中国航天科技集団有限公司(CASC)は日本時間2024年1月9日、中国科学院(CAS)が開発した宇宙科学衛星「Einstein Probe(アインシュタインプローブ)」を搭載した「長征2C」ロケットの打ち上げに成功しました。アインシュタインプローブは中性子星やブラックホールといった天体からのX線バースト観測を目的としています。


【▲ 西昌衛星発射センターからアインシュタインプローブを搭載して打ち上げられた長征2Cロケット(Credit: 中国科学院)】

アインシュタインプローブを搭載した長征2Cは日本時間2024年1月9日16時3分(北京時間同日15時3分)、中国の西昌衛星発射センターから打ち上げられました。衛星は高度600km・軌道傾斜角29度の地球低軌道に投入されました。この打ち上げは2024年初のCASCによる衛星打ち上げミッションです。


CASが開発したアインシュタインプローブは、幅約3メートル・高さ約3.4メートルの大きさで、観測機器として広視野X線望遠鏡「WXT(Wide-field X-ray Telescope)」およびフォローアップX線望遠鏡「FXT(Follow-up X-ray Telexcope)」という2種類の望遠鏡が搭載されています。WXTはロブスター(えび)の目を参考にして開発され、一度に全天の10分の1を観測できる視野を持っています。WXTの観測で発見された新たなX線源は、視野が狭い代わりに高感度でより詳細な情報を得られるFXTによる観測が行われます。


2つの望遠鏡を搭載したアインシュタインプローブは、中性子星やブラックホールへ落下する物質から放射されるX線をはじめ、ガンマ線バースト、超新星、恒星のフレアだけでなく、彗星からの放射といった太陽系内の天体や現象から光を検出します。


【▲ アインシュタインプローブのイメージ図(Credit: 中国科学院)】

アインシュタインプローブの開発には欧州宇宙機関(ESA)とドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所(MPE)も共同で加わりました。衛星プロジェクト全体と地上支援システムの開発などはCAS国家空間科学センターが実施し、衛星システムの開発はCAS微小衛星革新研究院が担当しました。開発に参加したESAはX線検出器とWXTの光学試験などを支援し、そのリターンとして観測データの10パーセントを得ることができるとされています。


ESAによると、アインシュタインプローブは機器の試験など行う約6か月間の準備フェーズを経た後、約3年間の観測フェーズへ移行する見通しだということです。


 


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文・編集/sorae編集部