「日本版アマゾン」が誕生?KDDI×ローソン×三菱商事TOBの“真の狙い”を考える
コンビニ3位のローソンを、三菱商事とKDDIが共同経営する。KDDIは約5000億円を投じてローソン株式の50%を取得するわけだが、大金をはたいて今回の決断に至った理由は何か。3社連合が目指すのはほかでもない、“日本版アマゾンドットコム”だろう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
目指すは日本版アマゾンドットコム
2月6日、KDDIはローソンに対するTOB(株式公開買い付け)を発表した。TOBが成立すると、ローソンは非公開化される予定だ。三菱商事とKDDIは議決権を50%ずつ保有し、共同経営パートナーとしてローソンの経営に本格的に参画することになる。
今回のTOBの狙いは、ローソンを小売り×IT×物流を統合した米アマゾンドットコムのような企業に育てることだろう。親会社である三菱商事はマーチャンダイジングと物流を担当し、そこにKDDIの情報通信を結合することで、これまでわが国には見られなかった複合型の業態が出現することになりそうだ。
その上でローソンは、海外展開も強化するだろう。人口減少などで国内需要は縮小均衡する。より多くの需要を取り込むためには、経済成長の著しいアジアを中心とした海外進出を強化することが欠かせない。長期的には途上国に進出し、ネット空間でモノやサービスの取引が完結する業態を目指す可能性もある。
三菱商事、KDDI、ローソンの資本関係のつながりは、業界を超えたアライアンス強化としても注目される。これまでわが国では、グループの中核企業とその関連企業といった“タテ”の関係に基づく事業運営は多かった。一方、今回の提携をきっかけに“ヨコ”の関係を生かした企業戦略の立案と実行が増えていくことに期待したい。業界の垣根を飛び越え、常識や価値観にとらわれない提携こそ日本経済の成長に必要だ。