円谷プロ制作の『ウルトラセブン』(1967〜1968年)誕生55周年事業の集大成として、新旧の文化が入り混じる「多様性の街」下北沢の6商店街と、円谷プロ創業の地・祖師谷地域(ウルトラマン商店街)と共同で、『ウルトラセブン』のテーマのひとつである「対話と多様性」をキーワードにしたグルメ・ファッション・アート・街歩きなど幅広い企画を展開する「シモキタソシガヤウルトラタウンフェス」が、10月1日からスタートしている。2日にはキックオフ発表会が下北沢の複合施設「ミカン北沢」で行なわれ、ウルトラセブン、メトロン星人、ガッツ星人が応援にかけつけた。

左から、ガッツ星人、黒田康裕氏、ウルトラセブン、長沼洋一郎氏、メトロン星人

『ウルトラQ』(1966年)『ウルトラマン』(1966〜1967年)に続いて、円谷プロが作り出した空想特撮シリーズの第3弾『ウルトラセブン』は、地球防衛軍極東支部の精鋭チーム「ウルトラ警備隊」と、彼らに味方する謎の超人ウルトラセブンが、地球を狙う恐るべき侵略者の魔手に挑むSF特撮ヒーロードラマである。本作に登場する数々の宇宙人は、巨大怪獣を操って攻め込んできた者や、人間同士の信頼関係を崩して互いに争わせた者、老人ばかりの惑星から地球人の若い生命を強奪しようとやってきた者、地球人のロケット打ち上げを侵略と誤解して報復に現れた者など、さまざまな事情や目的を備えていた。それぞれのユニークな外見や、自らの侵略計画を雄弁に語る個性が深みのあるストーリーを作り上げたことにより、『ウルトラセブン』は55年を経た現在においても多くの人々の心に残り、愛され続けている。

今回の「シモキタソシガヤウルトラタウンフェス」では、『ウルトラセブン』の作品世界を彩った魅力的な宇宙人・怪獣キャラクターを用いて、若者を中心とした幅広い人々に楽しんでもらおうと、下北沢、祖師谷といった2つの街とのコラボレーションが試みられた。

最初に、円谷プロダクション マーケティング本部 副本部長・河井隆之氏が登壇し、今回のコラボ企画の概要を説明した。

続いて、下北沢商店連合会 しもきた商店街振興組合理事長 長沼洋一郎氏が挨拶。長沼氏は「ウルトラセブンと下北沢にどういう関係があるのかなと最初は思いましたが、ウルトラセブンのテーマが『多様性』とうかがい、それなら下北沢と共通すると納得しました。以前、下北沢映画祭で『狙われた街』『ノンマルトの使者』の2本を観ましたが、現代の社会問題にも通じるメッセージ性があり、感心しました。今回の企画では、若い学生さんたちに参加していただき、街のイメージに合う『フラッグアート』を多数作ってもらいました。下北沢の街と、円谷プロのコンテンツがどう融合しているか、ごらんになっていただきたい」と、ウルトラセブンや宇宙人たちの持つ濃密で不変なキャラクター性と、若者の伸びやかな感性が見事に融合した今回の企画に十分な手ごたえを感じつつ、力強い言葉を残した。

そして「ウルトラマン商店街」を代表し、祖師谷みなみ商店街振興組合理事長・黒田康裕氏が挨拶。ウルトラマン商店街は2005年、祖師ヶ谷大蔵駅が踏切から高架に変わったのを機に、3つの商店街が連合して誕生。1963年の創業以来、この地にあった円谷プロ砧社屋は2008年に閉鎖されたが、その後もウルトラマン商店街は「特撮の神様」円谷英二特技監督(円谷プロ初代社長)と共に数々の特撮作品を送り出した若きクリエイターの魂や情熱がこもった場所として、特撮ファンから「聖地」と呼ばれ親しまれている。黒田氏は「特撮の聖地復活を願うべく、11月2日には円谷プロ砧社屋にもっとも近い、砧8丁目児童遊園に『ウルトラセブン像』を設立します。3、4日は駅前広場で上映会、ゲストを招いてのトークショー、ウルトラヒーローの握手会、謎ときクイズなどさまざまな催しを行いますので、お楽しみに」と、駅前にそびえる「ウルトラマン像」(2006年設立)や「カネゴン像」(2019年設立)に続く、ウルトラマン商店街のシンボル像の誕生を発表した。

マスコミ向けフォトセッションでは、われらのヒーロー・ウルトラセブンがさっそうと登場。つい先ごろ(10月1日)放送開始から56年を迎えた『ウルトラセブン』だが、その後も全国規模で再放送が行なわれ、さらにビデオテープ、レーザーディスク、DVD、Blu−rayなどの映像ソフトや、BS、CS、サブスク配信といったさまざまな形で何度も「復活」を遂げ、当時世代だけでなく、大人から子どもまで幅広い年齢層の心に残る永遠のヒーローとして知られている。

