今回は「シュウマイ」の作り方を伝授します(以下、写真はすべて筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は「シュウマイ」です。

干し貝柱を入れるとおいしくなる

餃子と比べると地味な印象だったシュウマイ。最近では徐々に専門店も増えるなど、おいしさが見直されています。今日は基本のシュウマイのレシピをご紹介します。

シュウマイは優れた家庭料理。焼餃子は「焼く」という調理工程を踏むため焦げるリスクがありますが、シュウマイに用いられる「蒸す」という加熱方法は焦げる心配がなく、食材にソフトに火が入るからです。

シュウマイの材料(24個分)
豚ひき肉        250g
玉ねぎ         1/2個
片栗粉         15g

(A)
オイスターソース    8g
酒           8g(大さじ1/2)
ごま油         5g
しょうが        5g(すりおろし)
砂糖          3g
塩           3g
白コショウ       適量
干し貝柱(あれば)   5g(大さじ1+1/2の水で戻す)

うま味の補いとして干し貝柱が入ります。日本のシュウマイの味のスタンダードを作ったのは横浜の崎陽軒ですが、その味の秘密がこの干し貝柱です。

干し貝柱は入れると確実においしくなりますが、コストも高く、買っても使い切れないリスクがあるので、省略してもかまいません。その場合は酒を増やし、味の補いに顆粒のガラスープ小さじ1/4を入れるといいでしょう。

また、ホタテの干し貝柱は高価ですが、イタヤガイの貝柱であれば比較的安価で入手できるので、スーパーなどで探してみるのもいいでしょう。


水でやわらかくなるまで戻し、手でほぐしてから汁ごと加えます

豚ひき肉にAを加えていきます。秤にボウルをおき、どんどん計量していくのが効率的です。


挽肉ではなく豚肩ロースを包丁で細かく叩いて使うとよりおいしくなります

手で調味料を混ぜ込んでいきます。酒や干し貝柱の戻し汁などの水分を挽肉が吸い込み、ふっくらとした食感になります。手でこねる力はかなり強いので、全体に混ざればOKです。


調理用のニトリル手袋をすると作業が楽です

玉ねぎのみじん切りに片栗粉を混ぜます。玉ねぎの量が多いですが、これがシュウマイの味の秘密です。片栗粉を加えることで肉と玉ねぎから出る水分がゲル化し、しっとりとした仕上がりになります。


片栗粉はきちんと計りましょう

肉だねに玉ねぎを混ぜ込んでいきます。片栗粉が接着剤になるのでひとつにまとまるはずです。こうして作った肉だねを今回はシュウマイにしていきますが、ピーマンに詰めればピーマンの肉詰めに、あるいはキャベツで巻けばロールキャベツに、という具合に展開していけます。


玉ねぎは生のまま加えることで酵素の働きによってふんわりした仕上がりになります

テーブルナイフなどを使って18〜20gの肉だねをとり、シュウマイの皮にのせます。左手の親指と人差し指で円形をつくり、そこに押し込むようにしてシュウマイの形にします。


肉だねをとるのには割り箸も使いやすいです

加熱すると少し膨らむので、くびれを作っておくと仕上がりがきれいになります。またシュウマイの皮の端が立った状態にすると皮の食感が残り、食べごたえが出ます。


この作業には慣れが必要ですがむずかしくはありません

蒸し器の底にクッキングシートか白菜などの葉を敷き、シュウマイを並べます。中火で煮立った状態の鍋に蒸し器をセットし、7分蒸せばできあがりです。蒸し器がなければフライパンを使い、同様に葉などを敷いたうえにシュウマイを並べ、水大さじ2〜3ほどをシュウマイにかからないように注ぎ、蓋をして中火で蒸し上げれば大丈夫です。


蒸し器はどんなものでもかまいません

中国のシュウマイは強めに味付けしてそのまま食べますが、日本のは少し薄味にして、醤油をつけて食べるのが一般的。蒸したてのおいしさが味わえるのが手作りのよさ。餃子よりも包むのがカンタンなのでぜひ挑戦してください。


みじん切りにした野菜をのせて蒸してもいいでしょう


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(樋口 直哉 : 作家・料理家)