実はケインがいない方がゴールが多くなる? トッテナムとバイエルンで示された「ケインに頼りすぎ」の弊害
ドイツ王者バイエルン・ミュンヘンが窮地に立たされている。ブンデスリーガでは先日、首位レヴァークーゼンとの直接対決にあえなく敗れ、勝ち点差は「5」に広がった。そのうえ、チャンピオンズリーグラウンド16の1stレグでは、イタリアのラツィオに1-0と敗れ、CL制覇にも黄信号が点灯した。
昨夏に加入したエースFWハリー・ケインは、ブンデスリーガで21試合24得点という驚異的なペースで得点を積み重ねている。なのになぜ、バイエルンは思ったような成績を残せないのか。英『Daily Mail』は、興味深いデータを挙げている。ケインが昨季まで在籍していたトッテナムのことだ。
1試合あたりのシュート数も増加しており、22-23シーズンの「13.4」本に比べて、今季は「15.1」本を記録。枠内シュート数も「4.9」から「5.7」へと改善を見せた。勝率も「46%」から「55.6%」へと向上している。
では、バイエルンはどうだろう。昨季の平均ゴール数は「2.73」だった。しかし今季はそれが「2.45」にまで落ちている。シュート数平均は昨季が「18.4」だったのに比べ今季は「18.3」とわずかに落ちただけだが、枠内シュート数平均は昨季の「7.9」から今季は「6.9」と、やはり落ちている。
ケイン自身が凄まじいペースで得点を積み重ねていることを考慮すると、他のプレイヤーの得点数やシュート数が昨季よりも落ちていることになる。端的にいえば、ケインがストライカーとしてあまりに優秀であるがゆえに、頼りすぎてしまう傾向が生まれているのではないか。
ケインが個人では優秀な成績を収めるのに対して、所属するチームがどうしてもタイトルを取れないというジレンマがよく話題になるが、こんなところに理由があるのかもしれない。決して利己的なストライカーではなく周りも活かせるタイプなのだが、ケインがいない方が結果的にゴールが多くなるというのは、なんとも皮肉な現実だ。