ウルトラセブンはふだん、ウルトラ警備隊のモロボシ・ダン隊員(演:森次浩司/現:晃嗣)に姿を変えている。ダンは特殊なグラス「ウルトラアイ」によってセブンへの変身を完了する。

ウルトラセブンは身体の大きさを自在に変えることが可能で、よく等身大になってウルトラ警備隊の隊員たちと会話を交わす場面が見られた。そのため、このようなイベント会場に等身大で現れてもまったく違和感がない。

第8話「狙われた街」に登場したメトロン星人。北川町に潜伏し、赤い結晶体をタバコに仕込んで、喫煙者を凶暴化させた。アパートの和室へモロボシ・ダンを招き、ちゃぶ台を囲んで語うシーンが有名となった。

第39・49話「セブン暗殺計画(前後編)」でセブンを一度は倒したガッツ星人。いかなる戦いにも敗れたことがないと豪語し、怪獣アロンを使ってセブンの特殊能力や弱点を徹底的に分析した。

必殺光線ワイドショットのポーズを決めるウルトラセブンと、メトロン星人、ガッツ星人が仲良く同一画面に収まった。

ヒーローらしい決めポーズを取るウルトラセブンに影響されたか、メトロン星人とガッツ星人も得意のポーズを披露した。

「ミカン下北」北口階段には、『ウルトラセブン』に登場した宇宙人、怪獣、そしてウルトラ警備隊のメカニックなどのイラストがあしらわれ、絶好のフォトスポットとなっている。

そこに、ふたたびメトロン星人とガッツ星人がどうどうの入場。ウルトラセブンと同じく、55年の芸歴を誇るベテランウルトラ怪獣としての貫禄すら感じさせる立ち姿である。

下北沢駅周辺には、バンタンデザイン研究所の学生たちによる「ウルトラセブン商店街フラッグアート」が各所に掲示されている。偉大なるクリエイター成田亨氏、池谷仙克氏が生み出した人気怪獣・宇宙人が、若者たちの感性でどのようにアレンジされ、下北沢の街を彩るのかに注目したい。

ミカン北沢では10月1日から11月19日まで、施設内を『ウルトラセブン』特別仕様の装飾で演出している。

「TSUTAYA BOOKSTORE下北沢」にも『ウルトラセブン』キャラクターがいっぱい。自動ドアには、若手アーティストが描いたストリートアートのガッツ星人が確認できる。ドアが開閉すると、4人いたガッツ星人が2人になったり、また4人に増えたりと、「セブン暗殺計画」で彼らがセブンを翻弄した分身攻撃を再現しているかのようで、実に心憎い。

店内には第6話「ダーク・ゾーン」に登場したペガッサ星人の立像が展示。

10月1日から10月31日まで、「TSUTAYA BOOKSTORE下北沢」店内に「シモキタソシガヤウルトラタウンフェス」ポップアップストアが展開。『ウルトラセブン』55周年関連商品や、本企画に合わせたオリジナル商品が販売されている。

ゴモラ、セブンガー、レッドキング、ブースカのぬいぐるみが確認できる。

椅子に座り、ドリンクで休憩しているのは第3話「湖のひみつ」に登場したピット星人。宇宙怪獣エレキングを飼いならし、ウルトラセブンやウルトラ警備隊を手こずらせた。

10月1日から11月19日まで、宇宙人・怪獣をイメージした多彩なコラボメニューが10店舗にて期間限定販売される。こちらはA街区1階「PIZZERIA 8」で提供される「エレキング風マーブルシフォンケーキ〜フルーツサワーソース添え〜」。

A街区・2階「チョップティックス」では、「パンドンのW火炎地獄炒め」という、激辛スペアリブ料理が登場。第48、49話「史上最大の侵略(前・後編)」で、左右の口から高熱火炎を吐く怪獣パンドンのイメージにピッタリといえる。

下北沢の街全体を散策しながら、多様性に満ちた商店街の魅力を知ってもらいたいという思いで企画された「発見!怪獣・星人の棲む街 下北沢謎解き散策」では、下北沢の6商店街に隠された「謎」を解き明かしながら、写真の「ペガッサ星人」のように、各所に潜む宇宙人や怪獣のアートを発見していく趣向。商店街で入手できる「謎解きブック」を手にして、ぜひチャレンジしていただきたい。謎解きをクリアした方には、オリジナルノベルティがプレゼントされる。

こちらはメトロン星人のストリートアート。特徴的な「ちゃぶ台」も描かれている。

第2話「緑の恐怖」に登場したワイアール星人のストリートアート。2023年のワイアール星人は、シャレたスニーカーを履きこなしているのが特徴なのかもしれない。

「シモキタソシガヤウルトラタウンフェス」は、下北沢、祖師谷両商店街にて11月30日まで開催される。

(C)円谷プロ