全員アラフォー「オレンジレンジ」今でも放つ異彩
平成のヒットチャートを賑わせたORANGE RANGE(写真:公式サイトより)
『上海ハニー』『ロコローション』『以心電信』――。
2000年初期に数々のヒットを飛ばしたORANGE RANGEが今年でメジャーデビューから20周年を迎える。
そのキャンペーンの第一弾として、ヒット曲のミュージックビデオが公式YouTube上で公開された。公式YouTubeで配信されるのは今回が初めてで、コメント欄には、当時を懐かしむ声やORANGE RANGEの魅力を語る声であふれていた。
今後もミュージックビデオに続き、ライブ映像を順次配信する予定だ。
上海ハニーや、花など数々のヒット
ヒット曲を連発させてきたORANGE RANGE。ここで彼らのこれまでを振り返ってみよう。
沖縄出身の5人組ロックバンド、ORANGE RANGEの結成は2001年。メンバー同士の年齢も近く、いまは全員アラフォーだ。インディーズ時代から地元・沖縄で圧倒的な人気を誇り、2003年に『キリキリマイ』でメジャーデビューを果たした。
同年にリリースされた2ndシングル『上海ハニー』がオリコン週間ランキング最高5位を記録。その後も『ミチシルベ〜a road home〜』『花』『ラヴ・パレード』『ロコローション』など、数々のヒットを飛ばした。
ヒット曲の多いORANGE RANGEだが、彼らの代表曲を聞かれると、どの曲を思い出すだろうか。
ブレイクのきっかけとなった『上海ハニー』や、2004年の大ヒットアルバム『musiQ』に収められた『以心電信』、テレビドラマ(フジテレビ系)『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』のオープニング曲『イケナイ太陽』など、人によって想起する曲もさまざまだろう。
ORANGE RANGEの曲は、よくタイアップにも起用されている。映画では『いま、会いにゆきます』や、先述したドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』、アニメでは『BLEACH』のオープニング曲に起用された。
昨年は、『15周年コードギアス反逆のルルーシュR2』 の第2クールのオープニングテーマでFLOWとコラボレーションした『デイドリーム ビリーヴァー』が話題になったのも記憶に新しい。
ポッキーCMでも話題
ワードセンスも非常に長けており、忽那汐里のキュートなダンスで話題になった、ポッキーのCM楽曲『おしゃれ番長 feat.ソイソース』など、一度聴いたら耳から離れない曲も多い。楽曲がリリースされた2008年頃はファッション雑誌でも「おしゃれ番長」のフレーズはキャッチコピーとしてよく使われていた。
また、イントロのワンフレーズでリスナーを世界観に引き込むのもORANGE RANGEの魅力だ。『上海ハニー』の「いいね 快晴じゃん 雲ひとつないよ」や、『お願い!セニョリータ』の「Ah〜あ〜どうにもこうにも止まらぬこの暑さ」といったイントロのキャッチーなフレーズは、リスナーに夏を想起させて一気にORANGE RANGEの世界観に引き込んでしまう。
ORANGE RANGE「上海ハニー」(写真:ORANGE RANGE公式サイトより)
直近でもORANGE RANGEの曲は話題を呼んでいる。2022年には日清食品「カップヌードル 味噌」のテレビCMソングとして、『SUSHI食べたい feat.ソイソース』の替え歌「MISO食べたい」を披露。斬新な映像とともに、多くの人々の心をつかんでいる。
そんなORANGE RANGEがメジャーデビューした2000年代初期は、沖縄発のミュージシャンが目立っていた時代でもあった。
1990年代の沖縄出身のアーティストは、沖縄アクターズスクール出身のアーティストが人気の時代だった。安室奈美恵をはじめ、MAX、SPEED、DA PUMPが続々デビューし、ハイレベルなダンスと歌唱力で音楽シーンでは不動の人気を得ていた。
一方で2000年代に入ると、バンドやソロアーティストの活躍が目立ってくる。
2001年にはMONGOL800のアルバム『MESSAGE』が大ヒット。累計280万枚以上を売り上げた。また同年、夏川りみの『涙そうそう』が116週連続チャートイン。2003年にはHYの『Street Story』が4週連続のオリコンチャート1位を記録し、ORANGE RANGE以外にも沖縄出身のアーティストがヒットチャートを賑わせた。
当時のヒットチャートは今でもカラオケなどで歌われるくらい人気の楽曲が多い。そのなかでもORANGE RANGEの曲が、令和になっても未だ異彩を放っているのはなぜだろうか。
2022年に発行された『CONTINUE−ORANGE RANGE 20th Anniversary Book−』 で、音楽ジャーナリスト鹿野淳氏はNAOTOとの対談で、ORANGE RANGEに対して「自分たちの本質を、お客さんに届けられるバンド」と評していた。
高揚感があふれる曲から、バラードまで。幅広い楽曲は変幻自在のORANGE RANGEだからこそ、成しえることができる。
新曲もつねにアップデート
最近ではかつてヒットチャートを賑わせた楽曲も、「平成ソング」や「2000年代の夏ソング」として取り上げられ、若い世代もORANGE RANGEの曲を耳にして新たにファンになる人も多い。
しかし、ORANGE RANGEの名曲は2000年代だけではない。ここ数年でリリースされた『ラビリンス』など、印象に残るミュージックビデオとともに新曲もつねにアップデートされてリスナーを驚かしている。
ORANGE RANGEの昔から変わらない明るさと、ひたむきに新しい音楽に挑戦し続けている積み重ねが20周年という時を刻んだように感じる。
2000年が過ぎ、10年、20年とこれからも続くORANGE RANGEの曲はいつまでも私たちを楽しませてくれるに違いない。
(Tajimax : ライター・コレクター)