警察署内でスマホ撮影→止めようとした警察官の行為は「暴行だ」 東京弁護士会が警告
警察署内でスマートフォンを使って撮影していた人の手に警察官が力を加えたとして、東京弁護士会(松田純一会長)は3月1日、警視庁に対して、一般市民への庁舎管理権の行使に慎重を期することなどを求める警告を出した。本人から人権救済の申し立てがあって調査していた。
東京弁護士会によると、申立人は2021年4月25日午後6時50分ごろ、杉並区内で3日前に発生した自転車の破損事故の処理について苦情を述べるために杉並警察署を訪問した。
警察署とのやり取りを記録するため、スマートフォンで署内を撮影していたところ、受付カウンター前で複数の警察官が来て、スマートフォンを下に向けさせられたり、体を押されたりした。
撮影された写真や動画などには、「触るなよ」「また暴力ですか」などと話す申立人に対して、警察官が「やめてください」「命令していません、お願いしているんです」などと応じるやり取りが記録されていたという。
警視庁の庁舎管理規程には「庁舎においては、座込み等により公務を妨害し、その他秩序を乱すような行為をしてはならない」と書かれており、警視庁は署内での撮影行為がこの規程に該当すると説明したという。
これに対して、東京弁護士会は「申立人の携帯電話は相対する署員らにのみ向けられており、その他の一般利用者のプライバシーや署の情報の機密等が侵害される状況があったとはいえない」などとした上で、「署員らによる行為は、申立人の身体に対する不法な有形力の行使、すなわち暴行であると認められ、申立人の人権(身体の安全)を侵害するものであった」と警告した。