電気の高騰で、住宅用太陽光発電に関心が集まっています。実際の収支は? 3年前に10.08kWの太陽光パネルを載せた、オール電化の家を建てた日刊住まいライターが、3年間の収支を詳しくレポート。蓄電池はつけていませんが、電気代が上がってもなんと年間9万円の黒字を出しています。そのために工夫していることや、今後のために考えている対策も語ります。

わが家は、大容量の太陽光パネルを載せたオール電化の家

筆者は30歳を機に家づくりをスタート。3年前にハウスメーカーで、オール電化の家を建てました。現在、妻と2匹のネコたちと暮らしています。

わが家は、延床面積27坪の総2階の家です。コンパクトな家ですが、10.08kW(10kW未満申請)の、大容量の太陽光パネルを搭載しています。ちなみに、これだけ大きな容量のものを載せられたのは、屋根一体型太陽光パネルで片流れ屋根にしたからです。

屋根の向きは、シミュレーションから建物や樹木の陰にならない東南向きにしました。

 

年間12万円超の黒字だったのが3年目に悪化

わが家の太陽光発電は、蓄電池は採用していません。日中に発電した余剰電力は売電、夜は割安な電気を買うという仕様です。ちなみに売電価格は1kWhあたり21円(※)です。

※2023年度の売電額は、1kWhあたり16円になっています(10kW未満の場合)

 

上は1年目の電気代と太陽光売電額の収支です。

 

そしてこちらが、2年目の売電額と電気代の収支。1年目も2年目も、すべての月で売電額が電気代よりも上回り、年間だと12万円を超えるプラス収支でした。

 

●3年目になると赤字になる月も…

しかし、3年目になる2022年、世界情勢の影響から電気代が高騰し、オール電化のわが家では、電気代が跳ね上がりました。

暖房を使い始めた11月になると売電額よりも電気代が高くなり、11月、12月、1月とマイナス収支が3か月続きました。年間にしてみるとプラス収支ですが、以前と比べると、年間12万円台から9万円台と、大幅に下がってしまいました。

売電ではなく発電した電気を消費する作戦に変更

電気が高騰した頃から、深夜帯の電力を安く使える料金設定だったわが家でも、売電額(1kWhあたり21円)より、使用する電気代が上回ってしまう状況に。そこで電力の使い方を変えました。

それまでは日中発電した電力は売電に、そして安い深夜電力を使って家事をする暮らし方をしていました。それを作戦変更したのです。深夜電力を使っていた家事を、発電している日中に行ことに。つまり、売電より電気を使う「自家消費」にシフトしました。

 

●買電が減り、売電による収益もキープ!

深夜電力を使っていたのは、食洗機や洗濯乾燥機、エコキュートなどです。これらを太陽パネルが発電する時間帯に行うようにしたのです。そうしたことで、買電は大きく減らすことができました。

発電した電気を使うといっても、天気が曇りや雨の日には買電が発生してしまいます。ですが、まったく発電しないわけではないので、深夜に電気を使っていたときよりも、買電量を確実に減らすことができました。

消費電力の大きいエコキュートを、発電の時間に変更したのも大きかったと思います。

 

上の写真は、わが家のパワーモニターの表示画面です。

売電額は以前と比べて下がってしまいました。しかし、それにより買電量が減り、電気代を抑えることにはなりました。これだけ発電した電気を使っても「売電がある」とわかり、あらためて太陽光パネルを載せていてよかったと実感しています。

 

今後は蓄電池の導入を検討

発電した電気を自家消費しても、まだ売電できる電気があると知って、蓄電池の導入を考えるようになりました。太陽光パネルでは発電する時間が限られます。夕方から翌朝までの買電を抑えるには蓄電池が有効だと思ったのです。

また近年、自然災害が各地で起きています。どの地域に住んでいても地震や豪雨など災害に見舞われる可能性があると感じます。蓄電池があれば、発電しない時間帯でも電気が使える備えになります。万一の時でも安心が持てるよう検討していきたいです。