米Universal Music、TikTokと新契約。音源利用も復活へ
米Universal Music Group(UMG)は現地時間5月1日、動画投稿サービスのTikTokと新たな多角的ライセンス契約を締結したと発表した。この契約は「UMGのグローバルファミリーであるアーティスト、作曲者、レーベルに大きな利益をもたらすと同時に、TikTokの10億人を超えるグローバル・コミュニティに彼らの音楽を還元するもの」だという。
UMGは今年2月、TikTok側に「アーティストとソングライターへの適切な報酬」「AIの有害な影響からの人間のアーティストを守ること」「TikTokユーザーのオンライン上の安全性」という3つの課題に対処するよう提案したものの、TikTok側は「これに無関心、或いは威圧的な態度で応じた」として、契約を更新せず、1月末で契約を終了。
これにより、テイラー・スウィフトやBTS、アリアナ・グランデ、SEKAI NO OWARIや藤井風、Ado、宇多田ヒカルなど、UMGグループ所属アーティストの楽曲がTikTok上で使用できなくなり、それまでに投稿された動画も無音になるなどの影響が出ていた。
今回新たに結ばれた契約は、UMGのアーティストと作曲家が「創造的かつ商業的なポテンシャルを発揮できるように支援する」という共通のコミットメントに基づくもので、両社の戦略的コラボレーションの「新時代」だという。
UMGとTikTokは、TikTokが持つテクノロジーとマーケティング、プロモーション能力を活用することで、UMG所属アーティストらの報酬の向上、彼らのレコーディングと楽曲に対する新たなプロモーションとエンゲージメントの機会創出、生成AIに対する業界トップクラスの保護を実現する。
2社は現在、UMGが代理権を持つアーティスト、およびUniversal Music Publishing Groupが代理権を持つ作曲家の楽曲をTikTokで利用可能にするべく、迅速に作業を進めているとのこと。
また契約の一環として、TikTokのeコマース機能を利用して、ジャンルや地域を超えてアーティストを支援するキャンペーンを世界展開する予定。さらにAI対策についても協力。AIが生成した無許可の音楽をプラットフォームから排除し、アーティストと作曲家の帰属表示を改善するツールの提供も行なう。