【那須の注目宿】美しい水庭と地元食材のフレンチを楽しむ新しいオーベルジュ『那須 無垢の音』へ
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●栃木・那須に新しくオープンした宿泊施設『那須 無垢の音』。豊かな自然と本格フレンチが楽しめる「オーベルジュ」とは一体、どんなものなのか? 実際に宿泊してみて感じたその魅力とは?
北西部に雄大な那須連山、南境に箒川(ほうきがわ)、北境に那珂川(なかがわ)をもち、豊かな自然に囲まれた那須塩原市。都会の喧騒から逃れ、自然を感じながらゆったりと過ごせるこのエリアには、宿泊施設や別荘も多く、リゾート地として人気を集めています。
そんな那須エリアに、この春、新たな宿泊施設がオープン。那須塩原市に位置する『那須 無垢の音』は、建築家の石川純也氏が設計を手がけた美しい「水庭」を望む“オーベルジュ”。客室は1棟ごとに分かれた「スイートヴィラ」仕様で、3万5000平米を超える広大な敷地内にわずか15室のみという大人のリゾートとなっています。
季節ごとに異なる表情が楽しめるこだわりの「水庭」や、1棟貸しのプライベート空間「スイートヴィラ」とはどんなものなのでしょう? そして、レストランで味わえる本格的なフレンチコースの内容とは? 『那須 無垢の音』の魅力を調査してきました。
水の音、風の感触、四季の色。五感で楽しむ『那須 無垢の音』の「水庭」
東北新幹線「那須塩原」駅から『那須 無垢の音』までは、車でおよそ30分程度。事前予約制で送迎車も利用できるそうです。
バスを降りた先は、「水庭」の水が流れる音や風が木々の葉を揺らす音、そして鳥のさえずりのほかにはほとんど音のしないような、静かな場所。遠くに那須連山を望み、木々に囲まれた敷地内には、どこかあたたかみのある印象の「スウィートヴィラ」がゆったりと配置されています。
左から、千葉拓海総料理長、建築家の石上純也さん、株式会社タカラレーベンの島田和一社長、取締役岩本大志さん、『那須 無垢の音』総支配人永山忠宏さん
株式会社タカラレーベンの島田社長がこの場所に出会ったのは、今から10年ほど前。当時、この場所には、文化リゾートホテルの先駆けとして知られる『二期倶楽部』の『アートビオトープ』がありましたが、『二期倶楽部』は2017年に惜しまれつつ営業を終了。その後、隣接する敷地に建築家の石上純也さんが「水庭」を設計し、新たな文化事業として『アートビオトープ那須』をオープン。アフターコロナとなる今年、ヴィラスタイルの宿泊と極上の食事を楽しむ「オーベルジュ」として、新たに『那須 無垢の音』をオープンすることになったそう。
まずは、この宿泊施設の目玉といえる「水庭」へ行ってみましょう。
水庭は、遠くから見ると木々が密集する森のように見えますが、近づいてみると光がたっぷりと注ぎ、見上げれば空も見える開放的な空間となっています。「森のように木々が密集していながらも、地面に太陽の光がしっかりと届くようプランしました」と石上さん。水庭の木々は、敷地内の別の場所に植えられていたものを、シャベルで根ごと掘り返して、設計した通りに移植したといいます。
水庭の解説をする石上純也さん。水庭の石垣にも土地から出てきたものを採用するなど、那須の自然を活かしている
水庭の木々はクヌギなどの落葉樹が中心で、春から夏にかけては青々とした新緑、秋には紅葉と、季節によって異なる表情を楽しませてくれます。
水庭につくられた60強の池は循環しており、耳をすませば水の流れる涼しげな音が聴こえてきます。この日は雨上がりでしたが池の水はよどみなく、空の色や木の影を美しく映し出していました。都会の喧騒が嘘のように思われる静かで穏やかな景色は、日々忙しくする来訪者の心をデトックスさせてくれそう。
那須エリアでは冬季休業する宿泊施設も多い中、『那須 無垢の音』は年中無休で営業予定。「銀世界に水の流れる音が響く水庭も風情があるので、ぜひ訪れて欲しい」(石上さん)
次は「スウィートヴィラ」へ参りましょう。
大開口から豊かな自然を望むプライベート空間「スウィートヴィラ」
宿泊したのは「スウィートヴィラ」のツインルーム。約68平米の室内と約14平米のテラスからなる空間は広々としている一方、無垢材のあたたかみや自然由来の香りが感じられ、なんとも心地よく、落ち着けました。
テラスの前にも木々が立ち並び、豊かな自然を堪能できます。目の前には水庭と循環する小川が流れ、テラスに置かれたチェアに腰掛けながらせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾けると、身も心も癒やされるよう。
