TSUTAYAのビジネスでも難題を抱えるCCC(撮影:梅谷秀司)

2024年4月22日、国内で最古参といえるポイントプログラム「Tポイント」が消滅し、三井住友グループが手がける「Vポイント」に統合される。Tポイントの運営元、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、TSUTAYA蔦屋書店などリアル店舗の事業でも難題を抱える。そのポイントをQ&A形式で解説する。

※記事の内容は記者による解説動画「Q Five」からの抜粋です。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。

Q:Tポイントはなぜここまで衰退した?

CCCと三井住友フィナンシャルグループ(FG)との間では2023年4月に、資本業務提携が締結されました。新ポイントでは、青と黄のイメージカラーが継承される一方、名称は「Vポイント」に統一され、Tポイントのブランドは消滅します。

単独での運営が厳しくなったのは、端的に、後発組に押されたということでしょう。とくに強いのが楽天グループの「楽天ポイント」、NTTドコモの「dポイント」。いずれも十分な還元原資を確保し、ポイント還元合戦を仕掛けてきました。

対するCCC。DVDレンタル、書店の市場が衰退しているTSUTAYAビジネスが中心では、ポイントに回せるお金が限られます。思い切った還元策は取りづらい中で、だんだんと存在感を落としていきました。

象徴的なイベントは、大きな加盟店の一つだったファミリーマートでの取り扱いの変更(2019年)です。それまではTポイントしか貯められなかったのが、楽天ポイントも、dポイントも貯められる・使えるという「マルチポイント戦略」に転換しました。

続いて2021年末にはヤフーが、グループ内で手がけているキャッシュレスサービス「PayPay」にひもづく「PayPayポイント」に取り扱いを集中させていく方向に動きました。

ファミマとヤフーはTポイントの運営会社に出資もしていたのですが、それを引き揚げてしまった。まさに「Tポイント離れ」といえる動きです。

Q:TSUTAYAはなぜ不振に陥った?

ここ5年間で500超と、非常に多くの店舗が閉店しています。DVDレンタルや書店業が厳しいのは当たり前なので、新しい業態も当然開発してきました。その1つが代官山などで展開している「蔦屋書店」。ただ、これもあまりうまくいっていないというのが取材した感触です。

蔦屋書店はいろいろな商材、カフェなどを含めた業態を組み合わせた店づくりをしており、施設の規模が大きくなる。しかも内装も洗練されている。となると、初期投資も維持費も高額になりがちです。

TSUTAYAの店舗はフランチャイズが9割ですが、地方のオーナーさんからすれば「(蔦屋書店に業態転換するとして)うちでそこまでの費用を負えるか?」という懸念がある。そういう背景で、これまでなかなか店舗網が広がり切らなかったという事情があります。

既存のTSUTAYAでも、DVDや書籍だけでなく雑貨、トレーディングカードといった新しい商材を取り入れたり、シェアオフィス機能をつけたりと、いろいろな動きはあります。ただ、打開策になるようなものは出ていないのが現状です。

結果として、2018年ごろから赤字に陥る店舗が徐々に増えていきました。CCC連結の業績を見ると、直近の売上高は、子会社が連結から外れるなどテクニカル要因を含むものの、ピーク時の3分の1程度まで縮小しています。

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(森田 宗一郎 : 東洋経済 記者)