インドの警察は2023年10月、「中国のプロパガンダを広めてインドの主権を混乱させた」として、ニュースサイトのNewsClickを創設したプラビール・プルカヤシャ氏ら3人を告発しました。この告発に関する警察の文書では、中国のスマートフォンメーカーであるXiaomiとVivoもNewsClickへの違法な資金提供を支援したとして非難されています。

Indian police accuse Chinese telcos of funding investigated news portal | Reuters

https://www.reuters.com/world/india/indian-police-accuse-chinese-telcos-funding-investigated-news-portal-2023-10-06/



FIR links NewsClick case to legal aid for Chinese companies - The Hindu

https://www.thehindu.com/news/national/fir-links-newsclick-case-to-legal-aid-for-chinese-companies/article67390014.ece

NewsClickはジャーナリストのプルカヤシャ氏が2009年に創設したニュースサイトであり、「進歩的な活動に焦点を当ててインド国内外のニュースを扱う」ことを掲げて運営されています。

ところが2023年8月、ニューヨーク・タイムズが「アメリカ人の実業家であるネビル・ロイ・シンガム氏が、中国を擁護してプロパガンダを広めるメディアに資金提供を行っている」という記事を発表し、その中で資金提供先としてNewsClickが言及されました。

これを受けてインドの警察はNewsClickに対する捜査を開始し、10月3日にはプルカヤシャ氏とNewsClickの人事責任者、株主である活動家のゴータム・ナヴラカ氏を逮捕しました。また、NewsClickと関連があるジャーナリストや寄稿者ら40人以上を取り調べたほか、中国の上海に住むシンガム氏も告発しています。



NewsClickの捜査に関する警察のファースト・インフォメーション・レポート(FIR)では、プルカヤシャ氏やシンガム氏らは2019年に行われたインド総選挙の際に、「中国やインドが主権を争っているカシミールやアルナーチャル・プラデーシュ州が紛争地域である」と世間に印象づけることを示唆した電子メールを交換していたと述べられています。

FIRでは「インドの主権を混乱させて不満を喚起するために、中国から多額の資金がカムフラージュされて渡されました。そして、インドの国内政策や開発プロジェクトを批判し、中国政府の政策やプログラムを宣伝・擁護する有料ニュースが意図的に流されました」と記され、NewsClickは中国に関連する企業や団体からの資金提供を受けていたと非難されています。

さらにFIRでは、「XiaomiやVivoなどの大手通信企業がこの陰謀を促進するために、インドへ外国資金を違法に流す目的で外貨法に違反してインドに数千ものペーパーカンパニーを設立しました」と述べられており、警察はXiaomiやVivoが違法な資金提供を支援したと主張しています。

これに対してXiaomiの広報担当者は、「私たちはこの件について何も知りません。私たちは、FIRにおけるXiaomiに対する上記の申し立てを強く否定します」「Xiaomiは適用される法律を最大限尊重し、厳格に順守して事業運営を行っています。陰謀の主張はまったく根拠がありません」とコメント。

また、NewsClickもプルカヤシャ氏が逮捕された翌日に、中国の団体や当局の要請を受けてニュースを公開したことはないと主張し、警察の告発に真っ向から反論しています。NewsClickは声明で、「FIRの主張がまったく不合理なものであることは、NewsClickに対して開始された手続きが、インドの自由で独立した報道機関を封じ込めようとする露骨な試みでしかないことを明確に示しています。NewsClickはインドの司法制度を全面的に信頼しており、私たちの立場が認められると確信しています」と主張しました。