「親の介護で新卒入社を断念」抱え続けるモヤモヤ
親の介護で新卒入社を断念し、現在もモヤモヤを抱えている相談者。安井さんの回答は。※写真はイメージです(写真: mits / PIXTA)
→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。
初めまして。現在、25歳の会社員です。どう気持ちを消化して、キャリアを積み重ねていくか、迷いがあるのでご相談させてください。
私は大学卒業直前に親の介護が重なり、新卒入社を断念しました。その後、アルバイト期間などを経て、最近ありがたいことに正社員として働かせていただくことができました。
しかし、客先常駐といったいわゆる「派遣」のような業務形態のため、今後のキャリア形成に不安があり、介護がなければ新卒入社できていたのにな、とタラレバ思考になってしまいます。このモヤモヤした気持ちをどう消化したらよいか、ご意見いただきたいです。
匿名希望 会社員
変えることのできない過去に悩んでしまう
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変えることのできない過去について、あれこれ悩むのではなく、これから変えることのできる将来に自分自身のエネルギーを費やす。まずはこれが大切です。
過去をいつまでも引きずり、将来を過去の延長でしか考えられないような人生を生きるのか、それとも過去の延長線上にない輝ける将来を自ら切り開いていくのか、です。
人間誰しも、何かしらの制約を人生に持っているものです。
もっと健康だったら、もっと時間があれば、もっと育児の負担が減れば、もっといい大学を出ていれば、親にコネがあったら、など。
それを制約と考え、いつまでも「言い訳」に使ってしまうのか、それともそれを「所与の前提」として、その範囲でできるかぎりの工夫や努力をするのか。
そのスタンスの違いが、将来の人生を大きく変えるのです。
人生や就職や仕事において、「自分はうまくいっていない」と考えているヒトは、その分野で成功していると思われるヒトにはなんの制約条件もないと思いがちで、自分だけが制約条件があり、割を食っている、と考えがちです。
しかしながら、そんなことはなく、誰もが何かしらの弱みや制約条件などを抱え、その中で工夫し、努力をしているのです。
表面上はうまくいっている様子でも、その背景はさまざまであり、すべて好条件が揃っているなんてヒトはいません。
それでもうまくいくヒトと、そうでないヒトの違いは先ほど述べた通り、自分の過去や現在の状況を言い訳に使って後ろ向きに生きてきたのか、それとも将来を変えるべく、前向きに生きてきたのかの違いです。
ようは積極的で主体的な人生を生きているのか否かの違いです。
ご相談者さんの場合、スタートは介護などもありアルバイトしかできず、という話ですが、現在は正社員として仕事をされています。
したがって親の介護ということは、新卒時点での制約条件ではあったものの、現在においてそのこと自体は制約条件ではなくなっているハズです。
いつまでも言い訳に使ってはいけない
つまり、いつまでも言い訳に使うべきものではない、ということです。
過去は過去。現在と将来とは別のものです。
今ここでその悪循環を断ち切らないと、この先の人生においても何かうまくいかないときに介護を言い訳に使ってしまう可能性が高いです。
介護という過去の制約条件を、いつまでもできないこと、やらないことの免罪符に今後も使ってしまう可能性が高い、ということです。
そしてそれが挑戦しない、うまくいかないことの理由や言い訳として、自分自身を納得させるようなことになりかねません。
それではいつまでも自分を変えることはできません。
かわいそうな自分にいつまでも酔い、やらないこと、できないことの理由にしてはいけません。
大切なのは変えられない過去についていつまでも悩むよりも、将来をいかに過去の延長線上ではない人生にしていくかを考えることです。
過去をいつまでも引きずるというのは、将来を過去の延長線上でしか考えられないということであり、そこに夢はありません。
そうではなく、自分にとってのベストな将来や、自分が理想とする人生に少しでも近づけるように工夫し、努力し、注力することで将来はいくらでも変えられるのです。
ご相談者さんは現在仕事をされていますから、まずはそこからいかに実績を作るか、です。
頂戴した相談を拝見するに、ご相談者さんの場合は、現時点においては職業上の選択肢は多くはないものと思われます。
そのようなケースでは、今の職場や仕事に対して不満を言う前に、今の仕事で誰からも評価されるような実績をまずは出したほうがよいでしょう。
目先の事をキチンとできないヒトは、転職などで環境だけ変えても絶対に成功はできません。
どんな仕事でも、何かしらの実績を出せるヒトが強いのです。
そしてそういった実績の積み重ねが、自分にとってのスキルや経験となり、将来の道筋を切り開く武器となるのです。
現在のご相談者さんの状況で「将来が不安だから」という理由でほかの仕事を探しても、そしてうまく探せたとしても、また同じ不安や悩みを抱えることになります。
なぜならば職業上の誇れる実績がまだ何もない状況だからです。
そのような状況では、自分自身に対する自信もないでしょうから、いつまでも将来に対する不安は消えませんし、何よりも他人から評価されるということにはつながりません。
何も実績がないヒトよりも、ほかの職場や仕事でキチンとした実績を出しているヒトのほうが評価されるのは言うまでもありません。
実績を作ることで不安は払拭される
結局のところ、将来の不安を払拭する唯一の手段は、現時点において実績を出し、その実績を積み重ねていくことなのです。
目先のことで、小さくてもよいから実績を出す。そして地道にそれを積み重ねる。やるべきことはそれです。
長い職業人生ですから、スタート時点での躓きや失敗なんて、たいした傷では本来ないのです。
ましてや20代前半の1年2年なんて、長い目で見ればたいしたことではありません。
とはいえ、その躓きや失敗をいつまでも引きずってしまうと当然その限りではありません。
自分が失敗した、と思ったら素早く方針転換するべきだし、今の状況をどう変えるかを考え、行動するべきです。
ですから、いつまでも過去を言い訳にせず、現時点でできることに対して積極的なアクションを取ったほうがよいのです。
現時点での考えを変える、現時点での行動を変える。それだけで将来は変わります。
できなかった、やらなかった過去の理由をいつまでも引きずってしまってはいけません。
もっと積極的に主体的に行動する
できるようにするにはどうしたらよいのか、やるためにはどうするべきか。もっと積極的に、そして主体的な人生を歩みましょう。
ご相談者さんはまだ25歳との事ですから、まだまだこの先の人生は長いですし、これからいかようにも将来を変えることができます。
過去の殻にいつまでも閉じこもるような人生よりも、過去の殻を破って新しい人生を切り開くほうがやりがいもありますし、後悔もないでしょう。
そのような考え方で、ご相談者さんが過去の延長ではない新たな人生を歩むための第一歩を歩みだすであろうことを応援しております。
(安井 元康 : 『非学歴エリート』著者)