女子シングルSP後のキスクラで目に涙を浮かべる本田真凜【写真:矢口亨】

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フィギュアスケート全日本選手権

 フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)は22日、女子シングルのショートプログラム(SP)などが行われた。22歳の本田真凜(JAL)は44.42点で最下位。28人中上位24人に入れず、24日のフリーに進出できなかった。前夜に右骨盤の故障を告白し、強行出場で演技を完遂。大学ラストイヤーで去就も注目されたが、競技者としての今後について「話せることは今はない」と明言せず。「全日本が終わってからも氷に乗り続けて、たくさん新しいことを練習していきたい」とした。

 本田は笑みを浮かべてリンクに登場した。ピンクの名前入りバナータオルも掲げられた会場。歓声が飛ぶ。ファンの前でSP曲「Faded」が流れると、優雅に想いを表現した。ジャンプは全て着氷。コンビネーションも披露すると、大きな拍手に包まれた。フィニッシュを決めると、表情を崩す。感極まり、目元を拭った。退場時には惜しむようにそっとリンクをタッチ。故障を抱えた全日本を終えた。

 取材では「長いスケート生活の中でも一番と言っていいくらい悪いコンディションだった」と説明。想いを紡いだ。

「今日はここをこうしたらとか、今の段階ではなくてすっきりした気持ち。ここまで頑張れた自分に言いたいことはないし、悔いも何一つない。たくさんたくさんスケートを頑張ってきたし、そんな自分を少しゆっくり褒めたいなという気持ちです。

 たくさんの方が途中でも声をかけてくださった。全部が聞こえてきて、9年目の全日本ですが、毎年特別な気持ちもあるし、何回滑ってもここを目指す気持ちはわかる。自分もその一人なので。最初にジュニア上がりで全日本に出られる年齢になった時から、大学4年生の今まで一度も落ちることなく演技ができたことは自分の頑張ってきた成果だと思う。

 今年はたとえ何もできなくても、全力で思い切って一生懸命最後まで滑り切る自分を、自分自身にも見せたかったし、どんな状況でもたくさん応援して下さる方がいる。棄権という形ではなく、自分の今できることを見せれたら。恩返しに少しでもなっていたらという気持ち」

 今後については「話せることは今はないんですけど、全日本は何が何でも出たい気持ちだった」と特別な舞台だと強調。競技者として今後も続けるのかという問いに、答えを明言せず。「全く点数にもとらわれず、自由にのびのびお客さんに楽しんでもらえるように滑っている自分も好きなので、全日本が終わってからも氷に乗り続けて、たくさん新しいことを練習していきたい」と前向きだった。

 本田は21日夜にインスタグラムで練習中に右骨盤を痛めたことを明かしたが、「大学ラストイヤーという節目の年。今年も自分で掴むことが出来た全日本選手権。どうしても出場したいという気持ちが強く、少しでも良い状態で演技が出来る様、努めています」と強行出場を決意。「今回はより特別な全日本選手権になる」「出場すると決めた以上、どんな内容であっても最後まで心を込めて自分らしく滑り切ります」とつづっていた。

 11月の東日本選手権で総合5位となり、9年連続の全日本切符を掴んだ。12月20、21日の公式練習では右の股関節付近を気にする様子も見せ、曲掛け練習では強度の高いジャンプを跳ばなかった。大会当日の練習もジャンプ直後に右足を気にする場面があったが、3回転ジャンプを複数回トライ。コーチと入念に動きを確認するなど、30分間リンクで感触を確かめていた。

(THE ANSWER編集部)