iPhone 15で「インド製iPhone」が初めて発売当日から流通する予定、製造の中国依存を脱却するAppleの取り組みが実を結ぶ
Appleは長年にわたり製品のほとんどを中国にある工場で製造してきましたが、近年はリスク分散のために中国以外にも製造拠点を設ける取り組みを進めています。そんな中、日本時間の2023年9月13日に発表された新型のiPhone 15において、「インド製のiPhone」が初めて発売当日から販売されると報じられました。
Apple to Sell Made-in-India iPhones on Launch Day for First Time - Bloomberg
Apple is selling India-made iPhones at launch for the first time - The Verge
https://www.theverge.com/2023/9/12/23869727/apple-iphone-15-india-production-supply-launch-china
Apple’s first made-in-India iPhone 15 to sell globally on launch day: Report | Digit
https://www.digit.in/news/mobile-phones/apples-first-made-in-india-iphone-15-to-sell-globally-on-launch-day-report-68945.html
Apple製品の多くは中国に拠点を置くFoxconnや台湾のPegatronといった企業によって製造されており、その工場はほとんどが中国にあります。アナリストによると、iPhone・iPad・MacBookといったApple製品の90%以上が中国で製造されているとのこと。
2022年11月には約20万人の従業員を擁する中国河南省鄭州市にあるFoxconnの工場が、中国政府の「ゼロコロナ政策」によるロックダウンの影響を受けて7日間にわたり封鎖されました。これによってiPhone 14 Pro/Pro Maxの供給に大幅な遅れが生じ、従業員と当局が衝突する事態にまで発展しました。
中国のiPhone工場での大規模デモで従業員と当局が衝突 - GIGAZINE
この事例からもわかるように、一国に製造拠点が集中することには地政学的なリスクが伴います。そこで、Appleは以前からリスク分散のために中国以外に生産拠点を拡大することを計画しており、近年はインドに製造拠点を確立する動きが進んでいました。インドでは国内で製品を作る外国企業に対し、関税の優遇策を提供する「メイク・イン・インディア」政策が掲げられており、インドに製造拠点を置くことは関税の面でもAppleにメリットをもたらします。
2017年にスタートしたインドでのiPhone製造は徐々に進展しており、当初は旧モデルのみがインドで製造されていましたが、2020年には主力iPhoneの製造も始まりました。また、主力iPhoneの製造時期も一時は中国の工場と比較して6〜9カ月遅れていましたが、iPhone 14ではわずか数週間にまで遅延が短縮され、2023年の時点ではiPhoneの約7%がインドで製造されていると報じられています。
そして、日本時間の9月22日に発売予定となっているiPhone 15では、史上初めて発売日からインド製iPhoneが販売されることになると海外メディアのBloombergが報じました。この問題に詳しい人物は、インド製のiPhone 15はインドや南アジアの国々で流通すると証言しました。
すでにインドのタミル・ナードゥ州スリペルムブドゥールにあるFoxconnの工場は、8月からiPhone 15の製造を開始したと報じられています。しかし、インド製iPhoneの流通は予期しないロジスティクスのボトルネックにより、わずかに遅延が発生する可能性もあるとのこと。
テクノロジー系メディアのThe Vergeは、「中国とインドのiPhone工場間の生産格差を縮小することは、Appleにとって重要です。2022年にiPhoneの世界的な供給を脅かした工場の抗議デモのような、地政学的な問題や現地の労働争議に耐えられる、信頼できる代替製造拠点が必要なのです。また、インド政府のメイク・イン・インディア法に準拠することで、Appleにとって未開拓の巨大市場であるインド国内で販売する製品にかかる高い関税を回避することもできます」と述べました。