pro」を発表した。予約受付を開始しており、5月15日から出荷開始。11インチと13インチの2サイズ展開で、価格は11インチモデルで168,800円から、13インチモデルで218,800円から。ストレージ容量は256GB、512GB、1TB、2TB、カラーバリエーションはシルバーとスペースブラック。
2枚のOLEDパネルを組み合わせた「タンデムOLEDテクノロジー」を採用した「Ultra Retina XDRディスプレイ」を採用する
iPadシリーズで初めて有機EL(OLED)ディスプレイを搭載。輝度を向上させるために2枚のOLEDパネルを組み合わせた「タンデムOLEDテクノロジー」を採用した「Ultra Retina XDRディスプレイ」と名付けられており、SDRとHDRのフルスクリーン輝度で1,000ニト、HDRのピーク輝度で1,600ニトを実現している。
タンデムOLEDテクノロジーでは、「一つひとつのピクセルの色と輝度のサブミリ秒単位でのコントロールを可能にし、XDRの精度をかつてないほど向上させる」とのこと。
ディスプレイ解像度は、11インチモデルが2,420×1,668ドット/264ppi、13インチモデルが2,752×2,064ドット/264ppi。どちらも10Hz~120Hzのアダプティブリフレッシュレートに対応したProMotionテクノロジーを採用するほか、P3広色域、True Toneなどにも対応する。
また1TBと2TBモデルでは、ディスプレイ表面にナノメートル単位のエッチングを施すことで、環境光を散乱させて映り込みを低減する「Nano-textureガラス」を選ぶこともできる。
「M4」チップを搭載する
搭載チップは、第2世代の3ナノメートルテクノロジーで設計されたアップル独自の「M4」。最大4つの高性能コアと6つの高効率コア、次世代の機械学習(ML)アクセラレータを搭載し、CPUパフォーマンスは前モデルに採用されていたM2よりも最大1.5倍高速だという。
GPUはM3チップのGPUアーキテクチャをもとに設計されており、10コアGPUは、iPadに初めて搭載されるDynamic Cachingやハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディングとレイトレーシングなどのパワフルな機能を利用できる。
“アップル史上もっともパワフル”というNeural Engineも搭載。ユーザーはFinal Cut Proのシーン除去マスクで1回タップするだけで4Kビデオの被写体を背景から簡単に分離できるなど、AIを利用したタスクをこれまで以上に高速に実行できる。
なお、ストレージ容量によって搭載されるM4チップの性能が異なっており、256/512GBモデルの場合は9コアCPU、10コアGPU、8GBメモリのM4チップ、1TB/2TBモデルの場合は10コアCPU、10コアGPU、16GBメモリのM4チップが搭載される。
背面カメラは1,200万画素の広角でf1.8。最大4K/60fpsや、1,080p/240fpsのビデオ撮影ができる。AIを利用してカメラアプリで直接書類を自動的に識別し、影が写り込む場合はアダプティブフラッシュを使用して即座に複数の写真を撮影し、スキャンをつなぎ合わせて劇的にスキャンを向上させるという「アダプティブTrue Toneフラッシュ」も備えた。
前面カメラは、iPad Airなどと同じく横向きに配置。ビデオ通話時などに被写体を中央に捉え続けるセンターフレームに対応した1,200万画素の超広角カメラとなっている。Face IDに使用するTrueDepthカメラも横向き配置となった。同時発売のiPad Airとは異なり、TouchIDには非対応。
Thunderbolt 3とUSB 4に対応した高性能なUSB-Cコネクタを搭載し、最大40Gb/sの高速の有線接続が可能。Wi-Fi 6EやBluetooth 5.3も利用できる。eSIM対応のWi-Fi+Cellularモデルも用意する。
「史上最高に薄いアップル製品」だという
筐体デザインも変更され、厚さは11インチモデルで5.3mm、13インチモデルで5.1mm。これはiPod nanoよりも薄く「アップル史上最薄」の製品になるという。筐体は100%再生アルミニウム製。4スピーカーオーディオに対応する。
バッテリー駆動時間は11インチ/13インチともにWi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生時で最大10時間。Wi-Fi+Cellularモデルの場合、携帯回線でのネット利用で最大9時間。製品には20WのUSB-C電源アダプタと1mのUSB-C充電ケーブルなどが付属する。
外形寸法は11インチモデルが249.7×177.5×5.3mm(縦×横×厚み)、13インチモデルが281.6×215.5×5.1mm(同)。重さは11インチのWi-Fiモデルが444g、Wi-Fi+Cellularモデルが446g、13インチのWi-Fiモデルが579g、Wi-Fi+Cellularモデルが582g。
触覚フィードバックに対応した新Apple Pencilも
アクセサリとして、新型iPad Pro用に作られた新型Magic KeyborardとSmart Folio、触覚フィードバックに対応したApple Pencil Proも用意する。
新型Magic Keyborardは49,800円から。従来のフローティングデザインを引き継ぎつつ、新たにファンクションキーを搭載。アルミ製のパームレストと、触覚フィードバックに対応したトラックパッドを備え「全体的な体験はMacBookを使っているように感じられる」という。iPad Proにマグネットで装着でき、Smart Connectorで通信するためBluetoothペアリングなどは不要。スペースブラックのパームレストを備えたブラック、シルバーのパームレストを備えたホワイトの2種類を用意する。
Smart Folioは、マグネットで取りつけられ、柔軟性を高める複数の表示角度に対応。ブラック、ホワイト、デニムの3色展開で、13,800円から。
「Apple Pencil Pro」
新型タッチペン「Apple Pencil Pro」の価格は21,800円。軸に新たなセンサーを内蔵し、ユーザーのスクイーズ(指で強く押した状態)を感知してツールパレットを表示できる。独自の触覚エンジンは、ユーザーがスクイーズしたり、ダブルタップしたり、図形認識でスナップしたりすると、確認として軽いタップを返すという。
ジャイロスコープにより軸を回転させて、ペンツールやブラシツールの向きを変える機能や「探す」アプリにも対応する。
なお、M4チップを搭載した新型iPad Proでは、このApple Pencil Proと、USB-C充電に対応した「Apple Pencil(USB-C)」が利用できる。