大開口を通じてテラスと隣接するリビングの上には、小上がりのベッドスペースとワーキングスペースが。カウンターテーブルには電源とテーブルランプが用意されており、仕事や読書に最適。バカンスだけでなく、ワーケーションで利用しても良さそうですね。
施設内に大浴場はありませんが、スウィートヴィラの1棟ごとに専用の浴室が設けられていて、疲れた体をゆっくりと癒やすことができます。浴室の窓にはブラインドが設けられていますが、窓から外の自然を眺めることも! 暖かい季節には窓を少し開けて、半露天風呂として楽しむこともできます。
浴室や洗面所の蛇口から流れる水はすべて那須の天然水で、石造の湯船にお湯を溜めれば天然水のお風呂に浸かれます。実際に筆者も湯船に浸かってみましたが、天然水というだけあり、まろやかで肌あたりも優しい印象がありました。
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ちなみに、リビングの大開口も、浴室の窓同様にブラインドを引いて隠すことができます。窓の外には人気がなく、ほかの宿泊者の視線が気になることもほとんどありませんでしたが、着替えの際や就寝時など、気になるときにブラインドを引けるのは安心でした。
肌触りのいいパジャマや、シャンプーにコンディショナー、ボディソープ、歯ブラシや歯磨き粉、ヘアブラシなど、アメニティも充実しているので、少ない荷物で宿泊できるところもうれしいポイント。スウィートヴィラ内にはフリードリンクのほかに、電気ケトルやコーヒーメーカー、紅茶なども用意されていたので、窓の外から聴こえるフクロウの鳴き声をBGMに、リラックスした時間を過ごせました。
ディナーは地域の食材をふんだんに使用したフレンチコースに舌鼓!
窓の外に水庭を望むレストラン内
そもそも「オーベルジュ」とは、レストランを備えた宿泊施設のこと。オーベルジュ滞在の目的は食事をゆっくりと堪能することであり、『那須 無垢の音』では地域の食材をメインに使った本格フレンチコースを味わうことできます。
「とちぎ和牛のフィレロースト 黒トリュフとソースヴァンルージュ」
この日のコースは、那須で採れた新鮮な春野菜をメインに、「とちぎ和牛」のフィレ肉や鮑、白甘鯛などを贅沢に使ったモダンなフレンチメニューでした。
スッとナイフが通るほど柔らかいフィレ肉や歯応えのいい鮑はもちろん、グリルされたグリーンアスパラやポタージュされた菊芋など、野菜の味わい深さに驚き! 自然豊かな那須エリアで育まれた野菜はどれも風味豊かで、素材本来の甘みや旨みがしっかりと感じられます。
「黒ゴマのムースと黒羽茶のアイス 熟成本みりんのソース」
総料理長の千葉さんに「1番の自信作は?」と伺うと、デザートのプレートだという回答が。
千葉さんは『那須 無垢の音』のオープンに際して那須へ移住されてきたそうですが、那須に点在する緑豊かな森に感動したと言います。「このプレートには、そんな那須の森を表現してみました。味覚だけでなく、視覚でも楽しめるデザートに仕上がっています」と千葉さん。確かに、仕上げに抹茶のあしらわれたプレートは、苔むした水庭の美しさを感じさせます。
モーニングメニュー
たっぷり3時間弱かけて提供されるディナーコースは、満足感抜群。デザートプレートのあとにはプティ・フルーもあり、すべて食べ終わる頃にはお腹がいっぱいになっていました。
翌朝、同じレストランでモーニングもいただきましたが、卵料理に分厚いベーコンとソーセージ、旬野菜のサラダボウル、スープにパン、ヨーグルトにシリアルと、こちらもボリューム満点! モーニングもディナー同様、地域の食材がふんだんに使われていて、那須のおいしいものをたっぷり味わえました。
なお、ディナーとモーニングのメニューは、食材の旬に合わせて変動するそう。その季節の一番おいしい食材が採用されるとのことで、何度訪れても新しい味に出会えそうです。
まとめ
施設提供写真
那須塩原にオープンした『那須 無垢の音』は、五感で楽しめる水庭と、プライベートな時間を楽しめるスウィートヴィラ、そして地域の食材をふんだんに使用した極上の料理が楽しめるラグジュアリーなオーベルジュでした。
なお、オーベルジュのほかに、7月には宿泊と朝食(部屋食)のみをリーズナブルに楽しめる「B&B(ベッド&ブレックファスト)」もオープン予定。こちらでもオーベルジュ同様、四季で表情を変える水庭を見学することができます。気になる方はぜひ、公式サイトで続報をチェックしてみてください。
(撮影・文◎藤間紗花)
●SHOP INFO
那須 無垢の音
住:栃木県那須郡那須町高久乙 2294-3
TEL:0287-73-8122(予約専用)
https://mukunone.jp/